2019年09月29日

『紫のひと』 発売中!

第5歌集 『紫のひと』(短歌研究社、2500円)発売中です。

下記のブログなどで取り上げていただきました。
ありがとうございます。

岩尾淳子「眠らない島」
鈴木竹志「竹の子日記」
恒成美代子「暦日夕焼け通信」
近藤かすみ「気まぐれ徒然かすみ草」
田中拓也「雲鳥〜うた日記〜」
「岡部史のおかしな日々」

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2019年09月28日

山納洋著 『歩いて読みとく地域デザイン』


副題は「普通のまちの見方・活かし方」。

2014年から関西圏で「Walkin’ About」というまち歩きの企画を行っている著者が、まち歩きのノウハウについて記した本。

町を歩いていて気になった建物や風景、地形などを手掛かりに、その町の成り立ちや歴史、現在やこれからを読み解いていく。そうした力を著者は「まちのリテラシー」と呼ぶ。

こうしたリテラシーを得れば、まちあるきは作り手の手口を読みとく探偵のような知的な営みに変わります。

その実践例として「残された旧家」「カーブした道」「駅前だった場所」「必然的にそこにあるお店」「ターミナル駅の風格」「住宅地化した農地」「水害が変えた風景」など全部で60以上の方法が写真付きで挙げられている。

大阪府大東市野崎では写真12のようなミニ開発地区を見かけました。同じ形をした3階建ての住宅が20軒近く建ち並んでいます。これはいわゆる「一反開発」と呼ばれるもので、もともとは一反の田んぼだった土地を住宅に変えています。一反=994uなので、ぎりぎり開発許可がいらないのです。

さらに本書は、まちの読み解きの力をまちづくりに生かしていくことも目指している。読み解く力を高めることでより良いまちが作れるという考えは、どこか短歌の話にも通じるものがあるように思った。

2019年6月10日、学芸出版社、2000円。

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2019年09月24日

『紫のひと』、「パンの耳」第2号

第5歌集『紫のひと』と同人誌「パンの耳」第2号、発売中です。

・『紫のひと』(短歌研究社)2500円

   *413首を収めた第5歌集。送料無料でお送りします。

・「パンの耳」第2号 300円

   *松村の「さくらと玄室」15首が載っています。

ご注文は
masanao-m☆m7.dion.ne.jp (☆を@に変えて下さい)
までご連絡ください。よろしくお願いします。

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2019年09月23日

桂よね吉独演会

14:00〜、京都駅八条口の龍谷大学響都ホールにて。

 ・桂よね一 「煮売屋」
 ・桂二葉  「近日息子」
 ・桂よね吉 「御公家女房」
  (中入)
 ・桂二乗  「写真の仇討」
 ・桂よね吉 「らくだ」

落語を聞くのは2回目か3回目という初心者なのだけれど、
話はどれも面白く、ぐいぐい引き込まれてしまった。
常連さんが多いようで客席のノリも良かった。

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2019年09月21日

映画 「天気の子」

監督・脚本・原作:新海誠

公開されたらすぐに観に行こうと思っていたのに2か月も経ってしまった。気持ちに余裕がないとなかなか映画に行こうという気分にならない。

この作品に限らず、アニメに登場する人物はどうしてアニメ顔をしているのだろう。風景は実写かと見紛うほどなのに。

Tジョイ京都、114分。
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2019年09月19日

河童の手足

    都城島津伝承館
 ガラスケースに人間の指紋のこし見る二百年前の河童の手足
 「もう一つの手と足見つかりますやうに」河童のために子は祈りたり
                    大口玲子『ザベリオ』

どんな手足なのかなと思っていたら、都城島津伝承館のホームページに写真が載っていた。
http://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/shimazu/

なるほど、言われてみれば河童っぽい。
いつも展示されているわけではなく、期間限定の公開だったようだ。

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2019年09月18日

毎日文化センター 「石川啄木−詩、小説、そして短歌へ」

9月25日(水)11:00〜12:30、大阪梅田の毎日文化センターで
一日講座「石川啄木−詩、小説、そして短歌へ」を開催します。

http://www.maibun.co.jp/wp/archives/course/36106

石川啄木は歌集『一握の砂』や『悲しき玩具』を生んだ歌人として知られていますが、そのデビュー作は詩集であり多くの詩を作っています。また、小説家になることを目指して小説をたくさん書いた時期もありました。

他にも日記や評論など様々な表現方法を模索した末に、何を求めて啄木は短歌にたどり着いたのか。そして、その歌はなぜ今も多くの人々に親しまれ続けているのか。具体的な作品を紹介しながら、わかりやすくお話しします。

皆さん、ぜひご参加ください。

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2019年09月16日

カルチャーセンター

大阪、芦屋、京都でカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。
まったく初めての方も大歓迎です。

◎毎日文化センター梅田教室 06−6346−8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日 *奇数月を松村が担当しています。
   A組 10:30〜12:30
   B組 13:00〜15:00

◎朝日カルチャーセンター芦屋教室 0797−38−2666
 「はじめてよむ短歌」 毎月第1金曜日 10:30〜12:30

◎朝日カルチャーセンター芦屋教室 0797−38−2666
 「短歌実作(A)」 毎月第3金曜日 11:00〜13:00
 「短歌実作(B)」 毎月第3金曜日 13:30〜15:30

◎JEUGIAカルチャーイオンタウン豊中緑丘 06−4865−3530
 「はじめての短歌」 毎月第3月曜日 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075−254−2835
 「はじめての短歌」 毎月第3水曜日 10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075−623−5371
 「はじめての短歌」 毎月第1火曜日 10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075−573−5911
 「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00

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2019年09月15日

江北図書館

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今朝の朝日新聞に「私立図書館112年 風前」という記事が載っていた。

滋賀県長浜市木之本町にある江北(こほく)図書館が、資金難のために先行きが見通せないという内容である。1907(明治40)年の開館以降、地域住民の運営によって112年続いてきた図書館がピンチを迎えている。

「江北図書館」という名前には見覚えがあった。

「塔」65周年記念評論賞を受賞した穂積みづほさんの評論「郷土の歌人としての木俣修」(「塔」2019年4月号)に出てきた名前だ。何度か場所は移り変っているが、少年時代の木俣修が利用し、後に「湖国抒情巡礼」でも訪れた図書館である。

穂積は評論の中で

この江北図書館は、私設であったがゆえに創設者杉野の死、大戦など何度も存続が危ぶまれたようだ。木俣にその現状を嘆かれた図書館であったが、資金難などの危機を乗り越え、現在も滋賀県唯一の私立図書館として機能している。

と書いている。しかし、事態は楽観を許さないようだ。

http://kohokutoshokan.com/

JR北陸本線木ノ本駅下車徒歩1分と交通の便利な場所にあるので、一度行ってみたい。閲覧は無料なので資金難の助けにはならないけれど。

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2019年09月14日

「岡大短歌」7号

八首連作×10名、一首評×5篇、二十首連作×3名、三十首連作×1名、往復書簡(15首×2名)×2篇という内容。全62ページ。ゲストは魚谷真梨子、魚村晋太郎。

 山笑う、とさいしょに喩えた人がいてその生涯で出遭うほほえみ
                        加瀬はる

「山笑う」は芽吹き始めた山の様子を表す春の季語。「笑う」という言葉で大胆に捉えることで、同じ山の姿がそれまでとは違ったものに見えてくる。

 あなたは海を例えない 言葉ではなくきらめきで理解する人
                        大壺こみち

海の魅力を言葉で説明したり何かに喩えたりするのではなく、そのまま感受するということだろう。言葉にすることで失われてしまうものがある。

 助手席にゆきのねむたさ こんなにもとおくの町で白菜を買う
                        長谷川麟

助手席に乗っていると雪が融けるように眠くなるという感じか。「ゆき」と「白菜」の白さの重なり。ひらがなの多用が間延びしたような気分を伝える。

 地図に載らない小さな並木のようだった愛した時間はひどくみじ
 かい                    加瀬はる

恋人と付き合っていた時期を振り返っての感慨だろう。「小さな並木」という比喩がよく、季節の移り変わりや二人の気持ちの変化が感じられる。

 隣人の水音がしてなんとなく今はシャワーはやめにしておく
                        水瀬惠子

アパートの隣りの部屋から水を使う音が聞こえる。何の問題もないのだが、人の気配が感じられる気がして、シャワーを使うのをためらってしまう。

2019年7月15日、400円。

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2019年09月13日

「パンの耳」第2号

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同人誌「パンの耳」第2号を刊行しました。
メンバー15名の連作(15首)とエッセイ「私の好きな歌」を載せています。

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定価は300円。
お申込は松村(masanao-m@m7.dion.ne.jp)までお願いします。

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2019年09月12日

母のノート

先日、山梨の母の家に行ったところ、食卓に大判のノートが置いてあった。「もの忘れが気になる方へ 記憶サポート帳」という市販品で、日記のように一日一日の出来事を書き込む方式になっている。

母は3年前に認知症の診断を受けているので、医師に薦められてノートを付け始めたのかと思ったのだが、そうではなかった。見ていいか聞いてノートを見てみると、最初のページに「自分の生活を立て直す要用(ママ)を感じた為このノートを買う」とある。日付は2014年6月6日。

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近所の方から母の様子がおかしいと聞いて最初に病院へ行ったのは2016年4月のこと。その2年も前から、母は自分の変調に気づいていたのだ。2014年3月末に母は連れ合いを亡くしていて、ノートには「看病と死ということに直面した私は廃人みたいな感じだった」という記述もある。やはり相当大きな精神的ダメージだったのだ。

今になってみれば思い当たることがある。2014年の8月に納骨をした際に、母は自分がとめた車の場所がわからなくなって、「お母さんの車、どこだっけ?」と私に尋ねたのだった。その時は深く考えもせずに、「あそこでしょ」と軽く答えたのだけれど、母のあんな姿は初めてだった。

あの時にもっと注意深く寄り添うことができていれば。
そう思われて仕方がない。

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2019年09月11日

「塔」2019年8月号(その2)

 引継ぎの最後に黙って渡されし封筒見れば「どっかの鍵」と
                           河野麻沙希

業務に必要な様々な引継ぎを終えた後に受け取った「どっかの鍵」。前任者も一度も使うことのなかった鍵だろう。でも、捨てるわけにもいかない。

 つばめの子カラスに食われ死にたるを子は告げに来て走り去りたり
                           福西直美

凄惨な現場を目撃した子は心がいっぱいになり、誰かに告げなければ耐えられなかったのだ。結句「走り去りたり」に小さな子の悲しみが溢れている。

 黒潮の力受けよと加計呂麻の塩の届きぬ退院の日に
                           大空博子

奄美の加計呂麻島で作っている天然の塩を友人が送ってくれたのだ。豊かな海の力を取り込んで早く元気になってほしいとの気持ちが伝わってくる。

 助走が必要だから逃げだせない フラミンゴ舎にぎゆつとフラミンゴ
                           森永絹子

屋根のないフラミンゴ舎なのだろう。でも、羽が切ってあるわけではなく、助走ができないから飛び立てないのだと言う。何か象徴的な話にも感じる。

 雨って世界でいちばんおだやかな暴力みたい 五月が終わる
                           帷子つらね

世界中のあらゆる場所を打つことのできる雨。それを「暴力」と捉えたのが個性的だ。豪雨でなくても、雨には暴力性が潜んでいるのかもしれない。

 言い直しをさせられるたび濁りゆく子の声にまた夫が怒る
                           吉田 典

何とも痛々しい場面。子の返事や言い方に納得できない父親が何度も言い直しをさせているところ。「口先だけで謝ってもダメだ!」という感じか。

 遠くだから会えないねという遠いままそこにいてその橋のふるさと
                           川上まなみ

故郷にとどまる人と離れた人との関係を詠んだ歌か。本当は遠く離れていてもお互いの気持ちさえあれば会うことができるのにという思いだろう。

 虫眼鏡かわるがわるに見る絵巻むかしの国に二人が暮らす
                           丸山恵子

虫眼鏡で覗き込んでいるうちに、絵と現実が入り混じり、絵の中に入り込んでしまうような面白さ。「かわるがわる」なので、作者も二人でいるのだ。

posted by 松村正直 at 21:07| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月10日

「塔」2019年8月号(その1)

 廃屋のベランダにもたれ過ぎ去りし春を見つめるくまのプーさん
                           佐々木千代

黄色いプーさんのぬいぐるみがベランダに残されている。置かれたままの姿で廃屋とともに朽ちていく。楽しかった日々のことを思い出しながら。

 波切に来て道を聞くとまかげして指差す人は風にゆれゐる
                           久岡貴子

波切(なきり)は三重県志摩市の漁港。旅に来て地元の人に道を尋ねている場面。人物の動きから風や日差しの強さが感じられ、映像的な一首。

 うっすらと気配としてのみ過ぎてゆく街は文庫のページのうえに
                           中田明子

電車の中で文庫本を読んでいる場面。車窓の風景を見ているわけではないが、開いた本のページを過ぎていく光や影に、街の気配を感じている。

 屈託なく童話が好きと言う人にわたしの好きな童話明かさず
                           朝井さとる

「明かす」ではなく「明かさず」なのがいい。歌が数段ふかくなる。童話と言っても単に楽しいものばかりではない。軽々しく話せることではないのだ。

 屋内へと白衣の男消えにけり朝の路上にサトちやんを据ゑ
                           益田克行

薬局の店頭に置かれているゾウのキャラクター、サトちゃん。「薬局」と言わないのがいい。店員の白衣とサトちゃん人形のオレンジ色が目に浮かぶ。

 ラーメン屋〈雪〉に入りたり本当はカナダ料理を食べてみたいが
                           星野綾香

格安のスキーツアーでカナダを訪れた作者。ゆっくりした旅ではないので、観光客向けの店に入ったのだろう。「雪」という名前がいかにも安っぽい。

 にわか雨上がった後に光りたりうろこ模様の尾道のみち
                           山名聡美

「うろこ模様」は坂道のすべり止めかや石畳などだろうか。雨に濡れて光っているのが美しい。「尾道」という地名に「みち」が入っているのがポイント。

 補助イスでは眠るも出来ずカーテンで景色も見えぬ帰省のバスに
                           川井典子

窮屈なバスの補助席。おそらく長時間乗るのだが、以前はそんなに混むことのない路線だったのだろう。せっかくの帰省が帰り着く前に疲れてしまう。

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2019年09月09日

門脇篤史歌集 『微風域』 (その2)

室温にしばしならせばおほどかに匙を容れたるハーゲンダッツ
コピー機を腑分けしてゐる一枚の詰まりし紙を探しあぐねて
牛乳に浸すレバーのくれなゐの広がるゆふべ 目を閉ぢてゐる
くれなゐのホールトマトの缶を開けいつかの夏を鍋にぶちまく
会議室を元の形に戻しをり寸分たがはずとはいかねども
ケチャップを逆さにすれば透明な汁の後よりくれなゐは垂る
ちぎれたる妻の時計を探しをりバンドの一部を握れる妻と

1首目、硬くて食べられなかったアイスが適度な柔らかさに変わる。
2首目、「腑分け」が面白い。前や横の扉を開けて機械の中を見る。
3首目、レバーの下処理の場面。頭の中にも想念が広がるのだろう。
4首目、缶詰の中には何年か前の夏の時間が封じ込められている。
5首目、「元の形」とよく言うけれど、確かに完全な元通りではない。
6首目、最初に流れ出る上澄みに着目したのがいい。生活のディテール。
7首目、ちぎれてしまったバンドに、何か取り返しのつかなさを感じる。

料理に関する歌が多くあり、そこに心情を滲ませるのがうまい。

2019年8月11日、現代短歌社、2500円。

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2019年09月08日

門脇篤史歌集 『微風域』 (その1)

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昨年、第6回現代短歌社賞を受賞した作者の第1歌集。
「未来」「too late」所属。

置き傘をときどき使ふ傘であることを忘れてしまはぬやうに
青ねぎは屈葬されて真つ暗な野菜室にて冷たくなれり
一本のPeaceを吸へば遡及してゆらぎはじめる感情はあり
ハムからハムをめくり取るときひんやりと肉の離るる音ぞ聞ゆる
権力の小指あたりに我はゐてひねもす朱肉の朱に汚れをり
たぶんいま最高潮で歓声はごみを集むる我にも届く
いま妻は祈りのやうな体勢でヨガをしてをり自分のために

1首目、時々は出番を与えてあげないと傘でなくなってしまう。
2首目、「屈葬」がいい。青ネギがぎゅうっと折り曲げられている姿。
3首目、煙草を吸いながら次第に過去の記憶へと遡っていく。
4首目、「肉の離るる」と言ったことで生々しい感じが生まれた。
5首目、書類に判子を何度も捺す仕事。「汚れ」るのは指だけではない。
6首目、スケボー大会の仕事。競技は見られずに声だけ聞いている。
7首目、結句「自分のために」がいい。誰でもそうなのだろうけれど。

帯もあとがきも解説も無く、「現代短歌社賞受賞!」といったコピーもない。非常にシンプルな作りになっている。

2019年8月11日、現代短歌社、2500円。

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2019年09月07日

高岡万葉セミナー

高岡を訪れるのは25年ぶりくらい。
北陸新幹線の開通に伴って、在来線の高岡駅は「あいの風とやま鉄道」の駅となり、駅舎や駅前広場がきれいに整備されていた。

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朝9:00にホテルを出て、越中国の国守館跡があった高岡市伏木気象資料館(旧伏木測候所庁舎)、越中国府があったとされる勝興寺、越中国の一宮である気多神社、大伴家持を祀る大伴神社を案内していただく。

その後、高岡市万葉歴史館へ行き、館内の展示を見せていただいた後、10:30から講演「高安国世と万葉集」を行った。

午後は影山尚之先生の講演と、岡本三千代さんと万葉うたがたり会によるコンサート。どちらも充実した内容で楽しかった。

帰りは新高岡駅から新幹線に乗る。新高岡駅の周辺はまだまだ発展途上という感じ。

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2019年09月06日

高岡へ

今日の午前は芦屋で朝日カルチャー「はじめての短歌」。
午後から西宮でフレンテ歌会。
これから富山の高岡へ行ってきます!

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2019年09月05日

第22回 「あなたを想う恋のうた」 作品募集中!

今年も「あなたを想う恋のうた」(福井県越前市)の審査員を務めます。
応募は無料で、最優秀賞は何と賞金10万円!
お一人で何首でも応募できます。

https://www.manyounosato.com/

締切は10月31日。
ご応募お待ちしております。
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2019年09月04日

池内紀先生

ドイツ文学者の池内紀さんが亡くなった。78歳。

四半世紀も前のことになるが、池内先生には大学のドイツ文学科で2年間教えを受けたことがある。というより、そもそも池内さんの教えが受けたくて大学を決めたのだった。

高校生の時に岩波文庫の『カフカ短篇集』を読んで衝撃を受けた。
その翻訳をしていたのが池内さんである。
中でも「橋」という数ページの作品との出会いが決定的だった。

学部の卒業を前に進学も就職もしないという話をした時に、「それは、いいなあ〜」とにこやかに目を細めて笑って下さった。あの時の先生は52歳。今の僕とそれほど変わらない年齢だったのだ。

ご冥福をお祈りします。

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高安国世著 『万葉のうた』


副題は「秀歌鑑賞」。

1963年に創元社から刊行された『万葉の歌をたずねて』を改題改装したもので、内容は同じ。ただし巻頭の写真2枚は別のものになり、「改題改装にあたって」という文章6行が追加されている。

万葉集から190首の歌を引いて鑑賞しているのだが、楽しみながら書いている感じがよく伝わってくる。ところどころ高安さんの個性が出ているところが特に面白い。

    人麿歌集
  うち日(ひ)さす宮道(みやぢ)を人は満ち行けど吾が思ふ君は
  ただ一人のみ             (巻十一 二三八二)
 ウチヒサスは枕詞。「都大路に人は満ち満ち歩いて行くが、私の思う人はただ一人だけ」という、これも人情の普遍的な表現になっています。こういうのは、真理を含んだ格言やことわざにも近く、何もない人には何でもなく、しかし一旦そうした立場に立った人の心には、わがことのように真実なものとして蘇って来る種類の歌でしょう。この歌はやはり女性の口吻と見られますが、男にだってこういう気持になることはあるでしょう。

淡々と書いているようでありながら、実はけっこう熱の入った文章だ。いかにも自分も「そういう立場に立った人」であると言わんばかり。最後の「男にだって」はまるで「私にだって」と言っているかのようにも思われる。

高安国世、この時50歳。一体、何があったんだ、国ちゃん・・・

1972年1月20日、創元社、350円。

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2019年09月03日

掛け算(当日)

7×7=49
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2019年09月02日

掛け算(前日)

6×8=48
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2019年09月01日

バタバタ

この十日間ほど、ずっとバタバタしている。
気が付けばもう9月だ。

今週末までバタバタは続きそう。
9月は一番好きな月。

posted by 松村正直 at 23:38| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする