副題は「文化財修復のはなし」。
著者の名前は「いいずみ・としたか」。
仏像修理に関する話を、面白く、わかりやすく、そして真面目に語った本。「おさえておきたい仏像の基本」「仏像だって壊れる」「仏像のお医者さん」「文化財としての仏像」の4章×10編=40編の話が載っている。
仏像の修理という特殊な仕事の舞台裏を、写真やイラストも交えて丁寧に説明してくれる。著者の語り口も率直で楽しい。
誤解を恐れずにいうなら、プラモデルと仏像の制作技術はかなり似かよっているところがある。たぶん、仏師などに木彫りのガンダムを彫らせても、かなりうまく造るはずだ。
こんな話を読むと、海洋堂の可動する仏像「リボルテックタケヤ」シリーズを思い出す。 http://www.kaiyodo.co.jp/revoltech/takeya.html
薬師如来はその名の通り、その手に薬壺を持っているのだが、単にその薬壺をなくしただけでも、「実は俺、薬壺なくしちゃってさ、釈迦に間違われて困るよ」などという、グチもこぼれるわけである。
薬師如来と釈迦如来の区別って、その程度のものだったのか!などという発見もある。
お寺や博物館で仏像を見る時の楽しみが、随分と増えそうな一冊である。
2009年6月10日、白水社、1700円。