2024年01月01日

歌集・歌書一覧

*この記事は常に一番上に表示されます。
 最新の記事は3つ下をご覧ください。

私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の11冊です。

【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『駅へ』新装版(2021年、野兎舎)*在庫あり
   野兎舎オンラインストア
   アマゾンKindle版
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)*在庫あり
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)*在庫あり

【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)*在庫あり
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)*在庫あり
・『踊り場からの眺め』(2021年、六花書林)*在庫あり

「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)

また、ネットショップのBOOTHでも販売しております。
どうぞお気軽にご利用ください。
masanao-m.booth.pm/

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カルチャー講座一覧

大阪、京都、兵庫などでカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。
まったく初めての方も大歓迎です。

◎NHK学園オンライン講座
 「短歌のコツ」 第4木曜日 19:30〜20:45

◎住吉カルチャー
 「はじめての短歌」 毎月第1金曜 10:30〜12:30

◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日
   A組 10:30〜12:30
   B組 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
 「はじめての短歌」 毎月第3水曜 10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
 「はじめての短歌」 毎月第1火曜 10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
 「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00

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2023年12月31日

2023年の活動記録

作品
 ・「ラーメンと白鳥」7首(「文藝春秋」4月号)
 ・「賢治に献ずる詩歌」1首(日本現代詩歌文学館)

連載
 ・啄木ごっこ(第51回)「スバル」創刊(「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第52回)朝日新聞入社と佐藤北江
                   (「角川短歌」2月号)
 ・啄木ごっこ(第53回)凌雲閣と塔下苑(「角川短歌」3月号)
 ・啄木ごっこ(第54回)私小説そしての「ローマ字日記」
                   (「角川短歌」4月号)
 ・ことば以上こころ未満(第1回)(「NHK短歌」4月号)

書評
 ・小池光歌集『サーベルと燕』評(「角川短歌」2月号)
 ・藤原龍一郎著『抒情が目にしみる』評(「歌壇」4月号)
 ・打矢京子歌集『冬芽』評(「現代短歌」5月号)

その他
 ・第10回現代短歌社賞選考座談会(「現代短歌」1月号)
 ・秀歌を読もう「小池光」(「短歌春秋」165号)
 ・徘徊する啄木(「横浜歌人会会報」第123号)
 ・石畑由紀子歌集『エゾシカ/ジビエ』栞
 ・アンケート「二〇二二年の収穫」(「ねむらない樹」vol.10)
 ・澄田広枝歌集『ゆふさり』栞

出演
 ・講座「多様化する短歌の「今」」(3月18日)

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2023年03月30日

さいたさいた

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昨年、カルチャー講座の生徒さんからチューリップの球根を一袋(5個)いただいた。春になってベランダにきれいな花を咲かせている。


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富山県産のチューリップ。
このところ少し花の美しさがわかるようになってきた気がする。

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2023年03月29日

映画「メグレと若い女の死」

監督・脚本:パトリス・ルコント
原作:ジョルジュ・シムノン
出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャド・ラベスト、メラニー・ベルニエ、オーロール・クレマンほか

舞台は1953年のパリ。ドレスを着た身元不明の若い女性の死体が発見され、メグレ警視が事件の謎を追う。

憧れの都市を目指して地方から若者が集まってくるのは、どこの国でも同じことなのだろう。そんな若者たちに老年を迎えたメグレがやさしく寄り添う姿が印象的だ。

京都シネマ、89分。

posted by 松村正直 at 21:35| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月28日

オンライントライアル講座

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4月7日(金)19:30〜20:30、小島なおさんと一緒にNHK学園のオンライントライアル講座(無料!)を行います。現在、参加申込み受付中です。

https://college.coeteco.jp/live/5j0ycdww

Zoomを使うのは初めてという方や、オンライン講座の雰囲気を体験したい方など、ぜひご参加いただければと思います。質疑応答の時間も設けますので、何でもお気軽にお尋ねください。

posted by 松村正直 at 21:52| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月27日

紀伊風土記の丘

和歌山市にある「紀伊風土記の丘」に行ってきた。


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JR和歌山駅からバスで約20分。
ただし、バスの本数は少ない。


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月曜日だということをすっかり忘れていて、肝心の資料館は休館。
何をやっているんだか。

でも、園内の桜が見事で、子どもからお年寄りまで大勢の人が花見に訪れていた。天気もよく、絶好の花見日和。


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園内には移築された建造物もある。
これは、重要文化財の「旧柳川家住宅・同前蔵」。


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こちらは復元された古墳時代の竪穴式住居。


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圧巻なのは「岩橋千塚古墳群」。
5~7世紀の古墳が園内に約500基、園外も含めると約900基も集まっている。見応えあり。


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「万葉植物園」もあって、見どころの多い場所だ。
広い園内を歩き回るだけでけっこうな運動になる。

posted by 松村正直 at 22:47| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月26日

永田淳歌集『光の鱗』

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2015年から2021年までの作品445首を収めた第4歌集。
https://saku-pub.com/books/hikarinouroko.html

保育園は卒園式後も行くところ十八人が休まずに来る
わが髪に指かきいれてくちづけき 日本海溝葉桜の頃
水張田のおもてわずかにめくりつつ濃尾平野に黒南風は吹く
両脇にふたつ旋風(つむじ)をうみながら暁方(あけがた)の空を高くゆく鳥
夜ごと夜ごとシマフクロウの巡りいむ鼠径部の辺の喬木の梢
紅しとも蒼しとも見ゆ 高瀬川の桜は夜に侵されてゆく
噴水を万年と訳したる功の万年筆の黒き手触り
桟橋を離れてゆかぬ懐かしさターナーの水面に小舟の浮かぶ
雨脚のふときに支えられながら雲くろぐろと盆地を覆う
春の夜を震えて咲(ひら)くマグノリア 祈りは常に形をなさず

1首目、卒園式が済んでも親の仕事が休みになるわけではないから。
2首目、上句から下句への飛躍がいい。深い海の底の暗さと季節感。
3首目、「めくりつつ」という動詞の選びが印象的。風景が大きい。
4首目、羽ばたきが空気の渦を生むメカニズムを思いつつ見上げる。
5首目、性的なイメージだろう。夜行性で鼠を食べるシマフクロウ。
6首目、京都の繁華街。照明やネオンに照らされた妖しげな美しさ。
7首目、英語ではfountain pen。「万年」は永遠のような感じか。
8首目、絵の中の水辺の風景が、今にも動き出しそうに感じられる。
9首目、雲から雨と見るのでなく雨から雲と反転させて捉え直した。
10首目、強い祈りを感じる。両手を合わせた形のようなモクレン。

2023年2月4日、朔出版、3000円。

posted by 松村正直 at 22:25| Comment(3) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

佐々木央『ルポ動物園』


2008年から共同通信で「生きもの大好き」の連載を750回にわたって続けている著者が、動物園や水族館について記した本。全国各地を訪れて飼育担当者の話を聞き、歴史や現状、今後の課題について考察している。

アニマルウェルフェア(動物の福祉)、アニマルライツ(動物の権利)、環境エンリッチメント、生息環境展示、野生動物保護など、近年さまざまな観点から動物園の問題が指摘されるようになっている。

たとえば、ゾウは群れで暮らす動物だから、単独のオスメスのペアだけで飼うことは許されない。いま一頭か二頭だけで飼育している動物園は、それらの個体が死んだらゾウの飼育を諦めるか、現状よりはるかに広い土地と屋内施設を用意しなくてはならない。

動物園はこれからどのような道を進むべきなのか。人間と動物はどのような関係を結ぶことができるのか。いつかまた動物園に行って、ゆっくりと考えてみたい。

2022年11月10日、ちくま新書、940円。

posted by 松村正直 at 00:01| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月24日

結社をめぐって

結社に関する文章を2つ、BOOTHで公開しました。

2013年と2014年に書いたものなので少し古いですが、基本的な考えは変わりません。

・エッセイ「タテからヨコへ」
https://masanao-m.booth.pm/items/4639410
・評論「高齢社会と結社」
https://masanao-m.booth.pm/items/4639401

私は結社を退会しましたが、今でも結社が好きです。近代以降、結社というシステムの果たしてきた役割はとても大きかったと思いますし、今後も新たな可能性を持っていると考えています。

posted by 松村正直 at 13:37| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月23日

連想

短歌を読んでいると、別の歌や句が思い浮かぶことがある。
別に影響うんぬんではなく、「似ている」ことはそれだけで面白い。

入れものが無い両手で受ける
          尾崎方哉『大空』

手のひらに豆腐をのせていそいそといつもの角を曲りて帰る
          山崎方代『右左口』
新しきからだを欲しと思ひけり、
 手術の傷の
 痕を撫でつつ。
          石川啄木『悲しき玩具』

病むまへの身体が欲しい 雨あがりの土の匂ひしてゐた女のからだ
          河野裕子『母系』

posted by 松村正直 at 14:29| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月22日

『ことば事始め』(その2)

今年に入って、池内紀が高校時代に短歌をやっていたことを知った。『ことば事始め』にも、その話が出てくる。高校の司書が歌人であったらしい。

あとで知ったのだが、その人は当地で歌人として知られた人だった。短歌雑誌を主宰している。戦争で夫を亡くして、高校の司書になった。

最初に読んだのは、石川啄木の歌集である。

とはいえ高校生には、歌人には何の関心もなかった。ただ啄木が気に入った。暗記するほど読んだ。チンプンカンプンの数学の時間は、啄木短歌を思い出していた。

そして「読むだけでなくつくってみたら」と司書にすすめられて、短歌を詠み始める。

一年あまりして短歌の腕はかなり上がっていたのだろう。短歌雑誌にチラホラ掲載されるようになった。同人誌から誘いを受けた。

けれども、その後、大学入試が迫ってきたこともあり池内は短歌から離れる。「気がつくと歌稿ノートは満パイだったが、つくる気持ちはうすれていた」というのが大きな理由だったようだ。

posted by 松村正直 at 12:27| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月21日

映画「四畳半タイムマシンブルース」

原作:森見登美彦、上田誠(原案)
監督:夏目真悟
脚本:上田誠
キャラクター原案:中村佑介

森見登美彦の小説『四畳半神話大系』の上田誠の戯曲『サマータイムマシーン・ブルース』のコラボ作品のアニメ化。成り立ちは少し複雑だが、別に何の知識も前提も必要とせずに楽しめる作品に仕上がっている。

京都の出町柳周辺が舞台になっている映画を「出町座」で観るのは、味わい深いことだ。昨年12月からロングランが続いていて、大学生らしい若者を中心に多くの客で賑わっていた。

出町座、92分。
posted by 松村正直 at 09:27| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月20日

池内紀『ことば事始め』(その1)


「せせる」「ピンはね」「三角乗り」「おためごかし」「やにさがる」など、俗な言葉や懐かしい言葉、不思議な言い回しを取り上げ、辞書で意味を再確認しつつ軽妙に論じるエッセイ集。

亜紀書房のウェブマガジン「あき地」に2017年2月〜2018年8月にかけて連載した文章に、書き下ろしなどを加えてまとめている。

教師をつづけるうちにわかってきたが、はしっこいのは二十代、三十代の前半あたりまでは活躍する。気の利いた論文を書く。だが、そのうち音沙汰なくなって、どこにいるのかもわからない。
米ぬかは江戸時代には、いたって高価なものだった。米そのものが日常の食として、そうそう口にできないし、ぬかは精米でしかとれない。玄米食がふつうであったことを考えると、想像のつかないほど米ぬかは貴重なものだった。
酒好きの方は、これまたご承知だろうが、酒は少し過ぎるころあいがいちばんうまい。身体と酒が一体となり、両者の区別がつかないといった感じ。やや飲み過ぎはわかっているのに、まさにその峠を越したあたりが、とくに味わい深く、楽しくてしかたがない。

以前にも書いたが、池内さんは私の大学時代の先生である。アーチェリーばかりやっていて真面目にドイツ文学には取り組まなかったけれど、もともと池内さん目当てに大学を選んだのだった。

私は手書きである。紙にペンで書く。編集者によると、もはや圧倒的少数派であって、百人に一人もいないらしい。(…)パソコンでは直し、入れ替え、自由自在だというが、別にどうとも思わない。直さないのが、もっとも自由だろうと考えている。

ほんとうに自由な人だったなと思う。それは「百人に一人もいない」ことを意に介さない姿勢ともつながっている。

2019年6月21日、亜紀書房、1600円。

posted by 松村正直 at 13:04| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月19日

松本典子歌集『せかいの影絵』

著者 : 松本典子
短歌研究社
発売日 : 2023-02-01

2017年から2022年までの作品387首を収めた第4歌集。

コロナ禍やウクライナ侵攻などの社会詠と、2020年に亡くなった俳優の三浦春馬や癌で亡くなった妹の挽歌など重いテーマの歌が多い。

秋はいつも直滑降でやつて来るゆびのさき朝の水がつめたい
  難民としてドイツへ
床に皿をならべ片膝を立てながらヤズディは食むドイツへ来ても
スケボーで跳べば影さへ地をはなれ逆光にきみの黒きシルエット
髪を洗ひ背なかを流してもらふため〈要支援2〉を母はよろこぶ
桜丸に来る日も来る日も詰め腹を切らせて千秋楽のにぎはひ
STAY HOMEの呼びかけに取り残されつ春雷に家を持たぬ人たち
だってほらshowとsnowは綴りまで似ててはかなく消えてしまふの
紙おむつの背なかに名前と電話番号書いて祈れりウクライナの母たち
あらがひがたく声は流れ去るものだつた蓄音機が世にあらはれるまで
いもうとの死を見つめそこにある眼鏡ついさつきまで掛けてゐたふうで

1首目、「直滑降」という比喩が印象的。唐突に訪れる秋の涼しさ。
2首目、故郷を追われても、身体に根差した生活習慣は変わらない。
3首目、光と影の対比が鮮やか。スケボーする人の躍動感が伝わる。
4首目、介護認定が下りると訪問入浴などのサービスが受けられる。
5首目、文楽「菅原伝授手習鑑」。実人生では一度しか死ねないが。
6首目、ネット難民やホームレスなど、家を持たない人も多くいる。
7首目、ショーの世界で生き雪のようにはかなく逝った人への思い。
8首目、万が一生き別れになった時のために書く。赤子は一番弱い。
9首目、声の本質は消えてしまうところにある。だからこそ美しい。
10首目、病室に残る眼鏡。妹の目や視線がまだあるように感じる。

2023年2月5日、短歌研究社、2200円。

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2023年03月18日

御礼

今日は朝日カルチャーセンターくずは教室で、「多様化する短歌の「今」」と題する90分の講座を行った。

教室とオンラインあわせて40名以上の参加があり、与謝野晶子や石川啄木を取り上げた時よりも多かった。ありがとうございます。

*短歌の世界に限らず、暮らしや社会のさまざまな場において変化が起きている。短歌における変化もそうした大きな流れの一つと捉えることができる。
*「わからない」歌を読むと、自分の読解力に不安を持ったり作品を否定したくなったりすることがあるが、他人の歌なのだからわからなくてむしろ当り前。
*自分の詠む歌については、あまり方向性を迷わずに信じた道を進むのがいい。でも、人の歌については、できるだけ幅広く受け入れて味わえた方が楽しい。

結論的な部分は、ざっとこんな感じ。

当り前の話だけれど、いろいろな短歌があっていい。ラーメンの好きな人もいれば、蕎麦が好きな人も、パスタが好きな人もいる。自分がラーメンが好きだからと言って、別に蕎麦やパスタを悪く言う必要はない。
posted by 松村正直 at 19:37| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月17日

『温泉めぐり』(その3)

田山花袋は短歌(旧派和歌)もやっていた人で、紀行文のところどころに歌が出てくる。全部で二十数首ある。

玉くしけ箱根の山の朝日影雪はつもれど春めきにけり
この紙につきて行きませ戸隠(とがくし)の山に通へる路(みち)はこの路
紀の海の波よりも猶けはしきは熊野の奥の山路なりけり
はるばると二荒(ふたら)高原那須がねにふりつもりたる雪ぞさやけき
つてあらば都の人につげてまし今日白河の関は越えぬと

以前、「続・文学者の短歌」で柳田国男の短歌を取り上げたことがあるが、田山と柳田は同じ先生から和歌を教わる同門であった。柳田も紀行文に自作の短歌をよく載せている。

私の歌の師匠は、性は松浦、名は辰男、桂園派の直系で、景恒の門下、松波遊山翁はその友であった。

松浦辰男(1844‐1909)は「最後の桂園派歌人」とも呼ばれる人。「景恒」は香川景恒(1823‐1866)のことで、桂園派の祖香川景樹(1768‐1843)の子である。松波遊山(資之、1831‐1906)は香川景樹の弟子。柳田国男の兄の井上通泰は、この松波の門下であった。

旧派歌人の系譜について調べるといろいろ面白そうなのだけれど、残念ながら今ではあまり手軽に読むことができない。

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2023年03月16日

近作2点

「文藝春秋」4月号に「ラーメンと白鳥」7首を発表しました。文藝春秋電子版で読むことができます。
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h5674

また、日本現代詩歌文学館の「賢治に献ずる詩歌」にも短歌1首を寄せました。こちらも同館HPのウェブ展示室で読め、私の朗読を聞くこともできます。
https://www.shiikabun.jp/web_exhibition/1386.html

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2023年03月15日

講座「多様化する短歌の「今」」

今週の土曜日18日に朝日カルチャーくずは教室で、「多様化する短歌の「今」」という講座を行います。時間は13:00〜14:30。

この10年くらいの作品を読み解きながら、短歌の現状や今後について考えたいと思います。

教室(京阪「樟葉」駅すぐ)とオンライン、どちらでも受講できます。ご興味のある方はどうぞご参加ください。お待ちしております!

教室受講
https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/67c99f87-f86e-4b10-d0c1-634df2cedadb

オンライン受講
https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/248b082f-80a0-cf0e-6135-634df3ea2331

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2023年03月14日

『温泉めぐり』(その2)

母が山梨の身延町に住んでいた頃、鰍沢(かじかざわ)の町を何度か通ったことがある。北斎の富岳三十六景にも出てくる場所だが、今は寂れた雰囲気になっている。

https://matsutanka.seesaa.net/article/478452138.html

そもそも、どうして昔の鰍沢は栄えていたのだろうと思っていたのだが、『温泉めぐり』を読んでよくわかった。

この町(鰍沢)は特色ある町として挙げることが出来た。かつて甲府盆地の交通の中心であったところ、誰れも彼も東京に行くものは、この山裾の河港に来て、そこから富士川の川舟で、半日にして東海道の岩淵へ出て行ったところ、その時分は此処は賑やかであった。いろいろな色彩がそこにも此処にも巴渦(うず)を巻いていた。車馬の往来も絶える間もなかった。

要するに、富士川の河港として賑わった町であったのだ。それが舟運の衰退に伴って寂れていったのである。

従って昔は賑やかで、どんな時でも、あの瓜の皮のような舟が十艘や十五、六艘岸につないでないことはなかった河岸も、いまはすっかりさびれて、一軒残った茶店もあわれに、川はただ徒らに白く流れた。

まさに栄枯盛衰という感じである。舟や鉄道や自動車などの交通体系の変化は、全国各地の町を大きく変えてきたのだろう。

posted by 松村正直 at 21:13| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする