2022年09月01日

雑詠(018)

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死臭より淡いけれども枕から漂いのぼるわれの匂いが
氾濫の収まりしのちの萎れたる川を見ており鴉とともに
言いたくて言えないことの百日紅のどから伸びて両目をやぶる
殺処分の囲いのなかに犬たちは交尾しており声を荒げて
弁当の蓋につきたる米粒のたましいなんて空疎なことば
この庭の奥にトイレがあることを知ってる、初めての店なのに
若き日の映画ふたたび見ることの増えて初秋の雲のあかるさ

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posted by 松村正直 at 06:18| Comment(2) | 雑詠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする