2023年04月30日

雑詠(026)

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メロンって野菜やねんで振り向いて三つ編みの子が少年に言う
河岸のさくら中州の菜の花も生きる力を競うがごとし
ながく続く坂の途中に腰かけてそのまま時を止めているひと
ピラミッドも自由の女神もモナリザも実際のところ見たことがない
にんげんを見下ろすことの楽しさにカフェの三階席はにぎわう
恐竜のしっぽを焼いて食べている春の食卓やけに広くて
表情があなたのうちへ消えてゆく挨拶に軽く微笑んだのち

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2023年04月29日

「現代歌人集会春季大会 in 富山」のご案内


 現代歌人集会春季大会23年 概要.jpg


現代歌人集会春季大会が7月17日(祝・月)に富山で開催されます。

第1部「小池光氏に聞く」(聞き手:大辻隆弘理事)、第2部パネルディスカッション(進行・黒瀬珂瀾氏、小島なお氏、笠木拓氏、江戸雪理事)という内容です。

どなたでもご参加いただけますので、ぜひお越しください。夏の富山でお会いしましょう!


 現代歌人集会春季大会in富山 裏面(地図差替).jpg

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2023年04月28日

日本語と中国語

朝日新聞の「習近平氏とゼレンスキー氏が電話協議」という記事の中に、習氏が「われわれは対岸の火事だと傍観することも、火に油を注ぐこともない」と述べたと記されている。
https://www.asahi.com/articles/ASR4V6V6QR4VUHBI03M.html

「対岸の火事」と「火に油を注ぐ」と2つの慣用句が入っていて、しかも「火」つながりなので印象に残った。「火」は当然「戦火」のイメージも呼び起こす。

これは、中国語にも日本語と同じような表現があるということだろうか。あるいは、翻訳の段階でこのような言い回しに変えられたのだろうか。一体どちらなのだろう。

気になって中国外交部のHPを確認してみた。
https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202304/t20230426_11066754.shtml

習氏の発言の中に「我们既不会隔岸观火,也不会拱火浇油」という部分が見つかる。ここが該当箇所のようだ。なるほど、原文の中国語でも「火」が2回使われているのか。

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2023年04月27日

アニメ「四畳半神話大系」

原作:森見登美彦『四畳半神話大系』
監督:湯浅政明
シリーズ構成:上田誠
キャラクター原案:中村佑介

2010年にテレビで放映されたアニメ全11話+未放映のエピソード3篇。前編・後編の二部構成を一気にまとめて見た。上映は15:55〜20:55の実に5時間!

第1話 テニスサークル「キューピット」
第2話 映画サークル「みそぎ」
第3話 サイクリング同好会「ソレイユ」
第4話 弟子求ム
第5話 ソフトボールサークル「ほんわか」
第6話 英会話サークル「ジョイングリッシュ」
第7話 サークル「ヒーローショー同好会」
第8話 読書サークル「SEA」
第9話 秘密機関「福猫飯店」
第10話 四畳半主義者
第11話 四畳半紀の終わり
未放映エピソード
「地面潜航艇、南極へ」
「地面潜航挺、女湯へ」〜閨房調査団桃色探索〜
「恋と釣りの地面潜航艇」

話しの舞台が下鴨神社、鴨川デルタ、京都大学あたりなので、出町座で観るのにぴったりであった。

出町座、約300分。
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2023年04月26日

島田潤一郎『あしたから出版社』


2014年に晶文社から刊行された単行本に2篇を増補して文庫化したもの。

作者が2夏葉社を創業した経緯やその後の展開、出版社の日々の仕事のことなどが綴られている。本に対する愛情の詰まった一冊だ。

夏葉社のことは、以前、関口良雄『昔日の客』を読んで以来気になっていた。こんなに地味で素晴らしい本を発掘して復刊する出版社ってすごいなと思ったのだった。
https://matsutanka.seesaa.net/article/482591227.html

一般的に、出版社はマスコミに分類されていて、そういう意味では、夏葉社もまた出版社であり、マスコミなのかもしれないけれど、ぼくの気持ちとしては、本をつくっているというよりも、手づくりの「もの」をつくっているような感覚なのだった。
ぼくは、自分のつくった本が、一〇年後も、三〇年後も、時代の波の届かない場所で、質素に、輝いていてほしい。だから、デザインはできるだけシンプルなほうがいい。
ある日、子どもは、マンガを一冊買えるお金で、文庫本の小説を買う。/それは、とてもわかりやすい、大人への階段だ。/ぼくは町の本屋さんのそうした日常を、全部、この目で見たいのである。
この本を売りたいんだろうな。そういうことが伝わってくる本屋さんが好きだ。そこに並んでいる本は、その店で働く人が売りたい本であり、同時に、常連のお客さんが買ってくれるのではないか、と考えた本でもある。本屋さんの棚は、書店員さんとお客さんたちが一緒になってつくっている。

出版業界は長期低落傾向にあり、出版物の売上も全国の書店数もピーク時の半分にまで減っている。一方で、近年、ひとり出版社や独立系書店が増えていて、それに関連した本も多い。

その中にあって、本書はかなり異色の一冊と言っていいだろう。出版に関するノウハウというよりは、作者のかなりプライベートな話が中心になっていて、エッセイとしての味わいが深い。

2022年6月10日、ちくま文庫、880円。
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2023年04月25日

今後の予定

下記のイベント、歌会、カルチャー講座に参加します。
多くの方々とお会いできますように!

・ 5月28日(日)和歌山県歌人クラブ春季大会(和歌山)
          講演「小池光の歌のあれこれ」

・ 6月25日(日)第7回別邸歌会(神戸)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/498931868.html

・ 7月 2日(日)講座「こんな短歌があるなんて!」(大阪)
 https://www.maibun.co.jp/wp/archives/course/43916

・ 7月17日(月・祝)現代歌人集会春季大会 in 富山(富山)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/499174176.html

・ 8月11日(金・祝)第8回別邸歌会(宇治)
 https://matsutanka.seesaa.net/article/498931868.html

・ 8月27日(日)人麿の里全国万葉短歌大会(益田)
 https://note.com/marumaruhaohao/n/n7abf91c7e0f7

・ 9月16日(土)講座「2023年上半期、注目の歌集はこれだ!」(くずは)
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2023年04月24日

谷川浩司『藤井聡太はどこまで強くなるのか』


副題は「名人への道」。

最年少名人(21歳2か月)の記録を持つ著者が、現在第81期名人戦に挑戦している藤井聡太について論じた本。名人戦の長い歴史や打倒藤井の戦略など、多くの角度から藤井六冠の強さに迫っている。

羽生さんと同世代の強豪棋士たちを指す「羽生世代」という呼称が定着しているのに対して、「豊島世代」という言葉はあまり聞かない。というのも、彼らの時代が来る前に、あまりにも強い藤井さんが彗星のごとく現れ、タイトルを次々と獲得していったからである。
藤井さんはAIを利用して強く成ったと思っている人がまだ多いが、決してそうではない。彼は自分の力で考え抜いて強くなった。そしてトップ棋士相手にじっくり集中して考えることのできるタイトル戦を重ねることで、より強くなっている。

本書で一番印象に残ったのは、著者が自らの時代を築けなかったと悔やんでいる点である。

私以前の三人(木村義雄、大山康晴、中原誠)と羽生さんは、いずれも一時代を築いた大名人である。しかし、私は永世名人資格の五期ギリギリで、自らの時代を長く築くことができなかった。
木村先生、大山先生、中原先生までは、名人は世襲制ではないにしても、「引き継がれていくものだ」という意識があったと思う。ただ残念ながら、その後はなかなかそういう形にはならなかった。(…)私自身の力不足があったことは否めない。

言うまでもなく著者も一流のトップ棋士なのだが、超一流にはなれなかったという思いがあるのだろう。これは謙遜でも何でもなくて、それだけプロの勝負の世界は厳しいということだ。

同様のことを、渡辺明名人もマンガ『将棋の渡辺くん』の中で言っていた。
「将棋界には大山・中原・羽生っていう大名人の系譜があって」「藤井くんもおそらく それ」「俺はそこには入らないんだよ」
https://www.youtube.com/watch?v=n61uMNWpWNU

つまり、大山―中原―(谷川)―羽生―(渡辺)―藤井という図式になるのだろう。超一流の棋士の華々しい活躍の裏には、その引き立て役に回らざるを得なかった多くの棋士たちの無念があるのだ。

2023年1月18日、講談社+α新書、900円。

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2023年04月23日

『遣らず』読書会

平井弘『遣らず』(2021)の読書会に参加した。

二つの連作「遣らず」と「あんじゆうる」を対象に、14:00〜17:00の3時間かけて話し合った。一首単位の読み、連作全体の読みや構成、平井作品の特徴など、幅広い話題が出た。

寄り道せずに帰つておいでかへれるのをよりみちといふんだけど/「遣らず」
どこでどう越えたものだかおもしろいね川がですね右になります/「あんじゆうる」

『遣らず』はとても魅力的な歌集だが、一筋縄ではいかない手強さがある。参加者との意見のやり取りを通じて、ようやく『遣らず』の登山口が見えてきた気がする。

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2023年04月22日

第6回別邸歌会

和歌山市にある「なるかみ茶屋」で第6回別邸歌会を開催。
13:00〜16:40。

これで、兵庫、京都、滋賀、奈良、大阪、和歌山と関西2府4県を一巡りしたことになる。


DSC00933.JPG

「なるかみ茶屋」は築80年近い古民家。縁側付き二間続きの和室に座卓4台をならべて歌会をする。30代〜80代の参加者15名で、30首の歌について活発な議論を交わした。

いろいろな読みが出るのが歌会の面白いところ。歌にしても読みにしても、自分の枠や幅が少しでも広がるといいなと思う。


DSC00930.JPG

庭のつつじが満開で鮮やか。

和歌山では明日、衆議院の補欠選挙と市議選があるようで、時おり遠くから選挙カーの声が流れてきた。

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2023年04月21日

連載「秀歌を読もう」

NHK学園の機関誌「短歌春秋」に「秀歌を読もう」という短い鑑賞文を連載しています。

現在5回まで書いていて、あと3回書く予定です。

秀歌を読もう「永井陽子」(「短歌春秋」162号)
秀歌を読もう「石川啄木」(「短歌春秋」163号)
秀歌を読もう「山崎聡子」(「短歌春秋」164号)
秀歌を読もう「小池光」 (「短歌春秋」165号)
秀歌を読もう「河野裕子」(「短歌春秋」166号)

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2023年04月20日

「歌壇」2021年5月号

「ことば見聞録」第12回、品田悦一(万葉学者)と川野里子(歌人)の対談がスリリングで面白い。

話題は万葉集や斎藤茂吉についてだが、両者とも過度に相手にすり寄ったり話を合わせたりせず、言いたいこと、言うべきことをはっきり言っていて心地よい。

これはけっこう貴重なことで、私自身、対談や座談会などに出るたびに感じるのだけれど、どうしても話を合わせる方向に行ってしまいがちなのだ。

特に印象に残った発言をいくつか引く。

品田 柿本人麻呂や山部赤人は、万葉を代表する宮廷歌人ですが、彼らの営みは自己表現などではなかった。
品田 人麻呂は徹底的に体制派ですよ。体制を讃美し、体制を言葉によって荘厳することに命をかけていた人で、つまりプロパガンダの芸術ということを本気で追求した人です。
川野 男性批評者が囲んでいる斎藤茂吉という像は、茂吉自身と茂吉を囲む男性論者によって作られてきたのではないかという気がしてならないのです。
品田 歌人が短歌について語っている本はいっぱいあって、私も必要上ときどき手に取りますが、歌人の短歌解読には大概不純物が紛れ込んでいて、テクストの取り扱いとしては不徹底に終わっている。
川野 なぜ短歌が滅ばないかというと、近代化したい日本語文学という、ある種劣等感を伴った意識がある限り、短歌はその補完的な役割を担わされつつ、決して滅びずにあり続けるという奇妙な存在感があったのだろうという気がします。

なるほど、なるほど。
全21ページというなかなかのボリュームだが、実に刺激的だった。

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2023年04月19日

映画「パリタクシー」

監督:クリスチャン・カリオン
出演:リーヌ・ルノー、ダニー・ブーン、アリス・イザーズほか

タクシーでパリを移動しながら、乗客の老女は運転手に思い出を語り、自らの人生を振り返る。

辛く悲しいことの多い人生に、それでも美しく楽しい時間のあることを教えてくれる作品。

MOVIX京都、91分。

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2023年04月17日

カベルナリア吉田『アイヌのことを考えながら北海道を歩いてみた』


副題は「失われたカムイ伝説とアイヌの歴史」。

北海道各地を訪れて、博物館や史跡、記念碑、自然などを見て歩き、北海道の成り立ちやアイヌの歴史について考える紀行文。

著者の文体は多少乱暴なところがあるけれど、自分の眼で見て自分の頭で考える姿勢が一貫しているところに惹かれる。タクシーやレンタカーは使わず、鉄道やバスなどの公共交通機関と徒歩だけで移動しているところにも共感する。

この山丹交易の一環に、樺太との交易を通じてアイヌも参加し、中国製品を得ていた。北海道から樺太経由で中国大陸まで通じる交易の道――北のシルクロード。/アイヌは交易を通じ「世界」とつながっていた。北海道に閉じこもり、黙々と狩猟採取を行っていたイメージを持たれがちだが、そんなことはないのだ。【函館:北方民族資料館】
第19代目の徳川義親(よしちか)さんがスイスのベルンに行ったとき(優雅だね)木彫り熊を見て持ち帰り、八雲に木彫り熊が伝わった。ちなみにベルンは「ベア」つまり熊のことで、街の中に熊を飼う公園があり、街角で木彫り熊も売られていたという。【八雲】
明治初期に逮捕された犯罪者たちの多くは、殺人や窃盗など明確な悪事を働いたわけではなく、結果的に新政府に逆らった人々だった。彼らは囚人の汚名を着せられて、極寒の大地で過酷な労働を強いられた。【札幌:月形樺戸博物館】
室蘭は、昔は「モルラン」と呼ばれ、アイヌ語の「モ・ルエラニ」〜「小さな・下り坂」に由来する。目の前に延びる、この細い坂道の辺りで「室蘭」の名は生まれた。【室蘭】
世界遺産、日本遺産そして北海道遺産。名所や文化の保存と伝承を名目に「遺産」に認定して、実はその裏で観光収入増加を目論む、利権の奪い合いがある。また「遺産」の名がついた場所には、自身の旅先すら選ぶ価値観がない人々が、群れを成して押し寄せる。【稚内:北防波堤ドーム】
ここ数年、北海道では鉄道の運休や廃止案が相次いでいる。もともと利用客が少なかったところに、天災が直撃し、復旧に巨額の費用をつぎ込んでも回収が見込めない路線が多い。広大な北海道で、鉄道は移動の命綱なのだが、どうなってしまうのだろうか。【静内】

2015年から7年かけて道央、道南、道東、道北をくまなく歩いた著者の感じたのは、北海道経済の衰退と過疎化の進行、そして軽薄な観光振興の姿であった。

2020年のウポポイ開業をはじめ、近年アイヌに関する話題が増えているが、歴史的・文化的な理解を深めることなくただ観光に利用しようとする姿勢にも、著者は繰り返し異議を唱えている。

2022年7月19日、ユサブル、1800円。

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2023年04月15日

オンライン講座「短歌のコツ」

毎月第4木曜日の19:30〜20:45、NHK学園のオンライン講座「短歌のコツ」を行っています。

https://college.coeteco.jp/live/mgzjcvo0

今後の日程は以下の通り。

・4月27日(第3回)
・5月25日(第4回)
・6月22日(第5回)

第3回〜第5回となっていますが、一回ずつ完結の講座ですので途中の回から受講されても全く問題ありません

質問の時間も多めに取っていますので、お気軽にご参加ください。

posted by 松村正直 at 16:24| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月14日

吉祥院天満宮(その2)

北海道・樺太を探検したことで知られる松浦武四郎は、実に多面的でさまざまな業績を残している。

その一つに、「菅公聖蹟二十五拝」の制定がある。これは、北野天満宮(京都)、大阪天満宮(大阪府)、厳島神社天神社(広島県)、太宰府天満宮(福岡県)など、菅原道真とゆかりの深い天満宮25社を巡拝するもの。

松浦は1875年から1886年にかけて25社に神鏡を奉納し、石碑を建立した。また「聖跡二十五拝順拝双六」を発行したりもしている。

ここからが本題なのだが、25社のうち6社が京都にあり、そのうち3社には石碑が現存している。その一つが吉祥院天満宮にあるのだ。

第1番 菅原院天満宮(京都市上京区)*石碑あり
第2番 錦天満宮  (京都市中京区)
第3番 菅大臣天満宮(京都市下京区)*石碑あり
第4番 吉祥院天満宮(京都市南区) *石碑あり
第5番 長岡天満宮 (長岡京市)
第25番 北野天満宮 (京都市上京区)

吉祥院天満宮の境内には数多くの石碑や石柱が立っていて、見つけるのに時間がかかった。20分くらい探し回っただろうか。拝殿前にあるあまり目立たない少し黒ずんだ石が、目当ての石碑であった。


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石碑の表面。

部分的にかなり擦り減っているが、「聖■■■■(蹟廿五拝)」「第四番」「吉祥院天満宮寶前」「望月■■■書」とあるようだ。


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表面の下部。


 DSC00908.JPG

石碑の裏面。

こちらには、「発起人 ■■ 松浦武四郎」「資材主 江尻 望月治三郎」と刻まれている。


 DSC00910.JPG

裏面の下部。
右側に「松浦武四郎」の文字がはっきりと確認できる。

すごいな、武四郎と京都で会えるなんて!


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藤棚の藤も咲き始めて、とても雰囲気の良い神社だった。
残りの2社も近いうちに訪ねてみよう。

posted by 松村正直 at 07:36| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月13日

吉祥院天満宮(その1)

京都市南区にある「吉祥院天満宮」へ、とある石碑を見に行く。
JR西大路駅から徒歩で約15分。

創建は934年と古く、菅原道真の生誕地と伝えられている。


 DSC00901.JPG

「菅公御誕生之地」の碑。
ただし、京都には他にもいくつか生誕地とされる場所がある。


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菅公胞衣塚。
「胞衣(えな)」は胎盤やへその緒のこと。


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へその緒に因んでへその形の石が祀られている。


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天満宮と言えば、なで牛。
この牛は撫でるだけでなく、お腹をくぐることもできる優れもの。


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「征清之役軍人紀念之碑」。
日清戦争後の1896(明治29)年に建てられた記念碑だ。


 DSC00893.JPG

「忠魂碑」。
傍らにツツジが咲き始めている。


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忠魂碑の裏側。

「昭和■辰四月建之」とある。おそらく1928(昭和3)年(戊辰)の建立だろう。下部には「征露之役戦死者」として日露戦争の死者の名が刻まれている。


DSC00914.JPG

新緑に包まれた拝殿。

見どころの多い神社だが、境内には誰もいなくて静かだ。この写真の右側の灯籠の奥の木の左に見える小さな石碑が、今回の目当てのものである。

posted by 松村正直 at 09:15| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月12日

島田修三『短歌遠近』


副題は「短歌でたどる戦後の昭和」。
2020年1月から2年間、「中日新聞」「東京新聞」に毎週連載された文章をまとめたもの。

「戦争孤児」「結核」「力道山」「東京タワー」「安保闘争」「あしたのジョー」「カップヌードル」「企業戦士」「ソ連解体」など、99のトピックに関する短歌を取り上げ、戦後の昭和の歴史や暮らしの様子を描き出している。

【練乳】
 昭和の子なれどもわれは練乳を苺にかけた記憶のあらず
            花山多佳子『鳥影』
苺は甘さの対極にあった。今の甘い苺からは想像できないほど酸っぱい果物だったのだ。

ああ、そう言えばそうだったと思い出す。わが家では練乳ではなく、苺に砂糖と牛乳をかけて、スプーンで潰して食べていた。今の苺なら、そんなことをしなくても十分に甘いのだけれど。

【バキューム・カー】
 去りし日の馬車をおもへばしづかなるひとみの馬は屎尿を
 はこぶ        小池光『草の庭』
いつのまにか家々の屎尿の汲み取りにバキューム・カーが導入されていたことも変化のひとつだった。これは子供心にも画期的な進歩のように思えた。

私の生家も水洗トイレではなく汲み取り式のトイレで定期的にバキュームカーが来ていた。子供の頃(昭和50年代)それが恥ずかしくて仕方がなかったのだけれど、なるほど、バキュームカーが最先端だった時代もあったのだ。

私は昭和45年生まれなので、本書に記されたトピックにも、知らないこと、話にだけ知っていること、リアルタイムで知っていることが混ざっている。

一方で昭和25年生まれの著者にとって、戦後の日本を振り返ることは、すなわち自らの人生を振り返ることでもあったのだろう。アメリカに対する愛憎半ばする思いなどが率直に記されている。

2022年10月10日、風媒社、1500円。

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2023年04月11日

「歌壇」2023年4月号

昨年12月に亡くなった篠弘さんの追悼特集が組まれている。

鼎談「篠弘氏の歌業」(三枝ミ之、島田修三、栗木京子)が良かった。故人と関わりの深かった3人が、篠の評論や作品を取り上げて、その功績や問題点について率直に語り合っている。

島田 明治の近代短歌から前衛短歌までのスパンで、短歌史を見通した人は篠さんだけでしょうね。あの人のやり方は資料至上主義、資料に語らせるのね。三枝さんはご存じだと思うけれど、あれは早稲田の柳田泉の流儀だと思う。
栗木 篠さんは「前衛短歌が取り落としたものの一つに、女性の歌を読み切れなかった、ということがあった」と思っていらした。例えば山中智恵子さん、葛原妙子さんなどの位置づけ。(…)その反省の上に立って、女性の歌の流れを大事にされましたね。
三枝 戦後民主主義を基準にして短歌史をどのように見るかが彼の使命だった。(…)篠さんは一つの篠史観を残してくれたわけだから、それをどういうふうに補うか、どういうふうに伸ばすか。違う観点を出すかというようなことが、残った人に課させられた課題だと思います。

篠さんについての思い出を一つ。

2021年に篠さんのライフワークであった『戦争と歌人たち』(本阿弥書店)の書評を書いた時に、十数か所の誤植を見つけて版元に連絡した。すると、その日のうちに篠さんから電話が掛かってきてお礼を言われたのである。

体調の問題があって十分な校正ができずに申し訳ない、再版する際には直したい、とまず謝って、それから、若い人に読んでもらえるのはありがたい、これをもとにさらに若い人が調べて書いてほしい、とおっしゃった。

十数分話をしただろうか。それが篠さんと話した最後である。

『戦争と歌人たち』のテーマをどのように受け継いでいくのか。昨年のオンラインイベント「軍医の見た戦争 ― 歌人米川稔の生涯」は、その問いに対する私なりの回答でもあった。

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2023年04月10日

映画「THE FIRST SLAM DUNK」

インターハイの2回戦、湘北高校対山王工業。白熱した試合の流れを追いながら、そこに宮城リョータの生い立ちなどが回想として挟み込まれていく。

バスケットボールをする選手の動きやスピード、体感が鮮やかで、まるで本物の試合を見ているような気分になった。

Tジョイ京都、124分。
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2023年04月09日

山川徹『カルピスをつくった男 三島海雲』


2018年に小学館から刊行された単行本の文庫化。

「カルピス」の生みの親である三島海雲の評伝。浄土真宗の寺に生まれて僧侶となり、その後、中国大陸に渡って様々な事業に取り組む中で内蒙古で乳製品と出会い、1919(大正8)年に「カルピス」を発売する。

多くの資料と関係者への聞き取りによって、三島の異色の経歴や実業家としての経営哲学が明らかになっていく。それは、明治から昭和にかけての日本の近代国家としての歩みとも深く関わっている。

カルピスの発売は一九一九年七月七日―七夕の日だった。(…)七夕にちなんで、青地に白の水玉という天の川をイメージした図案が、戦後に白地に青といういまも使われているデザインに変わったのである。
一九四五年、日本の敗戦を機に内モンゴルはモンゴル国との統一を目指すが失敗に終わり、その後中華人民共和国に取り込まれてしまう。内モンゴルはモンゴル民族の自治権を与えられた自治区となり、現在にいたっている。
カルピスの船出から八八年後の二〇〇七年のカルピス社の調査で、日本人の九九・七%がカルピスを飲んだ経験を持つという結果が出た。国民飲料と呼ばれるゆえんである。

99.7%とは何とも驚異的な数字だ。こんなに親しまれている飲み物は他にないだろう。

三島は若い頃から多くの人物と関わりを持った。杉村楚人冠(新聞記者)、大谷光瑞(浄土真宗本願寺派第22世法主)、桑原隲蔵(東洋史学者)、大隈重信(政治家)、土倉龍治郎(実業家)、与謝野寛・晶子(歌人)など、多くの人物が登場する。

晶子の詠んだカルピスの歌が新聞広告に使われた話は、松村由利子『ジャーナリスト与謝野晶子』にも詳しく載っている。

カルピスは奇(く)しき力を人に置く
   新らしき世の健康のため
カルピスを友は作りぬ蓬萊(ほうらい)の
   薬といふもこれに如(し)かじな

それから100年。今もカルピスは多くの歌人に詠まれている。

「カルピスが薄い」といつも汗拭きつつ父が怒りし山荘の夏
        栗木京子『夏のうしろ』
結果より過程が大事 「カルピス」と「冷めてしまったホットカルピス」
        枡野浩一『てのりくじら』
こぼされてこんなかなしいカルピスの千年なんて見たことがない
        平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』

久しぶりにカルピスが飲んでみたくなってきた。

2022年1月12日、小学館文庫、780円。

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2023年04月08日

別邸歌会のご案内

関西各地のレトロな建物で、2か月に1回、歌会を開いています。
初心者からベテランまで、どなたでも参加できる歌会です。


  「別邸歌会」チラシ 2023.04.08.jpg

・4月22日(土) なるかみ茶屋(和歌山市)
・6月25日(日) 結水荘(兵庫県神戸市)
・8月11日(祝) 中宇治BASE(京都府宇治市)

ご興味のある方は、ぜひ一度お越しください。

posted by 松村正直 at 18:25| Comment(0) | 歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月06日

新聞の値上げ

昨日の朝日新聞に「購読料改定のお願い」が載っていた。朝夕刊の購読料が月に4400円から4900円に約1割値上がりする。

値上げ自体には何の異論もない。これまで通り購読を続けるつもり。

値上げの理由として原材料の高騰などが挙げられているが、おそらくそれだけではない。発行部数の減少も影響しているのだろう。実際に、私の周りでも新聞を取っていない人がどんどん増えている。やがて、新聞の戸別配達制度も維持できなくなるにちがいない。

これは新聞だけの話ではない。(紙の)書籍や雑誌の売上も20年以上にわたって減少傾向が続いている。広い意味での活字文化の衰退と言っていいだろう。

短歌の世界も当然そうした影響を受けている。昨今の「短歌ブーム」は喜ばしいことだけれど、それは一方で、出版業界全体が大きく衰退している中にあって、歌集や短歌雑誌の減少幅が比較的少ないというだけのことかもしれないのだ。

購読料の値上げとあわせて、文字が12年ぶりに大きくなることも発表されている。面積にして約1割大きくなるそうだ。

小さい文字の読みづらい人には嬉しいことだけれど、これも喜んでばかりはいられない。文字が1割大きくなれば、当然のことながら文字の量は約1割少なくなるからだ。まるでステルス値上げのように。

posted by 松村正直 at 22:46| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月05日

「現代短歌」2023年3月号

発行からだいぶ時間が経ってしまったけれど、座談会「『つきかげ』はなぜおもしろいのか」(小池光・花山周子・山下翔)を読む。三人とも深く読み込んでいて、とてもおもしろかった。

 暁の薄明に死をおもふことあり除外例なき死といへるもの
小池(…)「除外例なき」っていうのがすごい造語だな。普通は「例外のなき死」と言うでしょう。「地下道(ちかだう)電車」や「売犬(ばいけん)」と同じよ。こういう半造語というか、茂吉の作った新しい熟語みたいのがすばらしくて。ほんとにさ、みんな死ぬんだな、と思うよな。
小池(…)やっぱり言葉で歌を作っている。写生なんて建前で看板には書いてあるんだけどさ、実際やってることは言葉を操作して、新しい言葉と言葉の組み合わせを試してみたりね。簡単に言えば、詩だよね。ポエジー。新しい言葉の発見みたいな意味での詩が、斎藤茂吉にはきわだってあるんだよ。

小池の発言からは、茂吉の歌を通じて小池自身が歌作りにおいて大事にしているものが伝わってくる。

posted by 松村正直 at 10:03| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月04日

森見登美彦『四畳半神話大系』


先日見た映画「四畳半タイムマシンブルース」が良かったので、長らく積ん読状態になっていたこの本を読んだ。森見作品を読むのは久しぶりのこと。

四畳半のアパートに住む大学3回生の「私」が主人公。彼が入学時に興味を惹かれた4つのサークルそれぞれに入った場合の4編のパラレルワールドの話で構成されている。

舞台が京都なので地理をイメージしやすく、すっと物語の世界に入り込める。やっぱり面白いな。

2005年1月5日第1刷、2007年7月19日第6刷。
太田出版、1680円。

posted by 松村正直 at 23:46| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月03日

深草散歩

暖かな春の一日。
京都市伏見区深草周辺(家の近所)を散歩する。


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深草飲食(いじき)町で見つけた国旗掲揚柱(掲揚台)。
「紀元二千六百一年」とあるので1941(昭和16)年のもの。

このあたり旧陸軍の第十六師団のあった地域で、戦争遺跡が数多く残っている。国旗掲揚柱は近くの深草小学校の前にもあるし、藤森神社の境内にもある。
https://matsutanka.seesaa.net/article/478145112.html


続いて、墨染寺(ぼくせんじ)で行われている「さくらまつり」へ。

深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染に咲け
     /上野岑雄(古今和歌集832)

と詠まれた墨染桜の伝説の残る寺で、境内にはいろいろな桜が咲いている。


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これは、薄緑の花が咲く「御衣黄」(ぎょいこう)。


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青空やソメイヨシノの薄紅を背景に、御衣黄の薄緑が鮮やかだった。

posted by 松村正直 at 08:16| Comment(0) | 戦争遺跡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月02日

松村由利子『ジャーナリスト与謝野晶子』


2019年9月から2021年4月まで「短歌研究」に連載された文章に加筆してまとめた一冊。大正時代を中心に多くの評論を書き、社会に向けて発言し続けた晶子の姿を鮮やかに描き出している。

晶子の評論活動は、明治末期から昭和初期にかけての二十年余りにわたった。最も活発に執筆したのは「大正デモクラシー」と呼ばれる時期と重なっている。有名歌人という肩書だけで長期間にわたってメディアで書き続けるのは困難だ。筆力はもちろん、本人の自覚や問題意識も不可欠である。

1912年のヨーロッパ旅行におけるインタビューで「新聞記者が男にも女にも最上の職業」と答えた晶子には、歌人としてだけでなくジャーナリストとしての資質もあったのだろう。イギリスの女性参政権運動に共感し、男女平等や民主主義を唱え、新しい教育のあり方を模索するなど幅広く活躍する。

この「ジャーナリスト」という観点は、新聞記者としてのキャリアを持つ著者ならではのものだろう。当時の社会状況や時代背景を一つ一つ明らかにしながら、晶子の活動の実態に深く迫っている。

中でも、晶子が政府の言論統制を強く批判した連作「灰色の日」30首(1909年)の読み解きは圧巻だ。これまで、あまり論じられてこなかった作品である。晶子が本格的な評論活動を始める前から既に社会に対して強い関心を持っていたことがよくわかる。

晶子の書いたことは今も少しも色褪せていない。当時はまだ言葉もなかった「男女共同参画」「ワークシェアリング」「生涯学習」「ライフ・ヒストリー」といった概念についても、いち早く言及している。

晶子は「あまりに子供に触れ過ぎて愛に溺れる母」と「あまりに子供に触れないで愛に欠ける父」とが対立している家庭は決して望ましい形ではないと言う。家庭における育児の担い手が一人しかいない「ワンオペ育児」が今も多くの女性を悩ませている現状を見るとき、晶子の主張の先見性を思わされる。

それだけ晶子の評論は本質的で鋭かったわけだ。一方でそれは、日本社会がこの100年の間ほとんど変わらずに来てしまったことを示しているとも言えるだろう。

2022年9月14日、短歌研究社、2500円。

posted by 松村正直 at 08:45| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月01日

坪内稔典『カバに会う』


副題は「日本全国河馬めぐり」。

「俳句研究」2005年1月号〜2007年9月号に連載された「全国カバ図鑑」に書き下ろし数篇を加えてまとめた一冊。

還暦の記念に日本中のカバに会いにいく決心をした著者は、4年あまりの歳月をかけて北海道から沖縄まで全国29か所にいる約60頭のカバのすべてを見て回った。まずは、その熱意に驚かされる。

と言っても、旅も文章ものんびりしたものである。

これという目的があるわけではない。いや、目的を設けないことにした。俳句などは詠まないのである。そのかわり、せっかく訪ねるのだから一時間はカバの前にいよう、と決めた。

カバは水の中に沈んだりして動かないことが多いので、1時間見ているというのはなかなか大変だったようだ。カバの様子だけでなくいろいろな話が出てくる。

小学生のころ、父に連れられて地極めぐりをした。当時、私の村(現在の愛媛県伊方町)からは別府へゆく定期船が出ていた。(…)病院とか大きな買い物は別府へ行くのが私の村の習いであった。陸路よりも海路が便利な時代であり、別府はもっとも近い都会であった。(大分・別府 山地獄)
太平洋戦争末期の昭和十八年八月から九月にかけて、上野動物園の動物たちは戦時処分を受けた。ライオン、ゾウ、クマなどの猛獣が殺されたのだが、カバは処分を免れた。(…)だが、動物園の食糧事情が悪化し、昭和二十年四月一日に大太郎(十九歳)が、四月二十四日に京子(二十八歳)がカバ舎のすみで死去した。餓死だったらしい。(東京都恩賜上野動物園)

俳句もいくつか載っている。

横ずわりして水中の秋の河馬
桜散るあなたも河馬になりなさい
全国の河馬が口あけ桜咲く

いいなあ。カバ。
動物園に行きたくなってきた。

2008年11月13日第1刷、2009年7月6日第3刷。
岩波書店、1600円。

posted by 松村正直 at 21:16| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする