2010年05月30日

検閲について

『斎藤茂吉全集第一巻』の後記には歌集『つゆじも』について「本全集においては、第一刷発行当時の事情によつて削られた歌九首を復活せしめた」として、次のような歌を挙げている。

  日つぎの皇子国を見ますといでたたす筑紫の国の春もなかなり
  二十万の大御たからは真心の一つ心をたてまつるなり
  陸軍大将の大礼服をわれ等見つすべて尊しおほろかならず

『つゆじも』の発行は昭和21年8月なので、こうした歌がGHQの検閲により削除されただろうことは予測がつくのだが、はっきりとした証拠がなかった。

そこで、先日、メリーランド大学のプランゲ文庫から『つゆじも』のゲラの写真を取り寄せたところ、確かにこの九首に「delete」という書き込みがされ、赤線が引かれて削除されていた。『つゆじも』の九首の削除はGHQの検閲によるものであることが、確認できたのである。
posted by 松村正直 at 16:25| Comment(0) | TrackBack(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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