どんな歌人でも、やはり悩みながら、迷いながら歌を作っていたんだなあと感じる。
歌境は個性にもとづく特徴をもちながら年齢の推移に応じて変化してゆく。何時までも変化がないとしたら、それは流動進展がないのだからよろこぶべきことではあるまい。また周囲に反応してたえず変化するとしたら、それも神経が弱いといふことになるだらう。 佐藤佐太郎『形影』後記
私の作品はもう変心したものなのだらう。ただ、私は自分に課して悔いざらんとしたことが一つある。作者自らが自分の作品を信じないで誰が信じてくれるだらうかと言ふことである。 宮 柊二『晩夏』後記