以前、「現代短歌雁」の特集に石田比呂志論を書いたことがある縁で、何度かお葉書やお酒をいただき、「牙」の2月号に最新歌集『邯鄲線』の書評を書かせていただいたばかりだった。
ご冥福をお祈りします。
石田さんの歌集をぱらぱら読み返していると、こんな歌があった。
松下紀代一君夫妻へ
わが友の妻の作れる奈良漬が来たりて匂う肥後の厨に 『鶏肋』
この「松下紀代一君」というのは、作家松下竜一の弟のことであろう。デビュー作『豆腐屋の四季』をはじめ、松下作品の中で何度もその名前を目にしたことがある。石田さんとどういう関係であったのかはわからないが、たしか大分の中津に住んでいたので、地理的には近いものがあったのだろう。
松下竜一については、以前「塔」の編集部ブログで触れたことがある。松下竜一は2004年の6月17日に67歳で亡くなった。その三日前の14日に、弟の紀代一氏も63歳で亡くなっている。
本名が裕志であるということも訃報のなかに知り得しひとつ