2024年10月31日

雑詠(043)

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丼(どんぶり)の真中に点を打つごとく天辺にのるうずらの卵
肌と肌ふれ合い汗をしたたらす人の見ている土俵のうえに
食べログの写真ながめて店いくつ訪ねてもあらず母の海老フライ
もう今は回ることなき円形のレストランあり海辺の丘に
ゆうぐれの庁舎の空より降ろされしのちを二枚の旗の大きさ
曇天が部屋のなかまで暗くするひるラーメンに卵を落とす
安珍も清姫も逝き本堂のかなた発電の風車がまわる

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2024年10月30日

11月12月の予定

9月〜12月にかけては短歌のイベントが多い。
備忘のために、11月12月の予定を書いておこう。

11月 2日(土) 国際啄木学会関西支部研究会
11月10日(日) 鳥取県民短歌大会 講演「平明で奥深い歌」
11月16日(土) 現代短歌社授賞式・祝賀会
11月17日(日) 第16回別邸歌会
11月24日(日) 岩国市民短歌大会 講演「短歌と省略」
12月 1日(日) 現代歌人集会秋季大会
12月 8日(日) 明星研究会

NHK学園の新しい講座「N学短歌plus」も始まります。
https://college.coeteco.jp/bundles/b8arse6P

どうぞ、よろしくお願いします。
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2024年10月28日

父と選挙

神奈川県でひとり暮らしをしている84歳の父が、昨日、衆議院議員選挙に行ってきたそうだ。半月前に屋外で転倒して救急車で搬送され、顔に大きな内出血の痣ができたばかりなのだが、投票所まで約500メートルの距離を30分ほどかけて、ゆっくり歩いて往復したとのこと。

無理せずにタクシーを使ったらとも言ったのだが、これくらいの距離を歩けなくなったらおしまいだと思って歩き、何とか無事に往復できたらしい。これまで選挙には欠かさず参加しているので、何としてでも行きたかったそうだ。

やはり投票できた喜びは大きかったようで、今日は電話で政治の話をあれこれ喋っていた。いろいろ心配なことはあるけれど、本人のやる気があるうちはあまり制限を設けずに、自由にやらしてあげたいなと思う。

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2024年10月27日

N学短歌plus

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NHK学園の新しい講座「N学短歌plus」が始まります。
さまざまな内容が楽しめるサブスク(定額制)講座です。

10/31(木)に最初のライブイベントを開催します。
ぜひ、ご参加ください!

https://college.coeteco.jp/bundles/b8arse6P

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2024年10月26日

映画「五香宮の猫」

監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作:柏木規与子

観察映画第10弾。
舞台は岡山県牛窓。

海を見下ろす神社に住みつく野良猫を通じて、高齢化の進む古い港町に暮らす人々や地域のコミュニティーの姿を描いている。

想田監督の作品は好きで、これまでもけっこう観てきた。短歌にちょっと似ているのかもしれない。

・「精神」
https://matsutanka.seesaa.net/article/475300192.html
・「演劇1」「演劇2」
https://matsutanka.seesaa.net/article/387138986.html
・「牡蠣工場」
https://matsutanka.seesaa.net/article/437947091.html
・「港町」
https://matsutanka.seesaa.net/article/459016523.html
・「精神0」
https://matsutanka.seesaa.net/article/475476591.html

京都シネマ、119分。

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2024年10月25日

門脇篤史歌集『自傾』

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『微風域』(2019年)に続く第2歌集。

牛乳の白き水面に生るるあわ野田琺瑯のはだへの熱に
断面にみづはにじみてしろがねの匙もて抉るキウイの果肉
マジックに書かれて198の文字アラのパックのおもてにたわむ
革靴を明日のために磨くときはつかにくゆる火薬のにほひ
みづからにめり込むやうなかたちして昼のオフィスに眠るひとびと
ひときれの鰤のくぐれるせうゆゆゑ暗き水面は輝きを帯ぶ
収集場所に立てかけらるる一本の箒かごみかわからざりけり
ツナ缶に満つる油を捨ててをり蓋の薄きに肉を堰き止め
定年を待たずに辞めるひとのため日暮れの花舗に花を見てゐる
真夜中をまたたいてゐる光源に近づくための脚立をのぼる
窓を向く席のひとつにひとをりて海みるごとく舗道を見つむ
つきだしの茄子の煮浸しつやつやと模様のちがふ皿に盛られて
祖母(おほはは)の漬けし梅干しおほきくて触れたるめしはくれなゐに染む
オピネルのうすき刃は手のひらのうへにのせたる豆腐にしづむ
少しだけ冷たき米の残りゐる冷凍炒飯よく混ぜて食ふ

1首目、琺瑯の鍋に牛乳を温めている様子。琺瑯の優しさを感じる。
2首目、半分に切ったキウイを食べるだけだが、描写と語順が巧み。
3首目、バーコードの値札でなくラップに直に値段が書かれている。
4首目、仕事のための靴なので戦いのイメージが生まれるのだろう。
5首目、デスクにうつ伏せになっている姿。上句の比喩が印象的だ。
6首目、醤油に鰤の脂が滲み出て虹のような色合いが生まれている。
7首目、ゴミとして捨てられた箒か収集場所を掃くための箒なのか。
8首目、日常生活で誰もがやっていることを、丁寧に描写している。
9首目、花束を買いに来たのだろうが「見てゐる」としたのがいい。
10首目「電球」と言わず「光源」としたことで星のように感じる。
11首目、ぼんやりと考えごとでもしているような眼差しが美しい。
12首目「模様のちがふ皿」がいかにも突き出しらしい感じがする。
13首目、下句の描写に亡くなった祖母への追慕の思いが深く滲む。
14首目、オピネルはフランスの刃物メーカー。力を入れず切れる。
15首目、電子レンジで温めた時に中の方にまだ冷たい部分が残る。

食べもの、お酒、煙草を詠んだ歌が多い。
徹底して暮らしの手触りや細部の描写にこだわっている。

2024年8月12日、現代短歌社、2700円。

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2024年10月24日

「現代短歌セミナー 作歌の現場から」

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NHK学園のオンライン講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」、次回は12月18日(水)19:30〜の開催です。ゲストは伊藤一彦さん、テーマは「自然、風土の歌」です。

伊藤さんは「心の花」選者で、宮崎に生まれ宮崎にお住まいです。今年『牧水・啄木・喜志子』を中心とした永年の功績により第15回日本歌人クラブ大賞を受賞されました。また、先月『若山牧水の百首』も刊行されたところです。

その伊藤さんと、永田和宏さん、私の3人で90分間たっぷり語り合います。どうぞご視聴ください!

https://college.coeteco.jp/live/5j0ycg9e

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2024年10月23日

一ノ関忠人歌集『さねさし曇天』


第5歌集。

土瀝青(アスファルト)の罅割れに小さき草の色さがみの国に春来るらしも
古への絹街道(シルクロード)もかくやあらむ寧楽は異国の言語(ことば)に賑はふ
関節がにはかにゆるみだす気配こぶし、もくれんに白き花咲く
をちこちに蟬討死にす。いつのまにか天下分け目の合戦終る
壮大なる錯誤とおもふ。天皇位を継ぐための儀式も即身仏も
散水するホースを抱へ虹創る外国人労働者に笑顔ありけり
きび餅にきな粉をこぼし湯河原の旅をふりかへる妻と笑みつつ
窓の外をラクダの通るけはいする夢とはおもへどけだもの臭き
パプリカにトマト、まぐろのさしみなど赤きをそろへ妻の還暦
御殿場線の窓に来てゐる秋あかね駿河小山の駅に停車す

1首目、春は再生の季節。植物の生命力に明るさを感じ励まされる。
2首目、インバウンドに賑わう奈良から古代のシルクロードを思う。
3首目、冬が終って春が来る様子を身体の感覚に喩えたのが印象的。
4首目、気が付けば夏のピークも過ぎ蟬の亡骸が多く転がっている。
5首目、2019年の大嘗祭のために仮設された大嘗宮を見ての感慨。
6首目、解体現場で働く外国人労働者の笑顔に少しホッとする思い。
7首目、きび餅は湯河原名物。旅行から帰ってきた安堵感がにじむ。
8首目、「けだもの臭き」がいい。匂いのある夢というのは珍しい。
9首目、赤いちゃんちゃんこなどではなく、赤い色の食べ物で祝う。
10首目、富士山近くの小さな駅。のどかな旅の様子がよく伝わる。

2024年6月30日、砂子屋書房、3000円。

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2024年10月22日

映画「東京物語」

監督:小津安二郎
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聡、杉村春子、中村伸郎、香川京子、東野英治郎ほか

1953年公開のモノクロ作品。
小津安二郎特集での上映。

空気枕をめぐる言い争いから始まって、最後は「こんなことなら、生きとるうちにもっと優しうしといてやりゃあよかったと思いますよ」で終わる。東山千栄子の「ありがとう」のイントネーションが心にしみた。

「戦後」「世代」「家族」といったテーマが鮮やかに浮き彫りになる。誰でも自分の生活が大事というのは、本当にその通りだろう。

小津映画は役者、セット、家族構成などがけっこう共通しているな。

アップリンク京都、136分。

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2024年10月21日

梯久美子『戦争ミュージアム』


副題は「記憶の回路をつなぐ」。

雑誌「通販生活」2020年盛夏号〜2024年初春号に連載された「シリーズ 戦争を忘れない」を補筆して書籍化したもの。

全国14のミュージアム(大久野島毒ガス資料館、予科練平和記念館、戦没学生慰霊美術館「無言館」、周南市回天記念館、対馬丸記念館、象山地下壕(松代大本営地下壕)、東京大空襲・戦災資料センター、八重山平和祈念館、原爆の図丸木美術館、長崎原爆資料館、稚内市樺太記念館、満蒙開拓平和記念館、舞鶴引揚記念館、都立第五福竜丸展示館)が紹介されている。

戦争ミュージアムは、死者と出会うことで過去を知る場所であると私は考えている。過去を知ることは、いま私たちが立っている土台を知ることであり、そこからしか未来を始めることはできない。

本当にその通りだと思う。14か所のうち私がこれまでに訪れたことのあるのは、わずかに3か所。機会を見つけて足を運んでみたい。

2024年7月19日、岩波新書、920円。

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2024年10月20日

道成寺吟行

フレンテ歌会のメンバーなど10名で道成寺(和歌山県日高川町)へ吟行に出かけた。自宅の最寄り駅から電車で約4時間。


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仁王門へ続く62段の石段。


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秋晴れの気持ちいい天気。
境内には本堂や三重塔などが建ち並んでいる。

11:00過ぎに到着して、まずは千手観世音菩薩(国宝)など二十数体の仏像がまつられる宝仏殿を拝観する。


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中でも印象に残ったのが、この「義渕僧正」の像。目も鼻も口もなくなっているのだが、むしろなまなましい存在感は放っていた。

その後、住職から安珍・清姫伝説に関する絵とき説法を聞く。絵巻を見せながら軽妙な語り口で、笑いあり、真面目な教えありの説法をするもので、この寺の名物になっているようだ。


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安珍と釣鐘を埋めたと伝えられる「安珍塚」。

その後、湯浅駅に併設された複合施設「湯浅えき蔵」に移動して昼食と歌会。一人2首の計20首について議論した。17:00に終了。

計画や準備をしてくださった和歌山の皆さんのおかげで、楽しい一日を過ごすことができた。ありがとうございます。

posted by 松村正直 at 23:08| Comment(0) | 歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月19日

久永草太歌集『命の部首』

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昨年、第34回歌壇賞を受賞した作者の第1歌集。

心臓の模式図として黒板に教授が描くハートうつくし
皮膚という袋縫う午後 漏れそうな命はきっと水みたいなもの
治す牛は北に、解剖する牛は南に繋がれている中庭
採算と命の値段のくらき溝 鶏の治療はついぞ習わず
その毒を使わず終える一世(ひとよ)あれセグロウミヘビにヒョウモンダコに
保育士の「おやすみなさい」に潜みたる命令形に影濃かりけり
定番は青ペンらしいベトナムに過ごせば青くなりゆく手帖
ロゼットは春待つかたち床じゅうに教科書ひらくその野に眠る
身離れのよさ褒められているカレイどんな気持ちで煮汁に沈む
おいしさの罪嚙みており嚙みておりかつて光っていたホタルイカ

1首目、ハートの形はもともと心臓の形であったことを再認識する。
2首目、袋の中の「水」に喩えることで命の危うさと大切さを思う。
3首目、人間の決めた命の線引きがはっきり目に見えてしまう場所。
4首目、鶏一羽を治療して助けても、値段が安くて採算が合わない。
5首目、有毒生物への見方が個性的。使わないに越したことはない。
6首目、おとなしく昼寝してほしい場面。命令形であると意識する。
7首目、爽やかで印象的な海外詠。日本では黒になっていくだろう。
8首目、タンポポのロゼットのように自分も新しい春を待っている。
9首目、「身離れのよさ」が完全に人間側の目線だと気付かされる。
10首目、海の中で鮮やかに発光するホタルイカ。その命を食べる。

2024年9月24日、本阿弥書店、2200円。

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2024年10月18日

「現代短歌セミナー 作歌の現場から」のアーカイブ

2か月に1回開催しているNHK学園のオンライン講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」は、過去の回のアーカイブ受講もできます。

@「意味を詰め込みすぎない」小池光
https://college.coeteco.jp/live/5vxlc4y2

A「過去形と現在形」小島ゆかり
https://college.coeteco.jp/live/809gce7v

B「社会詠をどう詠むか」栗木京子
https://college.coeteco.jp/live/5vxlc437

C「情と景の取り合わせ」三枝ミ之
https://college.coeteco.jp/live/5ynjc6g4

D「てにをはの使い方」大辻隆弘
https://college.coeteco.jp/live/mk1dc2y6

E「モノの見方の新しさ、発見の歌」奥村晃作
https://college.coeteco.jp/live/m331c6z3

今後も随時追加されますので、よろしくお願いします。

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2024年10月17日

藪内亮輔歌集『心臓の風化』


現代歌人シリーズ38。
『海蛇と珊瑚』(2018年)に続く第2歌集。

位置について よーい終はりのわたしたち とてもきれいなだけの夕暮れ
鞦韆はたれも乗らずに揺れてゐず風もふかずにこの世もあらず
沁み込んだ――滴(しづく)が。甃(いし)に。手のひらに。――血液といふ出口なき川
木から枝、枝からは葉が天へ向け逃れむと手を伸ばし花咲く
朝顔は薄く空気を螺旋せりあなたがゐないことでゐるけふ
iPhoneを落して映る壁紙が床に真冬の海をひらいた
雨に昏い部屋に明かりをつけながら梨を食む梨のなかにも雨が
ふとき本に圧死してゐる栞紐とりだせばまた冬が来てゐる
顔を連れて顔を川辺に坐らせる顔は炎のやうにうつむく
咲(ひら)くとはこはれることで総身をふるはせ春を泳ぐさくらは

1首目、始まることもなく終わってしまったという感覚だけが残る。
2首目、「鞦韆」から始まって、次々に言葉も世界も消えてしまう。
3首目、下句が印象的。確かに血液は身体の外へと出ることはない。
4首目、花とは地上から逃れようとする必死の抗いの姿だったのか。
5首目、不在であることが、かえって濃密に存在を感じさせるのだ。
6首目、スリープになっていた画面が点灯して寒々とした海を映す。
7首目、雨の中に部屋があり部屋の中に梨があり梨の中に雨がある。
8首目、「圧死」がいい。取り出してあげると栞紐も生き返るのだ。
9首目、顔を他者のように詠むことで思い詰めた様子が強く伝わる。
10首目、「咲く」と「こはれる」は正反対のようで実は同じこと。

箴言的な印象に残るフレーズが多く出てくる。

「あなた」「雨」「花」「火」「心」「死」といった言葉が頻出し、同じモチーフが繰り返し詠まれている。

2024年8月20日、書肆侃侃房、2400円。

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2024年10月15日

映画「秋刀魚の味」

監督:小津安二郎
出演:笠智衆、岩下志麻、中村伸郎、北竜二、佐田啓二、東野英治郎、岸田今日子ほか

1962年公開のカラー作品。
小津安二郎特集での上映。小津の遺作である。

タイトルは「秋刀魚の味」だが、サンマは出てこない。英題はAn Autumn Afternoon(秋の午後)だが、季節感もそれほど感じられない。

・「会社」「家」「居酒屋・バー」といった屋内空間が舞台。
・笠智衆はまた「困ったなあ」と言っていた。
・「戦争に勝っていたら」「負けて良かったよ」など、戦争の傷跡はまだ残っている。軍艦マーチがもの哀しく響く。
・団地のお隣さんからトマトを借りるシーンあり。
・男性は外出時に帽子が必需品。
・酒に酔った演技がみなさん上手。
・佐田啓二は映画の2年後に37歳の若さで事故死。中井貴一の父。

一人で座っている時に、誰もが一番その人らしい表情を見せる。

小津作品にはある種の「型」のあることが、だんだんわかってきた。

アップリンク京都、113分。

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2024年10月14日

河路由佳『土岐善麿の百首』


副題は「生活派短歌の旗手」。
「歌人入門」シリーズの10冊目。

土岐善麿の短歌100首の鑑賞に加えて、解説「短歌といっしょに長距離を走り切った生活者」が載っている。

――to katareba,
‘Ya, ima omoeri shika ware mo’ to ii, tagaini,
  Yorokobishi koro! /『NAKIWARAI』

汗みどろの
顔をふりむけて、炎天の
 荷ぐるまひきがわれをば見たり。/『街上不平』

つぶら眼の首振り人形真夜中にひとりゑみして首ふらず居り/『初夏作品』

いきなり窓へ太陽が飛び込む、銀翼の左から下から右から/『土岐善麿新歌集作品T』

はじめより憂鬱な時代に生きたりしかば然かも感ぜずといふ人のわれよりも若き/『土岐善麿新歌集作品2 近詠』

鉄かぶと鍋に鋳直したく粥のふつふつ湧ける朝のしづけさ/『夏草』

わが鼻を小(ちい)さき指につまむもの天上天下この孫ばかり/『相聞抄』

長い人生をかけて実に多様な歌を詠み続けてきたことが、初期から晩年に至る100首を読むだけでもよくわかる。

土岐善麿は青年時代から晩年まで一貫して「歌人」と呼ばれることを厭い、短歌を経済活動に結びつけようとしなかった。頼まれて選者をつとめることはあったものの、自ら結社を組織せず、弟子をとらず、短歌の指導書や入門書は書かなかった。

『現代短歌全集』(筑摩書房)全17巻を見ると、土岐善麿の歌集は『黄昏に』『新歌集作品T』『六月』『遠隣集』の4冊が入っていて、これは北原白秋、窪田空穂、斎藤茂吉、土屋文明、若山牧水とならんで最多である。

その割に論じられることがあまり多くないのは、結社や弟子がないという点とも関係しているのかもしれない。

私は最近「啄木ごっこ」の連載で啄木の友人としての土岐善麿について書いたが、これまでの『短歌は記憶する』『樺太を訪れた歌人たち』『戦争の歌』『踊り場からの眺め』にも土岐善麿は出てくる。短歌史に関して何か書こうとすると、必ずあちこちで出会う人なのだ。

2024年6月8日、ふらんす堂、1700円。

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2024年10月13日

「まるたけ」創刊号

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塩見恵介さんを中心に京都で行われている「まるたけ句会」のメンバーによる俳句誌。

柳へも触らせにゆくランドセル/塩見恵介
九割の毛虫がいいね!した葉っぱ
ひとりでも鼻で遊べる象の梅雨
近道は寄り道に似て牛膝
まじめな包丁ふつつかな人参
蒼穹の形なぞって鷹渡る/平田和代
しゃぼん玉あちらのお客様からです/斎藤よひら
十二月八日ボタンを押せばお茶/赤川京子
一つずつ留めるボタンや冬に入る/板垣華蓮
風薫る天津飯が似合う人/川越来留美
節くれの指が舞ひたり祭笛/高橋康子
ジーパンの舞妓の昼や栗の花/田邉好美
手を挙げたまま溶けていく雪だるま/松尾唯花

黒田公平の評論「高安国世から学ぶもの―甲南時代とその生涯―」は12ページにわたる力作だ。甲南高等学校時代の校友誌『甲南』に載った高安作品を詳しく紹介している。

今日、高安の短歌は、『高安国世全歌集』によっておおよそを知ることが出来る。しかし、雑誌『甲南』に発表された作品は、収録されていない。(…)その全てを知るには、やはり雑誌『甲南』を手に取るしかない。しかも、それら高安が作品を載せた各号を読むには、現在、甲南大学の学園史資料室に保存されているものを閲覧する必要がある。

これはその通りで、私も以前この学園史資料室にお願いして高安作品の掲載部分のコピーを送っていただいた。古本屋などにもほとんど出ておらず、第10号と第14号を入手できただけである。

このように、探求し続けること、生活を直視する誠実さ、「真実」を求める浪漫性、教養に裏打ちされた表現、他分野との融合などは、短歌に留まらず私たちが高安から学ぶべき点であろう。

こうした高安国世論が読めるのは何とも嬉しい。今後さらに『甲南』掲載の初期作品に関する研究や議論が深まっていきますように!

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2024年10月11日

石川啄木と「ゴールデンカムイ」

中川裕『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』には、石川啄木の話が出てくる。啄木は漫画「ゴールデンカムイ」に何度か登場するのだが、両者の関係はそれだけではなかった。

主要登場人物の「ソフィア」のモデルの一人であるロシアの革命家ソフィア・ペロフスカヤ(1853ー1881)が、実は啄木と関わりがあるのだ。

彼は『悲しき玩具』という歌集の中で、「五歳になる子に、何故ともなく、ソニヤといふ露西亜名をつけて、呼びてはよろこぶ。」という歌を詠んでいますが、ロシア人研究者の報告の中に、このソニヤというのがアレクサンドルU世暗殺を指揮したソフィア・ペロフスカヤのことだ(ソーニャはソフィアの愛称)と書いているものがあるということです。確かめてみると日本の啄木研究者も同じように考えているらしいということがわかりました。

これは、まさにその通り。

岩城之徳は『石川啄木伝』に「女性革命家ソフィア・ペロフスカヤ」という一章を設け、この問題を丁寧に論証している。

現実の歴史とフィクションが不思議な符合を見せているのが面白い。

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2024年10月10日

中川裕『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』


前著『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』に続く第2弾。
https://matsutanka.seesaa.net/article/475974993.html

本文558ページ、約3センチという分厚さ。

人気漫画「ゴールデンカムイ」から衣食住、道具、狩猟、採集などに関わる絵を引用しながら、アイヌ文化について解説している。

さらに、樺太アイヌやニヴフ、ウイルタなどの北方少数民族についても詳しい記述があり、『樺太を訪れた歌人たち』を書いた時のことを懐かしく思い出した。

和人もかつて入れ墨をしていたのであり、日本列島を含んで、太平洋の人々は北から南まで入れ墨文化を持っていたのである。だから「なぜアイヌは入れ墨をしていたのか」より「なぜ和人の先祖は入れ墨をするのをやめてしまったのか」という理由を追求した方がよさそうです。
大熊座はローマ時代から知られている星座ですが、アイヌもそれを同じように熊として見ていたというのは、何か人間の感性の普遍的なものを感じさせます。
アイヌ語では、イソカムイ(クマの神)のように、さまざまな動植物の名にカムイを付けて呼びますが、単にカムイとだけ言った場合、樺太の西海岸ではトドを、東海岸ではアザラシを指します。

著者は「アイヌ語監修」という肩書から想像される以上に、「ゴールデンカムイ」に深く関わっている。アイヌの登場人物の名前を考えたり、アニメ化の際にはアイヌ語の発音やアクセントの指導も行う。

漫画家と学者・専門家の見事な協力体制が、「ゴールデンカムイ」という傑作を生み出したのであった。

2024年2月21日、集英社新書、1500円。

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2024年10月09日

北尾トロ『ツキノワグマの掌を食べたい!』


副題は「猟師飯から本格フレンチまでジビエ探食記」。

自らも狩猟免許を持ちエアライフルによる鳥猟を行う著者が、鳥獣のジビエ30種を食べた報告記。

鳥は、バン、ヤマシギ、キジバト、コジュケイ、キジ、ヤマドリ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、カワウ、カルガモ、コガモ、マガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、アオサギ、ホシハジロ、エゾライチョウ。

獣は、イノシシ、シカ、ツキノワグマ、ノウサギ、テン、イタチ、タヌキ、キツネ、ハクビシン、ヌートリア、アナグマ、アライグマ、キョン。

どれも写真入りで料理が紹介されていて、興味と食欲をそそられる。

いつも新鮮なジビエを食べていると、たまにスーパーで売っている家畜の肉を口にしても、おいしく感じられなくなるそうだ。
「ジビエに臭みがあるという人がいるけど逆なんだよね。スーパーの肉ににおいが気になっちゃう」

なるほど。確かにそうかもしれない。魚で言えば天然モノと養殖モノの違いで、本来は家畜の肉の方が人工的で不自然な匂いがしているのだ。私たちがそっちに慣れてしまっているだけで。

タイトルになったツキノワグマの話は、雑誌に掲載された際には「ツキノワグマの手を食べる」だったものが、「ツキノワグマの掌を食べたい!」に改題されている。

「食べる」より「食べたい!」の方がキャッチーだ。これは編集者の手柄だろう。

2024年4月5日、山と渓谷社、1650円。

posted by 松村正直 at 23:49| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月08日

オンライン講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」

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10月16日(水)19:30〜21:00、オンライン講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」を開催します。
https://college.coeteco.jp/live/8qz4clrq

ゲストは吉川宏志さん(「塔」主宰)、テーマは「直喩と暗喩、比喩のさまざま」です。

今年歌集『叡電のほとり』を刊行し比喩の巧さに定評のある吉川さんをお迎えして、永田和宏さんと私の三人で直喩や暗喩についてじっくりと語り合います。

どうぞお楽しみに!

posted by 松村正直 at 11:43| Comment(2) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月07日

映画「東京暮色」

監督:小津安二郎
出演:原節子、有馬稲子、笠智衆、山田五十鈴、杉村春子ほか

1957年公開作品。
小津安二郎特集での上映。

シベリア抑留から帰国した人など、戦後の雰囲気が色濃く感じられる内容。

・杉山家の前の坂道をのぼって帰宅するシーンが印象深い。
・男女の仲をからかう台詞に「お天道様が黄色く見える」があった。
・「アプレ(ゲール)」も出てきた。まさに戦後風俗の言葉。
・「困ったものだ」と呟く笠智衆は「男はつらいよ」の御前様だ。

全体にかなり暗くて深刻なストーリーだが、面白かった。小津の失敗作と言われることも多いのだとか。

アップリンク京都、140分。

posted by 松村正直 at 20:52| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月06日

上田三四二の講座

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「没後35年 上田三四二の短歌を読む」、無事に終了。
多くの方にご受講いただき、ありがとうございました。

上田三四二の平明で奥深い歌の魅力は、時代が移っても少しも色褪せることがない。

講座で紹介した20首選。良い歌が多くて絞るのに苦労した。

年代記に死ぬるほどの恋ひとつありその周辺はわづか明るし/『黙契』
若葉道に看護婦のむれ語りゆき木洩日(こもれび)は水のごとくかがやく
夜の駅にもの売る声の冴えとほりみづからの声をたのしむごとし
解剖台にうつさむとして胸のうへの銀の十字架の鎖をはづす/『雉』
感情のなかゆくごとき危ふさの春泥ふかきところを歩む
折りためし千羽の鶴はなきがらを焚く火のなかに啼き交したりや
たすからぬ病と知りしひと夜経てわれよりも妻の十年(ととせ)老いたり/『湧井』
死はそこに抗ひがたく立つゆゑに生きてゐる一日(ひとひ)一日はいづみ
ちる花はかずかぎりなしことごとく光をひきて谷にゆくかも
海を背に餌をつけてゐる釣人は岩のうへ祈るかたちに屈む
瀧の水は空のくぼみにあらはれて空ひきおろしざまに落下す/『遊行』
たんぽぽの穂わたの球(たま)は宙宇なし長茎のうへ透きてしづもる
疾風を押しくるあゆみスカートを濡れたる布のごとくにまとふ
叫喚の声なきこゑの空ゆくと空みつるさくら仰ぎつつをり
シャンデリアのもとの集ひもたけなはか夕雲をわが窓に見てゐる/『照徑』
つくられし尿管に湧く水のおとさやけきあきの水音ひびく
お河童のゆれてスキップに越しゆきぬスキップはいのち溢るるしるし
屋根こえてくる除夜の鐘映像のなかに打つ鐘ふたつ響(な)りあふ/『鎮守』
光ある庭にかけろをあそばせてやまひある身はあそびをたまふ
太陽は晴れたる朝を用意せり卵殻のごと天空ひかる

posted by 松村正直 at 22:18| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月05日

佐太郎と三四二

上田三四二の短歌を読んでいると、しばしば佐藤佐太郎からの影響を感じる。

大木(たいぼく)の幹の間ほそきひかりさし光の幅に霧はかがやく/『黙契』
茫然と机に居ればをりふしの風に灰皿の灰うごきをり/『雉』
水槽に降り込む雪は水の輪のなかにしばらくかたちを保つ/『湧井』
冬樹々のかげこまやかにうつる池かげの投網(とあみ)のなかに鯉ゐる/『照徑』

三四二は『短歌一生』の中でも、繰り返し佐太郎に言及している。

私は初学のころより斎藤茂吉に惹かれ、かさねて、『帰潮』を機に佐藤佐太郎に親炙して今日にいたっているが、(…)佐藤氏に受けた影響の大きさは門下の人々におとるとは思えないにもかかわらず、直接、その門をたたくことをしなかった。
佐藤氏は短歌の中で物の把握をもっとも徹底しておこなってきた人で、ここでも「風にかたむく」にその実行がある。それは実景であり、実景でなければならないが、しかしただの写生を越えたものがある。心眼と言いたいものがはたらいている。

両者の歌には似ている点も多いが、佐太郎の歌がドライであるのに対して、三四二の方はややウェットだと言えるだろう。

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2024年10月04日

住吉カルチャー&フレンテ歌会

10:30から神戸市東灘区文化センターで住吉カルチャーを開催。参加者は11名。

前半は吉川宏志歌集『叡電のほとり』を取り上げて話をする。後半は一人1首の歌の批評と添削。12:30に終了。

【住吉カルチャーは毎月第1金曜日に開催で、随時、参加者を募集しています。お気軽にご連絡ください。】

13:00から、同じ場所で第84回フレンテ歌会。参加者は18名。

前半は自由詠19首、後半は題詠「動」19首について議論する。

生の歌会では下を向かずに顔を上げていることがとても大切。耳で声を聞いているだけでは伝わらないものがたくさんある。

どの歌が良いかというだけでなく、誰のどの歌に対する評が良かったか、という観点も持っておいた方がいい。鋭い読みや面白い評に出会えるのが、歌会の何よりの醍醐味だと思う。

17:00終了。その後、近くのロイヤルホストへ行き、夕食&お喋り。19:00過ぎに解散。

posted by 松村正直 at 23:45| Comment(0) | 歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月02日

傷痍軍人と国立病院

日本の国立病院(現・独立行政法人国立病院機構)の多くは、戦前の陸軍病院・海軍病院・軍事保護院(傷痍軍人療養所)がもとになっている。

という話を、この夏のオンラインイベント「戦争で負傷した軍人は何を詠んだのか? ― 村山壽春の短歌」でした。

上田三四二は1952年から9年間、京都府久世郡城陽町(現・城陽市)の国立京都療養所(現在の国立病院機構南京都病院)で働くが、ここの前身も1939年設立の傷痍軍人京都療養所であった。

医の業(わざ)をたのしともなく山裾の療舎にわかき十年(ととせ)すぎにき/『遊行』
寝台に正座し待ちし傷痍軍人も診たりきわかき結核医われ

posted by 松村正直 at 23:27| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月01日

川島結佳子歌集『アキレスならば死んでるところ』

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「かりん」所属の作者の第2歌集。

起床して4秒でパソコン起動する在宅勤務にも慣れた冬の朝
どのような老女に私はなるのだろう押すとふかふかしているみかん
私が桃ならばここから腐るだろう太腿にある痣撫でている
シャーペンの先から芯を入れる眼をして蜜蜂を食おうとする猫
わたしがイカならば永遠に生きるだろう「産卵後すぐ死ぬ」と書かれて
空間を曲げつつ配達員の手を痺れさせつつ机は届く
お年玉もらうことなくあげることもなく一葉の無表情あり
冷蔵庫の闇にひっそり傷みゆくレタスは自らの水分で
人もなくて光もなくて真っ暗な花火大会翌夜の荒川
目を閉じて空腹だけになる私を吊り下げながら運ぶ地下鉄

1首目、始業時間ぎりぎりまで寝ていても大丈夫。「4秒」がいい。
2首目、上句と下句の取り合わせがおもしろい。浮き皮のみかんだ。
3首目、初句の入り方に意表を突かれる。傷みやすい果物である桃。
4首目、上句の比喩が個性的。集中して目にも力が入っているのだ。
5首目、出産してないことに対する複雑な思いをユーモアに包んで。
6首目、室内に運び入れるのが大変。「空間を曲げつつ」が印象的。
7首目、子どもや甥姪などがいないと、お年玉をあげる機会がない。
8首目、レタスのことを詠みつつ自らの身体のことも思うのだろう。
9首目、花火大会の歌は数多くあるけれど、翌日の夜の歌は珍しい。
10首目、身体が消え失せて空腹の意識だけが存在しているような。

2024年6月18日、現代短歌社、2200円。

posted by 松村正直 at 20:26| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする