2020年12月31日

2020年の活動記録

作品
 ・「ふたご」8首(「歌壇」1月号)
 ・「アップルパイ」3首(「うた新聞」2月号)
 ・「心臓」7首(「短歌研究」5月号)
 ・「うれしいこぶた」15首(「パンの耳」第3号)

連載
 ・啄木ごっこ(第15回)日露戦争とナショナリズム
                   (「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第16回)二回目の上京と詩集『あこがれ』
                   (「角川短歌」2月号)
 ・啄木ごっこ(第17回)『あこがれ』の評価、評判
                   (「角川短歌」3月号)
 ・啄木ごっこ(第18回)一禎罷免のこと
                   (「角川短歌」4月号)
 ・啄木ごっこ(第19回)節子と「啄木新婚の家」
                   (「角川短歌」5月号)
 ・啄木ごっこ(第20回)中津川のほとりで
                   (「角川短歌」6月号)
 ・啄木ごっこ(第21回)「小天地」の発行
                   (「角川短歌」7月号)
 ・啄木ごっこ(第22回)徴兵検査  (「角川短歌」8月号)
 ・啄木ごっこ(第23回)渋民村への帰郷
                   (「角川短歌」9月号)
 ・啄木ごっこ(第24回)もう一人の啄木―『田舎教師』の林清三
                   (「角川短歌」10月号)
 ・啄木ごっこ(第25回)初めての小説(「角川短歌」11月号)
 ・啄木ごっこ(第26回)若きお父さん(「角川短歌」12月号)

 ・干支のうた「嫌われ者で人気者」(「NHK短歌」4月号)
 ・干支のうた「無口な働き者」(「NHK短歌」5月号)
 ・干支のうた「異国に棲む猛獣」(「NHK短歌」6月号)
 ・干支のうた「見つめる眼と長い耳」(「NHK短歌」7月号)
 ・干支のうた「想像が生んだ霊獣」(「NHK短歌」8月号)
 ・干支のうた「不気味なまでの長さ」(「NHK短歌」9月号)
 ・干支のうた「運ぶ、曳く、働く、乗る」
                 (「NHK短歌」10月号)
 ・干支のうた「眠れぬ夜の十億頭」(「NHK短歌」11月号)
 ・干支のうた「人間の姿を映す鏡」(「NHK短歌」12月号)

評論
 ・民衆から無名者へ、近藤芳美三十首(「歌壇」12月号)

時評
 ・日韓関係を考える(「朝日新聞」2月16日朝刊)
 ・資料を残す大切さ(「朝日新聞」3月22日朝刊)
 ・手探りの世界で(「朝日新聞」4月19日朝刊)
 ・性別や年齢ではなく(「朝日新聞」5月24日朝刊)
 ・未来を先取りする(「朝日新聞」6月21日朝刊)
 ・コロナ禍と言葉(「朝日新聞」7月19日朝刊)
 ・甦る戦争の姿(「朝日新聞」8月23日朝刊)
 ・二つの最先端(「朝日新聞」9月20日朝刊)
 ・東京よりも地元で(「朝日新聞」10月18日朝刊)
 ・初期の歌、後期の歌(「朝日新聞」11月22日朝刊)
 ・違和感を手掛かりに(「朝日新聞」12月20日朝刊)

書評
 ・飯沼鮎子歌集『土のいろ草のいろ』評
                 (「現代短歌新聞」4月号)
 ・三田村正彦歌集『京都紀行』評(「現代短歌新聞」9月号)
 ・山中律雄著『川島喜代詩の添削』評
                (「現代短歌新聞」12月号)

その他
 ・2020年度選者紹介(「NHK短歌」4月号)
 ・「鼠・子」入選歌、入選への道(「NHK短歌」6月号)
 ・「牛・丑」入選歌、入選への道(「NHK短歌」7月号)
 ・「虎・寅」入選歌、入選への道(「NHK短歌」8月号)
 ・「兎・卯」入選歌、入選への道(「NHK短歌」9月号)
 ・「龍・辰」入選歌、入選への道(「NHK短歌」10月号)
 ・「蛇・巳」入選歌、入選への道(「NHK短歌」11月号)
 ・「馬・午」入選歌、入選への道(「NHK短歌」12月号)
 ・私の稀覯本 石本美佐保著『メモワール・近くて遠い八〇年』
                   (「短歌往来」8月号)
 ・指針となった一言「とにかく十年」(「歌壇」8月号)
 ・河野裕子『家』評 空の巣症候群(「角川短歌」8月号)
 ・晶子の歌(「与謝野晶子の世界」第20号)
 ・現代歌人27人が選ぶ土屋文明短歌
               (「若き日の土屋文明」図録)
 ・三月の歌(「六花」vol.5)
 ・作品点描4(「角川短歌年鑑」令和3年版)
 ・河野裕子セレクション「猫」(第9回河野裕子短歌賞)

出演
 ・NHK短歌 題「鼠・子」(Eテレ、4月5日放送)
 ・NHK短歌 題「牛・丑」「虎・寅」(Eテレ、6月7日放送)
 ・NHK短歌 題「兎・卯」(Eテレ、7月5日放送)
 ・NHK短歌 題「龍・辰」(Eテレ、8月2日放送)
 ・NHK短歌 題「蛇・巳」(Eテレ、9月6日放送)
 ・NHK短歌 題「馬・午」(Eテレ、10月4日放送)
 ・NHK短歌 題「羊・未」(Eテレ、11月1日放送)
 ・NHK短歌 題「猿・申」(Eテレ、12月6日放送)

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2020年12月30日

全国樺太連盟の解散

本日届いた「樺連情報」1月号によれば、一般社団法人全国樺太連盟は2021年3月末をもって解散することに決まったとのこと。会員数は今も973名と少なくないが、高齢化が進み、今後の活動が難しい状況となっているようだ。歴史的な役割を終えたということだろう。

樺太連盟と北海道との間に委譲契約書が締結され、5773点の資料が北海道博物館に納品されたとのことで、ひとまず良かったと思う。ただ、残った資料等については、4月以降、「清算人会で寄贈・廃棄案を検討する」そうで、貴重な資料が失われてしまわないか心配である。

posted by 松村正直 at 13:13| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月29日

「塔」2020年12月号(その3)

当分のあいだと書かれし居酒屋の休業そろそろ三月となりぬ
                     坂下俊郎

コロナ禍で休業している店。「当分のあいだ」という貼紙のまま、一か月が過ぎ二か月が過ぎ、このまま閉店してしまうかもしれない。

生きてきた長さは年齢とは違う夕日に染まる野葡萄の影
                     吉原 真

上句の言い回しにハッとさせられた。同じ一年でも人によって長さや密度が異なる。下句の光景が上句の心情とうまく合っていると思う。

昼前に地震きたりてああお昼休みの話題ができたと思う
                     田宮智美

職場の昼休みに同僚たちとたわいもない会話をするのが苦手なのだろう。でも、この日は地震のおかげで話題探しに苦労しなくて済む。

コンビニのビニール袋がよく似合うあなたのままでいてほしかった
                     山名聡美

レジ袋が有料化され、多くの人が買い物袋や鞄に商品を入れるようになった。でも、確かにレジ袋が似合う感じのする人っているなあ。

こもりゐにひびくかなかな心配と心配りは同じ字だった
                     俵山友里

ステイホームで家にいて気付いたこと。「心配」はマイナス、「心配り」はプラスのイメージがあるけれど、漢字で書くと同じになる。

この街の公衆電話はすべて消えあなたの声は雪として降る
                     朝野陽々

携帯電話の普及に伴って年々公衆電話の数が減っている。下句が美しい。公衆電話で恋人と話をした記憶が、今も残っているのだろう。

手回しの音に世界が沈黙すコーヒーミルの聖なる時間
                     小林文生

ガリガリとコーヒー豆の挽かれる音だけがして、あたりはしんと静まり返っている。回転するコーヒーミルが世界の中心になったみたい。

posted by 松村正直 at 10:55| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月28日

「塔」2020年12月号(その2)

感染が止まぬ九月の半年前「9月入学」主張されにき
                     向山文昭

春先に新型コロナウイルスの感染対策として、大学の「9月入学」への切替が話題になった。今から思うとだいぶ見通しが甘かったのだ。

開いたらもう戻れない朝顔が見せる花芯の深きが白い
                     高橋ひろ子

朝顔は明け方に一度咲いたら、その日の昼頃にはもうしぼむだけ。花の中心の奥に見える白い部分は、強い決意の表れのようでもある。

いくつもの会社を渡りきし図面大きく赤字で納期を記す
                     吉田 典

金属加工の会社で働く作者。おそらく単価が安く、あまり儲けのない仕事なのだろう。その上、納期が短くても遅れるわけにいかない。

「どちら様もようござんすね」と見回してゴミの袋を閉じる火曜日
                     丘村奈央子

サイコロを使った丁半博打でよく耳にする台詞。いったん袋を閉じた後でまだゴミがあったとなると面倒なので、念入りに確認するのだ。

「枯れ木」から「歌歴」に変換する間(あわい)小さな花と思いぬ歌を
                     山田恵子

昔話の「花咲か爺さん」をイメージさせる展開だ。電子機器の文字変換は、時おり意外な言葉と言葉を結び付けてくれる楽しさがある。

九十四年で閉園となる豊島園あと六年で百年なのに
                     本田 葵

1927年に開園して今年8月に閉園した豊島園。下句の呟きが面白い。そんなこと言ってもという感じだが、確かに気持ちはよくわかる。

送り火の燃えつきかけて死者たちは何からこの世を忘れはじめる
                     加茂直樹

お盆に帰ってきた死者の魂をあの世へ送る行事。下句が印象的だ。数多くある現世の記憶のうち、何から忘れ始め、最後に何が残るのか。


posted by 松村正直 at 17:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月27日

「塔」2020年12月号(その1)

水野源三この世にまさばいかばかり喜びにけむオンライン礼拝
                     安藤純代

水野は瞬きを唯一のコミュニケーションの方法とした詩人。クリスチャンであったが生涯寝たきりで教会に行くことは叶わなかったのだ。

下山時に傷めた黒き足の爪初めて治る山へ行けずに
                     江種泰榮

「初めて治る」がおもしろい。普段は治りかけてもすぐにまた傷めてしまうのだ。コロナ禍でしばらく登山ができない状況なのだろう。

つぎの世は五人ばかりの子を産みてわさわさ生きむ歌はつくらず
                     落合けい子

結句「歌はつくらず」に短歌に対する様々な思いがこもる。現実の今の人生とはまったく別の生き方を、ふと想像してみたりするのだ。

少し眠ってしまったらしい床の本拾ってもとのページを探す
                     芦田美香

床に落ちた物音でハッと目を覚ましたのだろう。ウトウトして手から滑り落ちてしまった本。慌てて続きのページを探そうと指先が動く。

国民服の深きポッケより手品のごと父が取り出しき森永キャラメルを
                     東郷悦子

戦中か戦後間もなくの光景。食料の乏しい状況下でポケットから出されたキャラメルは、まるで宝石のように輝いて見えたに違いない。

赤き★に終はる迷路の出口まで迷ふことなし子の筆圧は
                     西之原一貴

子ども向けの迷路で遊んでいるところ。スタートからゴールまで力強く鉛筆を進めていく。「赤き★」がよく、カラーの紙が目に浮かぶ。

道の辺の茶房「風夢風夢(ふむふむ)」そのうちに扉開けんと今日も見て過ぐ
                     相馬好子

店名の面白さに心惹かれるものがある。でも、いつも「そのうちに」と思うばかりで、結局店に入ることはないまま終ってしまいそうだ。

posted by 松村正直 at 20:52| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月26日

竹下大学『日本の品種はすごい』


副題は「うまい植物をめぐる物語」。

タイトルの付け方が気になるが、内容はいたって真面目。花卉のブリーダー(育種家)である著者が、ジャガイモ、ナシ、リンゴ、ダイズ、カブ、ダイコン、ワサビの7種類の植物の品種改良の歴史を記した本である。

とにかく知らないことがいっぱい載っていて面白い。時代によって変わる品種の流行や長年にわたって研究を続ける人々の努力など、育種の奥深さがよくわかる。

(ジャガイモの)出荷量は約一九〇万トンである。このうち、カルビーの使用量は約二七万トン、国内生産量の一割を超えている
(ナシの)「新高」の名の由来は、当時日本の領土であった台湾最高峰の山、標高三九五一メートルの新高山(台湾名玉山)からとられた。
(リンゴの「ふじ」は)二〇〇一年に世界生産量ナンバーワン品種に認定されて以降、今日にいたるまで世界各国で栽培面積を広げ続けている。一説によると。「ふじ」の世界シェアは三〇%にも達しているそうだ。
すべての作物において、早生化は重要な育種目標となっている。作物の旬がどんどんと前進してしまうのは、初物ほど高く売れるという市場原理が強く働き、そこに大きなビジネスチャンスがあるからだ。
中国、朝鮮半島、シベリア経由で日本に入ってきたカブだが、なぜか中国では根菜としての改良は進まず、作物としての地位も高まらなかった。一方で、葉を食べる作物としては目覚ましい進化を遂げた。この作物こそがハクサイである。
ダイコンの消費量については、日本はいまだに世界一である。それも二位以下に圧倒的な差をつけてだ。その量はじつに、世界の約九割を占めているとされるほど。
人口一〇〇万人を超えて世界最大の都市になっていた江戸では、玄米を精米した際のぬかが大量に出るようになったため、ぬか漬けもまた庶民の口に入るようになったのである。
ワサビは数少ない日本原産の野菜であるとともに、日本オリジナルのスパイスである。

毎日食べている野菜や果物だけれど、こうして歴史や生産量などを具体的に示されると、一つ一つの食材が何ともいとおしく思えてくる。

2019年12月25日、中公新書、900円。


posted by 松村正直 at 10:28| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月23日

島村恭則『みんなの民俗学』


副題は「ヴァナキュラーってなんだ?」

ヴァナキュラー(俗、vernacular)をキーワードに、民俗学の考え方や具体的な研究内容を記した入門書。「家庭の中のヴァナキュラー」「喫茶店モーニング習慣の謎」「パワーストーンとパワースポット」など、現代的な民俗学の興味深い事例が紹介されている。

日本では、民俗学というと、農山漁村に古くから伝わる民間伝承(妖怪、昔話、伝説、祭りなど)を研究する学問だと思われている場合も少なくないようだが、現在の民俗学はそのようなものではない。
民俗学は、覇権主義を相対化し、批判する姿勢を強く持った学問である。強い立場にあるものや、自らが「主流」「中心」の立場にあると信じ、自分たちの論理を普遍的だとして押しつけてくるものに対し、それとは異なる位相から、それらを相対化したり、超克したりする知見を生み出そうとするところに、民俗学の最大の特徴があるのだ。

なるほどなあと思う。自分が民俗学に何となく興味を惹かれる理由が、これらの文章を読んでよくわかった。

折口は、民俗学調査の道すがらよく歌をつくったが、そこでは、しばしば「かそけさ」が歌われた。
  山びとの 言ひ行くことのかそけさよ。きその夜、鹿の 峰をわたりし
  山のうへに、かそけく人は住みにけり。道くだり来る心はなごめり
といった歌がそれだ。

つまり、こうした「かそけさ」も、「主流」や「中心」ではないものということなのだ。以前から考えていた短歌と民俗学の親和性を読み解く重要なポイントと言ってよいだろう。

共同井戸や共同水道が使われなくなった時期と、モーニングがさかんになりはじめた時期とがほぼ重なっているという話は、各地でしばしば耳にするところである。

そうか。モーニングは単に朝食代りの安いサービスというだけでなく、人々の井戸端会議的な場としての役割を果たしているのだ。

民俗学、おもしろいな。

2020年11月13日、平凡社新書、880円。


posted by 松村正直 at 07:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月22日

青年団公演「百メートル」

「忠臣蔵OL編」を観てから、夜になるまで時間をつぶす。喫茶店を2軒はしごして、夕方寒くなってきたので食堂でラーメンを食べる。身体が温まってありがたい。その後、19:00からの公演「百メートル」へ。


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夜の江原河畔劇場はこんな感じ。
ライトアップされていてきれい。

「百メートル」は陸上の100メートル走の決勝前の控室で、選手4名とコーチ2名の計6名が繰り広げる会話劇。試合前の緊張感や駆け引きが描かれている。上演時間は約30分。

帰りは19:52江原駅発に乗って22:59京都駅着。
特急が運転を終了していて普通・快速だけなので約3時間かかった。

日帰りで行くにはちょっと遠いかな。

posted by 松村正直 at 06:36| Comment(2) | 演劇・美術・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月21日

青年団公演「忠臣蔵OL編」

平田オリザの青年団が今年から本拠地にしている江原河畔劇場へ。
最寄り駅はJR山陰線の「江原駅」。
京都10:25発の特急に乗って12:32着。2時間あまり。


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初めて降り立った江原駅。
住所は兵庫県豊岡市日高町。
特急から降りた乗客は僕だけだった。


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駅前の風景。雪が積もっていて、ひたすら寒い!
食堂でやきとり定食を食べて、14:00からの公演へ。


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江原河畔劇場。
昭和10年竣工の旧豊岡市商工会館を改装したもの。


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劇場名に「河畔」とある通り、ロビーの窓から円山川が見える。

「忠臣蔵OL編」は上演時間約1時間。「大石さん」はじめ7名のOLが、会社で殿の切腹を知り今後のことを話し合う会話劇。忠臣蔵という誰もが知っているストーリーを踏まえて、討ち入りを決めるまでのやり取りがユーモラスに描かれている。

「忠臣蔵武士編」もやっているので、そちらも併せて観るとさらに楽しめるのだろう。


posted by 松村正直 at 09:08| Comment(0) | 演劇・美術・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月20日

播田安弘『日本史サイエンス』


副題は「蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る」。

船の専門家である著者が数字やデータを用いて歴史の謎を分析し、これまでの定説に異議を唱える内容。取り上げているのは「蒙古軍はなぜ一夜で撤退したのか」「秀吉の大返しはなぜ成功したのか」「戦艦大和は無用の長物だったのか」の3つ。

蒙古軍が300隻もの大船団を狭い博多湾につなぐだけでも、船のことを知っている筆者からみれば大変な仕事です。
玄米のごはんで握ったおにぎり1個を、およそ100gと見積もります。そのエネルギー量は、約173kcalです。すると、3700kcalをまかなうには、ほぼ20個必要となります。つまり、兵士1人あたり1日に20個のおにぎりが必要ということになります。全軍は2万人ですから、毎日、約40万個のおにぎりが必要だということです。
41cm砲と46cm砲では、弾径は46/41で1.12倍ですが、砲弾の容積は46/41の3乗で1.41倍となりますので、威力は41cm砲に比べ、46cm砲は約1.4倍にもなるわけです。

こんなふうに数字やデータが多く出てくるのだけれど、計算段階での見積もりや推定には恣意的な部分がけっこうある。この本に記された著者の独自の見解に対して、歴史家はどう思うのかも聞いてみたい。

2020年9月20日、講談社ブルーバックス、1000円。

posted by 松村正直 at 09:44| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月19日

『駅へ』新装版

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私の第1歌集『駅へ』(2001年、ながらみ書房)は長らく品切となっておりましたが、来年1月に野兎社より新装版が刊行されることになりました。20年ぶりということになります。

現在、新装版の「あとがき」を書いているところ。
刊行までもうしばらくお待ちください。

posted by 松村正直 at 23:48| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月18日

「松村正直ひとり文フリ」御礼

「松村正直ひとり文フリ」無事に終了しました。
ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。


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初めての方や久しぶりの方と短歌の話ができて、楽しく充実した時間となりました。厚く御礼申し上げます。

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2020年12月16日

「塔」編集長退任

「塔」12月号の編集後記に書きました通り、今年いっぱいで編集長を退任することになりました。16年間にわたって会員の皆さんにはたいへんお世話になりました。ありがとうございます。

編集長就任の発表があった松島の全国大会の話が、「塔」2005年11月号に載っています。

宴もたけなわ新編集長の松村正直さんから挨拶と謝意が述べられた。現在三十四才であるが三十代は「塔」に全てを捧げるとの決意や、会員も増え勢いのある塔の誌面や企画を更に充実させていくので、塔誌はすみずみまで読んでほしいと熱く語られた。

何とも懐かしいですね。30代を「塔」に捧げると言っていたのが、いつの間にか40代を過ぎ、気が付けばもう50歳です。これを良い区切りとして、若い世代にバトンタッチしたいと思います。

posted by 松村正直 at 00:02| Comment(4) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月15日

12月17日【松村正直ひとり文フリ】

私の歌集・歌書を割引価格にて販売するほか、資料の展示や配布などを行います。お時間のある方は、ぜひご来場ください。
短歌について何か聞いてみたい、話がしたいという方も大歓迎です。

日時:12月17日(木)10:30〜20:30
場所:SAKURA SPACE 五反田
   (五反田駅徒歩5分、東建東五反田マンション102号室)
    https://www.spacee.jp/listings/13636

●歌集・歌書の販売
(『やさしい鮫』『風のおとうと』『紫のひと』『短歌は記憶する』
 『戦争の歌』、同人誌「パンの耳」ほか)

●資料の展示
(短歌を始めた1996年前後の日記、投稿歌の掲載紙のコピーなど)

●資料の配布
(エッセイ「岡山時代のこと」、インタビュー記事など)

*歌集・歌書のお取り置きはできません。

posted by 松村正直 at 20:26| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月12日

藤原昌『すし図鑑ミニ』


2013年にマイナビ出版より刊行された『すし図鑑』を再編集し、文庫化したもの。

寿司ダネ333種類をカラー写真や細かなデータとともに紹介している。「赤身」「サーモン」「魚卵」「光りもの」「長もの」「白身」「イカ・タコ」「貝」「エビ・カニ」「その他」、よく食べる魚から初めて聞く名前のものまで、実に種類が豊富だ。雑学的な知識もたくさん載っている。

中落ち、尾、背鰭下などの身をかきとることを、古くは「ねく」「ねぎとる」といったのが、ネギトロの語源。

何と!ネギ&トロではなかったのか!

時代の変化とともに国産品が減少し、同じ名前で別の品種が流通している現状なども述べられている。

シシャモは実は高級なもの。なんとなくシシャモだと思っているのがカラフトシシャモ(カペリン)であることが多い。
二種の国産(ハマグリ、チョウセンハマグリ)の漁獲量はそんなに多くない。それを補っているのが台湾のハマグリや中国、韓国から輸入しているシナハマグリだ。今や単にハマグリといったらシナハマグリのことと考えていい。
回転ずしでエビが食べられるのは、本種(ブラックタイガー)が安く台湾などから輸入されているため。

あ〜、寿司を食べに行きたい。

2018年8月31日、マイナビ文庫、860円。

posted by 松村正直 at 21:55| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月11日

『Ruf der Regenpfeifer』(千鳥の呼び声)

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1961年に西ドイツのベヒトレ書房から刊行された高安国世編・訳の日本詩歌のアンソロジー。内容の概略については知っていたけれど、現物を目にするのは初めて。表紙が鈴木春信とは!


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中身は当り前だけど全部ドイツ語。
この見開きには、長塚節、石川啄木、若山牧水の短歌が載っている。

啄木の1首目「Ich arbeite und arbeite.」、おお!「はたらけどはたらけど」か!

この本に関しては、ドイツ文学者野村修の詳細な論文「高安国世編・訳の日本詞華集≫Ruf der Regenpfeifer≪について」がある。ネットで読めるのが有難い。

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/185012/1/dbk03200_%5B001%5D.pdf

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/185017/1/dbk03300_%5B001%5D.pdf


posted by 松村正直 at 23:37| Comment(0) | 高安国世 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月10日

山梨へ

今日・明日と山梨の母の家へ。
病院受診の付き添いなど。
天気は良さそうで何より。

posted by 松村正直 at 08:00| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月09日

「現代短歌」2021年1月号

現在発売中の「現代短歌」2020年1月号は、第7回現代短歌社賞の発表号。現代短歌社賞は歌集を出してない方が対象で、未発表・既発表を問わない300首を募集。受賞作は歌集として刊行される。

http://gendaitanka.jp/award/

今回は受賞作の西藤定「蓮池譜」30首抄、次席の田村穂隆「感情の獣たち」30首抄のほか、阿木津英・黒瀬珂瀾・瀬戸夏子・松村正直により選考座談会が37ページにわたって掲載されている。

これだけ選考過程を全部オープンにしている賞も珍しいと思う。応募作の良い点・悪い点だけでなく、現代短歌の様々な問題について4名の選考委員が語り合っているので、ぜひお読みください。

現代短歌社のオンラインショップで購入できるほか、メールや電話で直接取り寄せることもできます。

http://gendaitanka.jp/magazine/2021/01/

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2020年12月08日

近藤芳美の12月8日の歌

十二月八日今宵妻に書く吾が葉書遺書めき行きて二枚にわたる
                『吾ら兵なりし日に』
一生のことはるかとなる日十二月八日の今日の上海の曇り
                『アカンサス月光』
十二月八日今日とし思う一生(ひとよ)埠頭の氷雨に戦場を
追う兵として          『樹々のしぐれ』
ガーデンブリッジと呼び馴れて過ぐる兵なりし十二月八日
戒厳の下            『祈念に』
十二月八日誰さえいわず死地に急ぐ兵としありし冬の上海
                『磔刑』
空の曇り降りみ降らずみ遠くめぐる十二月八日世に残り生く
                『希求』
五十年過ぐるとをいえ今の怖れ十二月八日生きし兵として
                『希求』
よみがえる忘れいしころの怖れとし十二月八日今日とも思え
                『岐路』

近藤は1941年12月8日を上海の陸軍病院で迎えた。

十二月八日米英両国に宣戦。病兵らは病棟ごとに集つてラヂオを聞いた。同日午後、軽症患者に一斉に緊急退院命令が出る。武器を持つて戦ひ得るものは武器を把れといふ軍医の訓示があり、わたしたちは受領した軍衣を久々に白衣に替へて、病院の門を出るため軍用トラックに乗つた。(『吾ら兵なりし日に』)

開戦の慌ただしさと緊迫感に包まれている。軽症だった近藤も軍服に着替えて上海市内に向かう。4首目の「ガーデンブリッジ」(外白渡橋)は1907年竣工の橋。開戦後すぐに上海の共同租界は日本軍が占領した。

posted by 松村正直 at 09:48| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月06日

映画「アーニャは、きっと来る」

監督:ベン・クックソン
原作:マイケル・モーパーゴ
出演:ノア・シュナップ、トーマス・クレッチマン、ジャン・レノ、アンジェリカ・ヒューストンほか。

舞台は第二次世界大戦中のドイツ占領下のフランス。スペイン国境に近いピレネー山脈の麓の村で羊飼いの手伝いをする少年ジョーは、偶然ひとりのユダヤ人と出会う。

素朴な村人たち、駐留するドイツ将兵、匿われるユダヤ人。彼らは戦争に翻弄されつつ、それぞれの信念に従って行動する。そこに生まれる様々な疑似的な親子関係が見どころとなっている。自然の風景や羊たちの姿も美しい。

ムービックス京都、イギリス・ベルギー、109分。

posted by 松村正直 at 20:52| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月05日

茸本朗『野食ハンターの七転八倒日記』


ウェブメディア「cakes」2018年5月15日〜2019年6月5日掲載の文章をまとめたもの。

野外で採取した食材を普段の食用に活用する「野食」をライフワークとする著者が、様々な食材を食べてみた記録である。

取り上げられているのは、アメリカザリガニ、カミツキガメ、アオダイショウ、セミ、ハマダイコン、ノビル、ウシガエル、コブダイ、ドチザメ、シャグマアミガサダケ、ヤハズエンドウ、カンゾウタケなどなど。動物、雑草、魚、茸と何でも挑戦している。

中にはワックス魚を食べて下痢したり、ウツボに手を嚙まれて負傷したり、毒キノコを食べて中毒したりといった失敗例もある。それでも、著者は野食に情熱を傾ける。

どうして、そこまで夢中になるのか。

未知の食材を食べるときのドキドキ、そしてそれが美味だったときの喜び
身近な食材を食卓に用いて、エンゲル係数を下げる
災害やトラブルなどで流通や経済が破壊され、都市機能がまひしてしまったときも、明るく楽しく無理なく生き延びるための知識
食のフロンティアに立って後世のために新しい有用食材を見つけ出すことは、楽しいだけではなく、今後必ず役に立つはず

といった説明がある。趣味と実益とサバイバル術、そして謎の使命感といったところ。でもまあ、実際は理屈ではないのだろう。その野食へののめりこみようが、読んでいて楽しい。

2019年11月13日、平凡社、1400円。


posted by 松村正直 at 08:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月03日

松村正直ひとり文フリ

私の歌集・歌書を割引価格にて販売するほか、資料の展示や配布などを行います。お時間のある方は、ぜひご来場ください。
短歌について何か聞いてみたい、話がしたいという方も大歓迎です。

日時:12月17日(木)10:30〜20:30
場所:SAKURA SPACE 五反田
   (五反田駅徒歩5分、東建東五反田マンション102号室)
    https://www.spacee.jp/listings/13636

●歌集・歌書の販売
(『やさしい鮫』『風のおとうと』『紫のひと』『短歌は記憶する』
 『戦争の歌』、同人誌「パンの耳」ほか)

●資料の展示
(短歌を始めた1996年前後の日記、投稿歌の掲載紙のコピーなど)

●資料の配布
(エッセイ「岡山時代のこと」、インタビュー記事など)

*歌集・歌書のお取り置きはできません。

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2020年12月02日

樹原アンミツ『東京藝大 仏さま研究室』


「樹原アンミツ」は、三原光尋(映画監督)と安倍晶子(ライター)の合作ペンネーム。

東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室、通称「仏さま研究室」を舞台にした青春群像劇。修士2年の学生4名それぞれの視点から、一年間にわたる修了製作(仏像の模刻)の様子が描かれる。

模刻に取り組む中で、各自が人生の悩みや問題点を克服していくという流れになっていて、ストーリーはわかりやすい。軽い読み物といった感じだが、随所に大学の風景や仏像に関する知識が織り交ぜられていて興味を惹かれる。

文化財修理には三つのルールがある。「当初部優先」「現状維持」「可逆性」だ。
彫刻の技術は「モデリング」と「カービング」のふたつに分かれる。粘土や漆など柔らかい素材を積み重ね、盛りあげたり凹ませてかたち(model=型式)をつくるのがモデリング。石や木など固い素材を削る(carve=刻む)のがカービングだ。
御神木は神社のものと思いがちだが、実際は多くのお寺にも「御神木」と呼ばれる、霊験あらたかなシンボルツリーが存在する。

2020年10月30日、集英社文庫、680円。


posted by 松村正直 at 07:44| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月01日

北山あさひ歌集『崖にて』


「まひる野」所属の作者の第1歌集。
2012年から2020年までの作品446首を収めている。
第7回現代短歌社賞受賞。

履歴書の写真のような顔をして飛んでいるのにかもめはきれい
臨月のともだちへ手を振っているこのようにたまに灯台になります
お茶漬けのあられ浮いててばかみたい会いたさはひどく眩しい梯子
鎌倉のだいぶつさまの背(せな)にある窓ひらきたし頰杖つきたし
さらさらと笑って揺れて雨の日はよく竹になる女ともだち
こどもたちつららを食べる雪を食べる花が咲いたら花食べるべし
にがうりを塩で揉みつつ雨降りのゆうべを思う存分ひとり
おにぎりを二つ食べればあたたかく三つ食べればこの世のからだ
セフカペンピボキシル錠ふんわりと桜色して菌みなごろし
グラタンのホワイトソースに沈みいる鱈や小樽や風邪のおもいで

1首目、発想がおもしろい。畏まったような澄まし顔をしている。
2首目、笑顔で手を振っているけれど、内心は複雑な気分なのだ。
3首目、実景描写から三句のつぶやき、下句の箴言的なフレーズへ。
4首目、あの高い窓の内側に座って外を見たら、気持ち良いだろう。
5首目、竹林の竹がさざめく感じに似ている。皮肉っぽい言い方。
6首目、春になったら花を食べる。そんなふうに生きられたらいい。
7首目、「思う存分」に動詞ではなく「ひとり」が付くのが印象的。
8首目、結句「この世のからだ」で日常とは別次元の歌になった。
9首目、見た目は可愛らしい錠剤だけれど、やることはえげつない。
10首目、下句の三つがごく自然に並びつつ読み手を回想へと導く。

2020年11月6日、現代短歌社、2000円。

posted by 松村正直 at 21:28| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする