「イワンの家」というロシア人の家に天皇皇后の肖像が飾られていることを述べた部分。
(昭和15年、新潮文庫)
今上皇后両陛下の御尊像が並び立たせられた石版刷の軸が一本、まことにあり難さうに掛け垂らしてあつた。
(2007年、岩波文庫)
今上皇后両陛下に摂政宮と妃殿下の御尊像が並び立たせられた石版刷りの軸が一本、まことにありがたそうに掛け垂らしてあった、
一読してわかるように「摂政宮と妃殿下」の部分が古い文庫では見当たらない。大正14年の旅行記なので、この摂政宮とは昭和天皇のこと。昭和15年の発行という時期を考えると、何らかの検閲により削除された可能性もある。もちろん、単なる脱落かもしれないのだが。