2023年08月31日

雑詠(030)

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一〇〇円の買物袋がんじょうで迷いなくわが暮らしを運ぶ
奈良線に京都と奈良を行き来して涼しい車内で本二冊読む
笑顔ってそんなに大事なものかしら声をひらいて閉じる噴水
終点に近づくにつれて客が減り隣の人がなんだか近い
ロシア産ソフトにしん二八〇円、頭落とされた半身がならぶ
川中の石それぞれに確保して亀と鴉とゴイサギとあり
ほしいときに助けてくれる人はなし宅配ピザのちらしが届く

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2023年08月30日

川瀬巴水とその時代を知る会編『川瀬巴水探索』


副題は「無名なる風景の痕跡をさがす」

川瀬巴水の版画の風景がどこで描かれたものなのか、主に茨城県内の作品について現地調査を行った記録。古い航空写真や絵葉書、近隣の住民の証言などを元に、一枚一枚、作品の場所を特定していく。

巴水の絵はどこを描いたのか、分からない場合が多いのです。それは巴水がいわゆる名所を選ばずに、どこにでもある普通の風景を描くからです。
巴水はふつう風景画に分類されますが、そこに書き込まれた小さな人物に着目することで、その時代に生きた人間たちの歴史が強烈に浮かび上がって来ることが多いのです。
巴水の作品(「浮島戸崎」)に描かれた湖面は、昭和三十年代後半に稲作増産用に干拓されたが、米の需要がなくなったことにより、今はただ野原が続くのみである。

大正から昭和の戦後にかけて、巴水が全国各地を旅して描いた風景は、今も多くの人々の心を惹きつけている。まさに愛好者ならではの思いのこもった一冊だと思う。

2022年10月29日、文学通信、1900円。

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2023年08月29日

中島国彦『森鷗外』


副題は「学芸の散歩者」。

森鷗外の誕生から死までの軌跡を鷗外の作品や周囲の人々の証言によって描き出した評伝。昨年は森鷗外の没後100年ということで多くの本が出たが、本書もその一冊である。

鷗外には、津和野を正面から描いた文章は、なぜか見当たらない。実は、生前一度も津和野に帰ってはいないのである。
鷗外の翻訳文体は、『即興詩人』で高度の達成を見せる。有名な、「国語と漢文とを調和し、雅言と俚辞とを融合せむ」という言葉をそのまま体現する、見事な文体である。
『青年』が、漱石の『三四郎』の影響で、鷗外が「技癢」(腕がムズムズすること)を感じて書かれたことは、よく知られている。東京人漱石は地方から上京する門下生を見ているが、鷗外はそれとは違い、自身が上京の体験を持っていた。

このところ、いろいろな本の中で鷗外と出会うようになってきた。鷗外作品をもっと読まなくてはと思う。

2022年7月20日、岩波新書、880円。

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2023年08月28日

帰宅

2泊3日の島根旅行から帰ってきました。

京都→益田(多田温泉泊)→人麿の里全国万葉短歌大会→温泉津(温泉津温泉泊)→京都

大会では初めての方や久しぶりの方に、たくさんお会いできました。
お招きいただき、ありがとうございました。

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2023年08月27日

人麿の里全国万葉短歌大会

今日は13:30から島根県芸術文化センターグラントワ(益田市)で、柿本人麿没後1300年記念事業「人麿の里全国万葉短歌大会」があります。

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2023年08月26日

益田へ

島根県益田市へ行ってきます。
京都から5時間くらい。

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2023年08月25日

林宏樹『京都極楽銭湯案内』


副題は「由緒正しき京都の風景」。写真:杉本幸輔。

京都の銭湯のうち53軒を取り上げて紹介した本。銭湯の周辺にある店なども載っていて散策ガイドにもなっている。

唐破風、タイル絵、籐莚、行李、石田のハカリなど、昔ながらの風情を残している所も多い。写真を見ているだけで楽しくなってくる。

京都の銭湯が最も多かったのは1963年の595軒。この本が刊行された2004年には約260軒になっていた。それから約20年。今では約100軒にまで減っているようだ。

わが家の近くにあった泉湯も今はセブンイレブンになってしまった。「京都で一番のビジュアル銭湯」と紹介されている羽衣伝説のタイル絵も、もう見ることはできない。

2004年12月24日、淡交社、1500円。

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2023年08月24日

中井スピカ歌集『ネクタリン』

本阿弥書店
発売日 : 2023-07-31

2022年に「空であって窓辺」30首で第33回歌壇賞を受賞した作者の第1歌集。399首を収めている。

カタカナが多いのが特徴で、カタカナの使われている歌が235首と歌集の6割近くにのぼる。さらにタイトルもカタカナだし、作者名にもカタカナがある。

はつなつのベーカリーから溢れ出すシナモンロールはみんな右巻き
季節ごと花の名前を変えているパスワードあり今はyuugao
誰の子も可愛くなくて丘をゆく私は欠けた器だろうか
胃に肺に土足で踏み込む母がいてそこにマティスの絵などを飾る
イチゴジャムブルーベリージャム毎日は二色しかなくなんてカラフル
冬の苺がケーキの上に散らばって大人のほうがずっと寂しい
寒気団去りゆく予報 ポトフから昇る蒸気にオレガノを振る
機関車の車輪のごとく腕回しコーヒー豆を君は砕きつ
川はもうよそよそしい顔 越してゆく私に橋を渡らせながら
展開図少し違えて二人して牛乳パックを真白く開く

1首目、結句「みんな右巻き」がいい。全体に明るい気分が満ちる。
2首目、夏はユウガオなのだ。他の季節は何だろうと想像が膨らむ。
3首目、子を持たない自分の人生に迷ったり悩んだりする日もある。
4首目、押しの強い母なのだろう。マティスの強烈な色彩が浮かぶ。
5首目、赤か紫のジャムをパンに塗って、毎日仕事に出かけていく。
6首目、そう言えば子どもの頃は大人も寂しいのだと知らなかった。
7首目「寒気団」と「蒸気」が重なり合って、食卓の風景が膨らむ。
8首目、動輪とロッドの動きが鮮やかに浮かび君の力強さが伝わる。
9首目、見慣れた風景が別のものに見えてくる。「渡らせ」がいい。
10首目、誰かと一緒に住むとはこうした差に気づくことでもある。

2023年7月31日、本阿弥書店、2400円。

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2023年08月23日

齋藤希史『漢文脈と近代日本』


2007年に日本放送出版協会より刊行された『漢文脈と近代日本 もう一つのことばの世界』を文庫化したもの。

江戸から明治・大正にかけての文献をたどりつつ、漢文脈(漢文や訓読体など)が近代の日本語において果たした役割や、そこからの脱却の過程を論じている。この本も非常におもしろかった。

漢字文化圏というタームは、漢字が流通した地域の共通性を探ることに重点が置かれる傾向がどうしてもありますが、むしろ、漢字や漢文は、それが流通した地域の固有性や多様性を喚起したという側面にこそ、ほんとうは注目すべきであるように思います。
思考の問題と文体の問題は、切り離して論じることはできません。漢文こそが、天下国家を論じるにふさわしい文体であり、それがなくては、天下国家を語る枠組み自体が提供されなかったのです。
文語と口語の違いは、文章で用いるか口頭で用いるかという使用の局面以上に、その学習過程に決定的な違いがあることに留意する必要があるでしょう。
漢詩文における公と私の二重性を熟知し、また、自らの生き方としても、その二重性を全うしようとした明治の文学者として森鷗外は重要です。

漢文脈について考えることは、私たちが現在使っている日本語について考えることに直結している。そもそも漢文脈を抜きにして、日本語を論じることはできないのだ。

先人たちは漢文脈と格闘し、ある者はそこに生き、ある者はそこに風穴を開け、ある者はそこから外へ出て行きました。それによって、今の私たちのことばが成り立っているとすれば、私たちのことばが何であるかを知るためにも、今度は逆の方向から、漢文脈の世界へと足を踏み入れる時期に至ったとは言えないでしょうか。

なるほど、これは言ってみれば中国との関係を抜きに日本史を語れないのと同じことなのだろう。

2014年5月25日初版、2021年3月5日4版。
角川ソフィア文庫、840円。

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2023年08月21日

二人子

小池光の歌集『日々の思い出』(1988)にこんな歌がある。

自転車の前後に乗せて二人子にわれは歌へる水師営のうた

まだ小さな二人の娘と自転車に三人乗りしている。「水師営のうた」は佐佐木信綱作詞の唱歌「水師営の会見」。小池の祖父は日露戦争に出征しており、その関連の歌も多い。

子どもに古い日露戦争の歌を聞かせているのがおもしろい。ほのぼのとした歌という印象で読んでいた。

でも、ふと気になって「水師営の会見」の歌詞を調べてみると、ステッセル将軍と乃木大将の会話が歌詞になっている部分がある。

五、かたち正して言ひ出でぬ、
   『此の方面の戦闘に
     二子を失ひ給ひつる
       閣下の心如何にぞ。』と。

六、『二人の我が子それぞれに
   死所を得たるを喜べり。
     これぞ武門の面目。』と、
       大将答力あり。

何と、乃木希典の二人の息子(勝典、保典)の戦死が話題になっているのであった。

小池の歌は、なるほど、自分と二人の娘の関係を、乃木将軍と二人の息子の関係に対比させているのか! 単なるほのぼの歌ではなかったのだ。
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2023年08月20日

講座「2023年上半期、注目の歌集はこれだ!」

  20230916.jpg


9月16日(土)に朝日カルチャーセンターくずは教室で「2023年上半期、注目の歌集はこれだ!」と題する講座を行います。今年の1〜6月に刊行された歌集の中から、おススメのものをご紹介して鑑賞するという内容です。

時間は13:00〜14:30の90分。場所は京阪「くずは」駅ビル3階です。オンライン受講もできますので、お気軽にご参加ください。
                    
【教室受講】
https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/378dcd78-5964-58c7-c708-644a26b57eae

【オンライン受講】
https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/4b344c1c-6ab9-9d5d-31a3-644a274f1a7f

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2023年08月19日

映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ハリソン・フォード、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、マッツ・ミケルセンほか

「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5作。

1969年を舞台に、列車で、車で、船で、飛行機で、ひたすら追いかけ追いかけられる冒険大活劇。今年で81歳になったハリソン・フォードの奮闘する姿を見られて大満足。

初めて劇場で観たシリーズ第2作(1984年)から既に39年。何とも懐かしい。私自身もそれだけ年を取ったということだなあ。

MOVIX京都、154分。
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2023年08月18日

長谷川麟歌集『延長戦』

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第10回現代短歌社賞を受賞した作者の第1歌集。

好きだった?と聞き返される 自転車を押して登ってゆく跨線橋
助手席にゆきのねむたさ こんなにもとおくの町で白菜を買う
ハンドルが右へ右へと行きたがる君の自転車 TSUTAYAがとおい
まぁそれはそういうことではないけれどよそってもらったサラダを食べる
生きづらいという謎のマウントを取り合っているように梅雨、紫陽花は咲く
読点に宿る悲しみ 自転車は漕げば漕ぐほど遠くに行ける
ああ僕が敗者だからか、勝ち負けが全てじゃないと言われてしまう
兄ちゃんは泣いてないからあの頃のままなんだよ。と妹は言う
山で吸う煙草はうまい バゲットを弱い炎でゆったりと焼く
駅前の再開発は進まずにそこで何度かサーカスを見る
いい映画だったね、とだけ言うことに決めてからエンドロールが長い
唇を重ねて笑うこともある 段々畑が広がっている

1首目、相手との会話の雰囲気や自転車を押す体感が息づいている。
2首目、だんだん意識が遠のくような感じ。雪の白さと白菜の白さ。
3首目、借りた自転車に癖があって、なかなか思うように進まない。
4首目、相手の発言に同意してはいないが、とりあえず流しておく。
5首目、どちらがより生きづらさを感じているかを競うような時代。
6首目、自転車を漕ぎ続けることで悲しみを紛らせているのだろう。
7首目、正論かもしれないが、慰めとして言われているのがわかる。
8首目、泣ける人と泣けない人。妹は泣いて心をリセットするのだ。
9首目、山登りの食事の感じがよく出ている。「ゆったり」がいい。
10首目、建物が壊されてずっと空地のまま放置されている場所だ。
11首目、観終えて最初にどんな感想を言うかはけっこう悩むもの。
12首目、幸せそうなキス。心の様子を段々畑に喩えたのが印象的。

2023年7月23日、現代短歌社、2000円。

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2023年08月17日

5年前

5年前の秋に母の喜寿祝いで京都を旅行した。

母は既に認知症を患っていたが身体は元気で、山梨から何とかひとりで京都まで来てくれた。家族で保津川下りをしたり、醍醐寺を見て回ったり、母の古い友人に会ったりした。

初日は母と2人で温泉旅館に泊まったのだが、翌朝私がフロントで支払いを済ませると、「ナオが出してくれたの? わー、立派になったもんだね」と喜んでくれた。

たった3万円くらいの額なのに、と思ったことを今も忘れられない。


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2023年08月16日

オンライン講座「作歌の現場から」

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NHK学園のオンライン講座「作歌の現場から」は、永田和宏さんと私が2か月に1回、ゲストの歌人を招いて話します。初回8月18日(金)のゲストは小池光さん、テーマは「意味を詰め込みすぎない」です。

1回ごとの参加も可能ですので、お気軽にお申込みください。
楽しく刺激的な内容になると思います。

https://college.coeteco.jp/live/mk1dcv43 (8月18日のみ)                   
https://college.coeteco.jp/live/84kyc7le  (4回分)

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2023年08月15日

平岡昭利『アホウドリを追った日本人』


副題は「一攫千金の夢と南洋進出」。

アホウドリを基点に近代日本の海洋進出について描いた内容で、とても面白かった。鳥類の捕獲や鳥糞(グアノ)の採取、リン鉱の採掘と帝国日本の膨張がリンクしていたことがよくわかる。

舞台となるのは、鳥島、小笠原諸島、南鳥島(マーカス島)、尖閣諸島、沖大東島(ラサ島)などの現在の日本の領土だけでなく、遠くミッドウェー島、ウェーク島、北西ハワイ諸島、アンガウル島、プラタス島(東沙島)、パラセル諸島(西沙諸島)、スプラトリー諸島(南沙諸島)にも及ぶ。

撲殺したアホウドリの数は、一八八七年一一月の鳥島上陸からわずか半年間に一〇万羽、一九〇二年八月の鳥島大噴火で出稼ぎ労働者一二五人が全滅するまでの一五年間では、およそ六〇〇万羽に達した。
早くから羽毛は輸出品であり、一八八〇年代〜一九二〇年頃にかけて、日本は世界の婦人帽などの主要な原料供給国であった。羽毛に加えて明治一〇年代後半から、鳥類のはく製の輸出も盛んになった。

太平洋の無人島の発見や開発、領有をめぐっては、日本人同士あるいは日米間でさまざまな摩擦が起きている。さらには、実際には存在しない島の領有を宣言する事態まで生じた。

(一九〇八年)七月二十三日に、この件が閣議決定され、ガンジス島は中ノ鳥島と名称を変えて、「帝国」に日本の領土に組み入れられた。
この中ノ鳥島が、日本の領土から消えるのは、第二次世界大戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が日本の行政権の範囲を決定した一九四六年のことで、「発見」から三九年後である。「帝国」日本は、「幻の島」を長く領有したのである。

本書に登場する島々の中には、太平洋戦争で日米の戦闘が行われた島もあり、また現在も国同士が領有権を争う島もある。誰も住まない小さな島であっても、国家の領土問題と無縁ではいられないのだ。

明治以降、日本が南方の多くの無人島を編入したことで、今日の排他的経済水域、すなわち海洋資源や水産資源が確保される二〇〇カイリの海域と領海を合わせた面積は、四六五万平方キロメートルと、日本の国土の一二倍にもなり、世界第六位の広さを持つことになつたのである。

今から考えると驚くほど粗末な船や装備で無人島へと乗り出していった明治期の日本人たち。そこには歴史的に見れば負の側面もあるのだけれど、その勇気や度胸にはやはり驚かされる。

2015年3月20日、岩波新書、780円。

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2023年08月14日

坂井修一歌集『塗中騒騒』

著者 : 坂井修一
本阿弥書店
発売日 : 2023-07-10

2017年から2021年までの作品521首を収めた第12歌集。
老いた母(と父)を詠んだ巻頭の「たらちね」24首に力を感じる。

ひよひよと鶉となりてさまよへりつくし野病院あけぼのの母
ちあきなおみ「夜間飛行」をうたふ母 父でもわれでもなき人恋ひて
虫を食ふおほきなおほきなヤゴだつたいまむくどりに追はるるとんぼ
「茂吉さん」「白秋さん」そつと呼んでみるこの本棚はあの世の扉
怒りもて黙せばわれの胃の壁やぽつんぽつんと血の小花咲く
川あればふたつ岸あり大淀の彼岸ふくらむ花街あかり
蠅を食ひ蛾を食ひ虻食ひ蝶を食ひしあはせならむ蜘蛛のからだは
われひとりしづくも絶えてなほゐるはものおもふゆゑあした御不浄
忘られて三四郎池あゆみきぬまつぱだかなりこの藤蔓も
盤上の縛りのと金ほのぼのと見ゆれば王はもう死んでゐる

1首目「よ」「の」の音の響きが徘徊する母の弱々しい姿を伝える。
2首目、下句が何ともせつないが、母には幸せな時間かもしれない。
3首目、幼虫の時は強かった蜻蛉が、今は逆の立場に置かれている。
4首目、この世にいない人と本の世界では親しく会うことができる。
5首目、ストレスによる出血や潰瘍を「小花」に喩えたのが印象的。
6首目、初二句の言い切りががいい。川向うには別の世界が広がる。
7首目、下句への展開に意外性がある。これがまさに命のありよう。
8首目、結句で初めてトイレの歌とわかる。束の間のひとりの世界。
9首目、人間もまた本来「まつぱだか」な存在だという思いだろう。
10首目、渡辺対藤井の棋聖戦。結句がケンシロウの台詞みたいだ。

「わたしも蝶だ」「ハシブトガラスの姿でわたし」「スカラベとなりて」「亀に転生するわれか」「わたしけふから歌うたふ虻」「われはいま憂愁の鴨」「われはいま山椒魚か」など、しきりに人間以外のものになりたがっているのが印象に残った。

2023年7月10日、本阿弥書店、2700円。

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2023年08月13日

8月13日

小さなころは体が弱く性格もわがままだったので、母にはずいぶんと心配や迷惑をかけた。両親は不仲で高校生の時に離婚したが、母はタクシーの運転手をしたり互助会の営業をしたりして、私たち兄弟を育ててくれた。世間的に見れば貧しい家だったが、貧しさをあまり意識せずに過ごすことができたのは母のおかげだ。

大学を卒業してフリーターになったときも、母は反対しなかった。好きなように生きればいいと言ってくれた。ただ、自分の稼ぎで食べていけるようになりなさいと注意してくれた。

私が会社勤めでなかったこともあって、母とはよく一緒に旅行した。輪島、湯布院、天売島、焼尻島、トマム、三保松原、京都など、思い出の場所がたくさんある。それが、せめてもの親孝行だったかもしれない。

母は会うたびにいつも「短歌で食べていけてるの?」と尋ねていた。「大丈夫、ちゃんと稼いでるよ」と言っても、あまり納得してないようだった。母は自分の人生に満足していたし、何の悔いもなかったと思う。でも、最後まで息子として母を安心させることはできなかったなという思いが残る。

さようなら、お母さん。

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2023年08月12日

『日本語の「常識」を問う』の続き

本の後半から印象に残った箇所を引く。

『新古今和歌集』に結実した流派(九条流)は、旧来の『古今和歌集』の歌ぶりに立つ者たちにとっては、新奇を狙うわけのわからないものに映っていた。それゆえ、新しく流行りはじめた禅宗の開祖の名をとって「達磨歌」と揶揄した。
中国では、初唐、盛唐の詩を重んじる『唐詩選』は、ほとんど見むきもされない。漢詩の古典を代表するのは、南宋の周弼により編纂された中唐、晩唐の詩を多く集めた『三体詩』である。
漢詩も古典語の世界だった。が、公安派は、当代の語を用いることを主張し、のちの白話詩を準備した。日本の漢詩の世界に、この動きが興ったことによって、香川景樹が和歌に当代語を用いてよいとし、調べを重んじる桂園派を興した、とわたしは推測している。
「定家仮名遣い」もそうだが、「契沖仮名遣い」は、それよりも、一般的には、ひろがらなかった。町人むけの版本などには参考にされなかったという意味だ。時代が下るにしたがって、いわゆる変体仮名の使用などが盛んになり、仮名遣いは乱れに乱れる。
日本語についての研究らしい研究は、国語学がはじまる以前に、江戸時代の「国学」で行われていた。「国学」をはじめた人びとは漢文によく通じていた。本居宣長が、白文で書かれた『日本書紀』は、最初から「訓読」されてきたと主張するまで、誰もそうは思っていなかった。

とにかく博学で、ものの見方が多面的でおもしろい。和歌革新運動や短歌における口語・文語の問題なども、こうした幅広い視野に立って考える必要があるのだろう。

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2023年08月11日

第8回別邸歌会

京都府宇治市の「中宇治BASE」で第8回別邸歌会を開催した。


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古い街道沿いにある築70年の酒店跡をリノベーションした建物。
宇治は外国人の観光客がかなり増えている印象だった。


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中はこんな感じで天井が高く、広々とした空間になっている。
市民交流拠点施設として、会議やイベントに使われているようだ。

参加者は16名。男女8名ずつで20代から70代くらいと年齢の幅が広い。13:00〜17:00、計32首について話し合う。いろいろな読みや議論が出ておもしろかった。

終了後、近くのサイゼリヤに行って話をする。
東京や愛知から参加してくださった方もいて、楽しい一日であった。

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2023年08月10日

鈴木貞美『日本語の「常識」を問う』


日本文化論の立場から日本語について考察した本。歴史や文化や政治など多様な観点を踏まえて、日本語について問い直している。

話題が次々と展開して著者の頭の回転についていけない部分もあるのだが、刺激的な本であるのは間違いない。近代国民国家の枠組みで築かれた日本語についての常識を次々と揺さぶってくる。

森鷗外や夏目漱石をはじめ、明治の知識人はかなり立派な漢文が書けた。実は明治時代は、日本の歴史のなかでも最も漢詩が盛んな時代だった。
「ヤマト言葉にこそ、日本人の心が宿っている」というのは、ある意味では、とても近代的な考え方だ。
神仏が出てこない能など、わずかしかない。能は宗教芸能だったからだ。それなのに、すばらしい演劇だとか芸術だとかいう。もちろん、そういってもよい。近代的コンセプトをズラしていることをよく承知してさえいれば、である。
文字をもたなかったヤマト民族が漢字を借りてヤマト言葉を書くようになったというストーリーを想い描くのは、世界のどの地域も、まず無文字状態があり、そこからしだいに文字文明が発達してきたかのように見る考え方だ。
天皇が歿したのちには、中国風と和風のふたつの名前をもつ習いだった。桓武は中国風で、和風は日本根子皇統弥照尊(やまとねこあまつひつぎいやてらすみこと)である。この天皇の諡号が、中国語と日本語の二重性をもつ日本文化のあり方を象徴していた。

まだまだ引きたい箇所はたくさんあるけれど、今日はこのあたりで。

2011年5月13日、平凡社新書、900円。

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2023年08月09日

図書館、図書館

昨日は片道1時間半かけて大阪の図書館へ調べものに行った。
3時間調べたけれど、目当てのものは見つからず。
古い雑誌は活字が小さいので、とにかく目が疲れる。
収獲はゼロだったが、それも自分の力になると思うことにしている。

今日は朝から京都市内の大学の図書館へ。
お金を払って一般利用をさせてもらっている。
3時間かけて調べものをして、驚くほど大判小判がざっくざく。
ひたすらコピーに励んだ。

大学生の頃にもっと勉強しておくんだったなあと、しきりに思う。
まあ、楽しい学生生活だったのだけれども。

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2023年08月08日

普久間朝充(監修)岡本尚文(写真)『沖縄島建築』


副題は「建物と暮らしの記録と記憶」。

建築という観点から沖縄の歴史や文化について考察した本。時代も用途も様式もさまざまな建築を取り上げて、建物の来歴や現状についてインタビューをしている。

この本でかたちにしたかったことは、建築や風土の記録とともに、沖縄に暮らす人々の声を聞き、書き留めること。それが写真とひとつになって、沖縄の生きてきた時間を想像させることだった。(岡本尚文「あとがき」)

紹介されているのは、「玉那覇味噌醤油」「津嘉山酒造所」「大宜見村役場旧庁舎」「沖縄ホテル」「親川鮮魚店」「首里劇場」「キャンプタルガニーアーティスティックファーム」「聖クララ教会」「オーアイシーメガネ店」「シーサイドドライブイン」。

他にも、沖縄の建築を理解するのに必要な話を盛り込んだコラムや、地域別の建築物のガイドマップもあり、充実した内容だ。

現在、解体・建て替えが検討されている名護市庁舎も載っている。地域主義建築の代表的な作品で、なるほど、これはすごいと思わせる。
https://maidonanews.jp/article/14944751

2019年12月20日第1刷、2020年2月1日第2刷
株式会社トゥーヴァージンズ、1900円。

posted by 松村正直 at 08:26| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月07日

濱松哲朗歌集『翅ある人の音楽』


「塔」所属の作者の第1歌集。
2014年から2021年の作品420首を収めている。

年相応の年収といふ幻想を休憩室のテレビにて見つ
元服のやうに名前を変へながら川にひかりの起伏ほころぶ
Tシャツは首まはりから世馴れして部屋着つぽさを刻々と得る
白鳥を焼くをとこゐて私にもすすめてくれるやはらかい部分
雪原よ われはわれより逃れ来て消されるまでを碑文に刻む
またひとりここからゐなくなる春の通用口にならぶ置き傘
絵葉書に切り取られたるみづうみの青、ほんたうのことは言はない
水草の眠りのやうに息をするあなたの土踏まずがあたらしい
箔押しの表紙のごとくわが視野にわづかに開く白梅の花
ここにきてやうやく合つてきたやうな身体、わたしの終の住処よ
しんどいと言はなくなつた頃からが正念場だと、根菜を煮る
この部屋にときをり出逢ふ蜘蛛のゐて積みたる本の谷あひに消ゆ

1首目、働き方が多様になった今も正社員中心の古い価値観が残る。
2首目、流れの途中で名前が変るのを元服に喩えたのがおもしろい。
3首目、世馴れすることの是非がTシャツを通じて問い掛けられる。
4首目、こうした薄暗い誘いが踏絵のように働く。抗うのが難しい。
5首目、歌を詠むことは、自身の存在を証明することかもしれない。
6首目、職場を辞めていった人の残した置き傘が徐々に増えていく。
7首目、写真の湖と本物の湖は違う。枠を設けて自分の内面を守る。
8首目、親密な関係にある相手。「土踏まず」への着目が印象的だ。
9首目、咲き始めた白梅の輪郭の鮮明さを箔押しに喩えたのだろう。
10首目、身体からは出られないので、折り合いをつけるしかない。
11首目、結句の取り合わせがいい。根気よくといった気分だろう。
12首目、同じ部屋に生きている者同士の連帯感。同居人みたいだ。

2023年6月24日、典々堂、2500円。

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2023年08月06日

映画「我が人生最悪の時」

監督:林海象
出演:永瀬正敏、南原清隆、楊海平、侯徳健、南果歩、宍戸錠ほか

1994年公開作品。「私立探偵 濱マイクシリーズ」第1弾。
30周年記念4Kデジタルリマスターによる上映。

2年前に「夢見るように眠りたい」(1986年)を観た際に、ブログに「「私立探偵濱マイク」シリーズもまた観たくなった」と書いたのだが、早くも実現した。
https://matsutanka.seesaa.net/article/480161204.html

やっぱり永瀬正敏はいいな。
スタイリッシュ&レトロ。モノクロの映像が美しい。

MOVIX京都、93分。

posted by 松村正直 at 22:05| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月04日

住吉カルチャー&フレンテ歌会

10:30〜12:30、神戸市東灘区文化センター(JR住吉駅すぐ)で住吉カルチャーを行う。参加者11名。柳原恵津子歌集『水張田の季節』を取り上げる。

昼食を挟んで、13:15〜17:00はフレンテ歌会。参加者14名。欠席の方の歌も含めて計34首について語り合う。議論を通じて歌の良い点や問題点が浮き彫りになってくるのがいい。

その後、近くの「かごの屋」で夕食を取りながらお喋りする。20:00過ぎに解散。こんな暑い夏にも、みんな元気に集まれるのが何よりのことだと思う。

フレンテ歌会は現在メンバーの新規募集をしてませんが、住吉カルチャーは参加者募集中です。

 【住吉カルチャー】
・日時 毎月第1金曜日の10:30〜12:30
・場所 神戸市東灘区文化センター(JR住吉駅すぐ)
・内容 前半1時間は近刊の歌集の紹介や秀歌鑑賞、
    後半1時間は受講生の作品(1首)の相互批評
・参加費 2000円

興味のある方はお気軽に松村までご連絡ください。
初心者からベテランの方まで、どなたでも歓迎します。

posted by 松村正直 at 23:14| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月03日

講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」

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NHK学園のオンライン講座「現代短歌セミナー作歌の現場から」は、永田和宏さんと私が2か月に1回、ゲストの歌人を招いて一つのテーマについて話します。初回8月18日(金)のゲストは小池光さん。

今のところ全4回(2023年度)となっていますが、今後2年くらい続く講座になる予定です。1回ごとの参加も可能ですので、どしどしお申込みください。楽しく刺激的な内容になると思います。
                   
https://college.coeteco.jp/live/84kyc7le  (4回分)
https://college.coeteco.jp/live/mk1dcv43 (8月18日のみ)

posted by 松村正直 at 18:28| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月02日

塚田千束歌集『アスパラと潮騒』


2021年に短歌研究新人賞を受賞した作者の第1歌集。
医療現場を詠んだ歌に印象的なものが多い。

建前がなくては違法行為だとヒポクラテスの後の二千年
のけぞった首筋に触れる恋人でも親でもないのに触れてしまえる
弱者にも強者にもなるベビーカー押して歩めば秋桜震え
ホーローの容器に蒸し鶏ねむらせて死とはだれかをよこたえること
ステートとPHS(ピッチ)が首にからまって身動きできないわが影揺れる
ソリリスをユルトミリスへ変えるときギリシャ神話のひかりかすかに
ひとりの生、ひとりの死までの道のりをカルテに記せばはるけき雪原
切るたびに野生はひとつ遠ざかり爪にやすりをおとす夕暮れ
大きすぎる皿を一枚買い求めいいのわたしのすべてになって
ママが泣いちゃうからねと添い寝され川底ねむる小石みたいだ

1首目、医療倫理に関する問い掛け。何が違法性阻却事由になるか。
2首目、患者の無防備な身体に触れてしまえることに対するおそれ。
3首目、上句が印象的。まわりの人々の反応によっても違ってくる。
4首目、料理をしている時にも、人間の死についての感慨がよぎる。
5首目、ステートは聴診器。常に気の休まることのない時間が続く。
6首目、薬の名前から神話に出てくる神の名前を連想したのだろう。
7首目、発病から死に至る経過や歳月が白いカルテに綴られていく。
8首目、語順がいい。下句まで読んで初めて爪切りの話だとわかる。
9首目、お守りみたいに自分の心を守ってくれるように感じたのだ。
10首目、添い寝するのではなく、されている。子どものやさしさ。

2023年7月7日、短歌研究社、2000円。

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2023年08月01日

今後の予定

下記のイベント、歌会、カルチャー講座に参加します。
多くの方々とお会いできますように!

・ 8月10日(木)講座「軍人家庭と短歌―戦後派歌人 森岡貞香の
           初期作品を中心に」(オンライン)
https://yatosha.stores.jp/items/649955f410a492002ab86682

・ 8月11日(金・祝)第8回別邸歌会(宇治)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/499999824.html

・ 8月18日(金)講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」
                   (オンライン)
 https://college.coeteco.jp/live/84kyc7le
 https://college.coeteco.jp/live/mk1dcv43

・ 8月27日(日)人麿の里全国万葉短歌大会(益田)
 https://note.com/marumaruhaohao/n/n7abf91c7e0f7

・ 9月10日(日)文学フリマ大阪
 https://bunfree.net/event/osaka11/

・ 9月16日(土)講座「2023年上半期、注目の歌集はこれだ!」
                    (くずは)
 【教室受講】
 https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/378dcd78-5964-58c7-c708-644a26b57eae
 【オンライン受講】
 https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/4b344c1c-6ab9-9d5d-31a3-644a274f1a7f

・10月 1日(日)現代歌人集会福岡エリア歌会(福岡)
 https://site-7297482-2187-9948.mystrikingly.com/#_5

・10月 8日(日)「パンの耳」第7号を読む会(神戸)

・10月21日(土)第9回別邸歌会(八日市)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/499999824.html

・10月28日(土)澄田広枝歌集『ゆふさり』批評会(大阪)
https://yururatanka.hatenablog.com/entry/2023/07/27/145941

・10月29日(日)大阪歌人クラブ秋の大会(大阪)
        講演「啄木短歌の超絶技巧」

・12月17日(日)第10回別邸歌会(宇陀)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/499999824.html

posted by 松村正直 at 21:18| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする