2022年01月01日

歌集・歌書一覧

*この記事は常に一番上に表示されます。
 最新の記事は3つ下をご覧ください。

私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の9冊です。

【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)*在庫あり
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)*在庫あり
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)*在庫あり

【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)

「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)


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カルチャーセンター一覧

大阪、京都でカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。
まったく初めての方も大歓迎です。

◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日
   A組 10:30〜12:30
   B組 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
 「はじめての短歌」 毎月第3水曜日 10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
 「はじめての短歌」 毎月第1火曜日 10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
 「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00


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2021年12月31日

2021年の活動記録

連載
 ・啄木ごっこ(第27回)函館へ(「角川短歌」1月号)

 ・干支のうた「卵と肉をめぐる命の不思議」
                  (「NHK短歌」1月号)

その他
 ・「羊・未」入選歌、入選への道(「NHK短歌」1月号)
 ・第8回現代短歌社賞選考座談会(「現代短歌」1月号)

出演
 ・NHK短歌 題「鶏・酉」(Eテレ、1月10日放送)

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2021年01月15日

永田淳歌集『竜骨(キール)もて』

nagatajun.jpg

2007年から2014年までの作品499首を収めた第3歌集。

ヒオウギの咲ける傍えに週に二度黄のゴミ袋四、五個の並ぶ
暁近く岩倉川の砂州の上を鹿の四頭渡りゆく見ゆ
死の後に死の影とうはなくなりぬ実家の庭に転がる青柿
秋の陽の傾きながら差す湖に櫂とふたりの魚釣る時間
着物の中は鶏がらだ 会場に誰か言いにき母の立てるを
杉原でなく恂{がとう空想の許されてあり薄き珈琲
一日の娘の視力を補いて後(のち)に眼鏡は机上に置かる
灯を点すごとくにゲラに朱を入れつ沫雪の降る午の窓辺に
悔いのなき人生などはつまらなし中二数学を子に教えつつ
我が知らぬ佳きこと数多あるらしくいいねいいねの念仏続く

1首目、週2回の燃えるゴミの日。ヒオウギとの取り合わせがいい。
2首目、とても美しい光景。映像を見ているような静謐さを感じる。
3首目、「死の影」という言葉は、確かに生者に対して使うものだ。
4首目、父と息子だけの時間。「櫂」という名前がよく効いている。
5首目、人間とはこんなひどい言葉も言ってしまえる存在なのだ。
6首目、もし恂{邦雄が夭折していたら短歌史はどうなっていたか。
7首目、一日の仕事を終えて、眼鏡もゆっくりと休んでいるみたい。
8首目、ところどころに赤い色が灯る。目がちらちらする感じ。
9首目、悔いのない人生なんて、ほんとうにあるのだろうかと思う。
10首目、「念仏」が強烈だ。SNS上の「いいね」に対する皮肉。

2020年7月1日、砂子屋書房、3000円。

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2021年01月14日

吉村昭『鯨の絵巻』


動物と関わって暮らす人々を描いた作品5篇を収めた短編集。

太地町の捕鯨の刃刺、鯉の養殖家、ヤマガラの飼育家、奄美のハブ捕り、牛蛙の漁り子と、かなり珍しい仕事をする男たちが主人公である。それぞれに抱えている孤独感や、生き物と向き合う時の緊張感などが印象に残る。

鯨は、セミ鯨、マッコウ鯨をのぞいて死亡すると海底に沈み、引揚げることは不可能になる。それを防止するために、鯨の死の寸前にその鼻の下をくりぬいて、あたかも牛の鼻に環を通すように綱を通す。

古式捕鯨のクライマックスとも言うべき「鼻切り」の場面。圧倒的な迫力だ。

1990年11月25日、新潮文庫、360円。

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2021年01月13日

ご報告

 既に「塔」1月号で発表になっております通り、2020年末をもって塔短歌会を退会いたしました。1997年12月に入会して以来、23年間お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。まだまだ結社で果たすべき役割があるにもかかわらず、今回はわがままを聞き入れていただきました。

 もともと河野裕子さんに誘われて入った「塔」でしたので、2010年に河野さんが亡くなって以降、漠然といつかは退会することを考えておりました。ただ、編集長の任期中に辞めるわけにもいかず、また「塔」に対する愛着も止みがたく、一年また一年と先延ばしを続けてまいりました。

 昨年で私も50歳となり、人生の残り時間について考えることが多くなりました。これからの歌人として身の振り方を熟慮した末、思い切って退会の決断をした次第です。今後は「塔」を離れてフリーの立場で、今まで以上に真剣に、精力的に短歌に取り組んでいきたいと思います。

 「塔」の皆様には、これまで大変お世話になりました。お一人お一人に直接お会いしてお礼を申し上げたいところですが、そうもいきません。心苦しい限りですが、ご理解いただけましたら幸いです。塔短歌会のさらなる発展と皆様のご健詠を祈っております。

 またいつか、どこかでお会いしましょう!

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2021年01月12日

映画「相撲道―サムライを継ぐ者たち―」

監督・製作総指揮:坂田栄治
プロデューサー:下條有紀、林 貴恵

2018年12月から2019年6月までの約半年間、大相撲の境川部屋と高田川部屋に密着取材して描いた力士のドキュメンタリー。上質な内容で、とても良かった。

登場する主な力士は、境川部屋の豪栄道、妙義龍、佐田の海、高田川部屋の竜電、輝。インタビューなどを通じて、それぞれの力士の個性や考え方が見えてくるのが面白い。

猛稽古で鳴らした高田川親方(元関脇・安芸乃島)の「稽古したから強くなるわけじゃない」という言葉にハッとさせられた。普通なら「稽古すれば強くなる」と言うところだろう。続く「強いやつは強いんですよ。でも人間って心が弱いでしょ。そこを支えるのは稽古しかない」という話に納得。

そう言えば、先日読んだ池田はるみさんの歌集『亀さんゐない』にも、「相撲道」の出てくる歌があった。

氷壁のやうな日本の相撲道モンゴルのひと白鵬に課す

これ以外にも相撲の歌が多く、「阿炎」「豊真将」「稀勢の里」「日馬富士」「白鵬」「栃錦」「高安」「朝乃山」「勝武士」「炎鵬」「徳勝龍」などが登場する。

いつか両国国技館に相撲を観に行きたいな。

京都シネマ、104分。

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2021年01月11日

池田はるみ歌集『亀さんゐない』


2015年から2020年までの作品を収めた第7歌集。

足あとがつくほど降つて 足跡を消すほど降つて まだ雪止まぬ
まだ青い老人われはつもりたるおち葉のうへをしづかにあゆむ
乗り込めばかすかに水の匂ひせり 今朝地下鉄に秋が届きぬ
ああわれも独り言いふこのごろは人の気持ちが分からないから
肩、腰をほぐされゆけばつぎつぎと城が落ちたといふ感じせり
高齢にあらぬエネルギー発したる草間彌生をわれは愛さず
「日本出身横綱」などと造語され国を負はさる稀勢の里はも
洋服の古きをならべ売つてゐるメルカリとちがひ現物にして
一歳の食欲盛ん 手づかみでひとりで食べるうどんが美味い
たかだかと呼び出しのこゑ伸びてゆく畑のやうな体育館に

1首目、雪の積もっていく様子を足跡の描写でうまく表現している。
2首目、まだ初心者の老人という感じ。滑らないように慎重に歩く。
3首目、地上と違って季節感が見えにくいが、匂いで秋を感じる。
4首目、独り言が増える理由を自分なりに分析しているのが印象的。
5首目、身体のこわばりがほぐれるのを城の陥落に喩えたのが独特。
6首目、「われは愛さず」がいい。世間的な風潮には同調しない。
7首目、モンゴル出身横綱に対する言い方。国籍など関係ないのに。
8首目、門前仲町の縁日の歌。中古品を売っている点では同じだが。
9首目、見るだけで美味しさが伝わる食べ方だ。大人にはできない。
10首目、大相撲の無観客開催の様子。無人の客席が段々畑みたい。

2020年9月3日、短歌研究社、3000円。

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2021年01月10日

服部文祥『サバイバル家族』


食糧を現地調達する「サバイバル登山」で知られる著者のエッセイ集。結婚して三人の子が産まれ、犬や猫や鶏を飼う生活が綴られる。

随所に記されている人生哲学には共感する部分が多い。

何かをするには、別の何かは犠牲になる。自分の選んだ道が自分にとって最良なのか、比較的良いのか、ぼちぼちなのかを、別の人生と比べることはできない。
私の信条は「なにも経験しない平坦な人生より、良いことでも悪いことでも色々経験したほうがいい」である。

車も携帯電話も持たず、エアコンの設置にも頑なに反対する。さらには、こんな宣言までしてしまう。

「俺は今後できるだけ庭でウンコすることにする」
全家族(妻、長男、次男、長女)が夕食に集まったときに宣言した。子どもたちはしばし動きを止めた程度の反応しかしなかった。

いやはや、これはとても真似できない。
服部家では採卵目的で鶏を飼育し、人工孵卵器を使って雛も育てている。生れたばかりの雛は、まだオスとメスの区別がつかない。

オスのニワトリは成鶏になると「時の声」を上げるようになる。日本語でコケコッコーというやつだ。最初はまだへたくそで、ココッコーなどと言っているが、これが聞こえたら、週末にはもうトリ鍋にするしかない。若オンドリにとって「時の声」は自分への死刑宣告である。

卵を産まず、鳴き声を立てるだけのオスには、殺される運命が待っているのだ。

2020年9月25日、中央公論新社、1650円。


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2021年01月09日

映画「続・男はつらいよ」

監督:山田洋次
脚本:山田洋次、小林俊一、宮崎晃
出演:渥美清、倍賞千恵子、佐藤オリエ、山ア努、前田吟、東野英治郎、ミヤコ蝶々、笠智衆ほか

1969年11月公開のシリーズ2作目。清水寺、嵐山、三条大橋など、京都でロケが行われている。寅さんと生みの母の再会をめぐるドラマなど、見どころが多い。

寅さんの泣くシーンが多いことにも驚く。また、前作で結婚したさくらに産まれた子(満男)の顔が寅さんに似ているという話もあって、後に満男が寅さんに懐くようになる伏線が、既に張られている。

京都みなみ会館、93分。

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2021年01月08日

『オナカシロコ』の続き

エッセイの部分から2つ。

私が初めて観たテレビは「文明堂のコマーシャル」だったと母が言っていた。クマのぬいぐるみがラインダンスを踊る、あのCMだ。

懐かしい。「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂〜」というテーマソングが頭に流れる。もっとも、これは関東で流れたCMなので、「あのCM」と言われても、全国の人が知っているわけではない。関西に来てこのCMの話をしたらみんな知らないので驚いた。反対に、例えば「パルナス、パルナス、モスクワの味〜」と言われても僕にはわからない。けっこう地域差がある。

来年の春といえば、ぜひガラケーをスマホに替えたい。スマホを持っていないばかりに損をしてしまうことが増えて来た。

令和の世にガラケーを使っている人は(僕も含めて)絶滅危惧種なので、「おお、ここにも仲間が!」と嬉しくなる。ただ、この歌集の「来年」とは2020年のことなので、もうスマホを買ってしまったかもしれないな。

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2021年01月07日

藤島秀憲歌集『オナカシロコ』

著者 : 藤島秀憲
ふらんす堂
発売日 : 2020-10-30

2019年1月1日から12月31日まで、ふらんす堂のホームページに連載された短歌日記(短歌+エッセイ)をまとめた第4歌集。エッセイも面白いのだが、とりあえず引用は歌だけで。

生簀(いけす)には馬面剝(うまづらはぎ)の二匹おり低カロリーの白身がおよぐ
仏壇に先を譲りてふたたびをエレベーターの待ち人となる
どんぶりをはみ出す海老の尻尾たち昼に混み合う店を行き来す
充血は充実ならず夜を明かし鏡にうつすひだりのまなこ
引用の歌を怪しみ書庫へ行く明治三十一年へ行く
さるすべりの百日間がはじまりぬ選挙のあとの町のそこここ
対岸のアマゾンの倉庫に窓見えず見えねば働くひと見えず
かたゆでの玉子となりて満員の車両に秋のわたしが傾(かし)ぐ
いずこよりA氏は来るや駅前に落ち葉つもれば落ち葉を消しに
あっけない死ほど疑い深き死と刑事が写しし寝間居間わたし

1首目、まだ生きている魚を「低カロリーの白身」として見る視線。
2首目、エレベーターで運ばれる仏壇。死の順番を譲ったみたいだ。
3首目、大きな海老の載る天丼が名物のお店なのだろう。
4首目、「充血」と「充実」は確かに違う。徹夜明けの疲労が濃い。
5首目、明治31年刊行の歌集の歌。ちょっとしたタイムトラベル。
6首目、さるすべりは「百日紅」。夏から秋にかけて長く花が咲く。
7首目、倉庫の窓という具体を通じて、巨大物流企業の怖さを描く。
8首目、「かたゆでの玉子」がいい。身体や意識がこわばる感じ。
9首目、知らない誰かが、いつも落ち葉の掃除をしてくれている。
10首目、自宅で父が亡くなった時の回想。不審死として扱われる。

2020年10月19日、ふらんす堂、2000円。

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2021年01月06日

宮崎郁雨『函館の砂』


副題は「啄木の歌と私と」。

石川啄木の函館時代の友人で、多額の資金援助をし、また啄木の妻の妹と結婚するなど、深い関わりを持った宮崎郁雨。この本は、彼が晩年の75歳の時に出版した回想録である。

啄木との関係においては常に受身な印象が強い宮崎だが、啄木のすべてを受け入れていたわけではなかった。とても真面目な性格だったようで、啄木の女性関係や借金問題に対して厳しい批判も書いている。

後年の彼の恋愛観の変貌と一部の行状に就ては、或はこれを彼の人間的成長と見、思想的伸展とする見解も当然成立つだろうが、私は彼の境遇と心情の如何に拘わらず必ずしも同情的な好意は持てない。
次々と借金を重ねて行った彼の無反省的行動の裏には、実際には必須の事情が伏在したのだけれども、こうした彼の処世概念と、寺育ちという特殊な生態の生んだ自助心の稀薄とが大きく影響して居たのではあるまいか。

その一方で、「性情の対蹠的な私は、自身には到底持ち又は行い得ない不縛奔放の彼の思度や行為の持つ不思議な魅力に引かれて」という記述もある。啄木に対する愛憎半ばする思いが滲みつつも、全体として深い理解と愛情を感じる一冊だと思う。

1960年11月5日、東峰書院、380円。


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2021年01月05日

初夢

A「『樺太を訪れた歌人たち』って、実は全5部作らしいよ」
B「えっ?本当に?」
A「うん。『台湾を〜』『朝鮮を〜』『満洲を〜』『南洋群島/千島を〜』と続くんだとか」
B「壮大な計画だな!」
A「その前に死んじゃうと思うけど」

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2021年01月04日

永井祐歌集『広い世界と2や8や7』


287首を収めた第2歌集。
(だから「2や8や7」なのか?)

よれよれにジャケットがなるジャケットでジャケットでしないことをするから
一人カラオケ わたしはなぜかしたくなく君はときどきやっていること
待てばくる電車を並んで待っている かつおだしの匂いをかぎながら
公園のトイレに夜の皺が寄る わたしが着てる薄過ぎるシャツ
マスカットは秋の食べ物 秋になると色んなものの上にのるから
冬の街あるいてゆけば増強された筋肉みたいなダウンジャケット
パリなんてベタだと思う 君がいて靴の色まで夕方になる
公園の入り口にある桜の木 黒いダウンの子供も見てた
ファミレスが得意なのはハンバーグとパフェ わたしにも聞こえる虫の声
とうめいな袋の中でポッキーがきれいに横に並んでいるよ

1首目、「ジャケット」3回の繰り返しと言葉の大胆な省略が巧み。
4首目、「夜の皺」が印象的。皴からシャツへという流れも自然だ。
5首目、マスカット自体ではなくケーキやパフェに載るマスカット。
6首目、ダウンジャケットのもこもこしている感じが目に浮かぶ。
9首目、豊富なメニューの中にも、得意分野と不得意分野がある。

「コンビニ」「携帯」「iPhone」「TSUTAYA」「コーヒー」「エアコン」「シャツ」の歌が多い。カタカナが多い。算用数字が多い。一字空けが多い。

2020年12月8日、左右社、1600円。


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2021年01月03日

小林真代歌集『Turf』(その2)

続いて後半から。

骨になりこの地に残るといふことのしづけさにけふの日が差してゐる
夜が先か雪が先かと思ひつつカーテンを閉ぢ灯りを点す
ふるさとをきつと頼りにしてほしい 皮剝けばなほ白き大根
昼に食ふはずが夜食ふサラダうどん嗚呼昼の味がすると思へり
あかりひとつ消せば隣の部屋の声くきやかになるホテル東洋
脚立返しに来ましたと呼ぶ塗装屋の声が足場の底から聞こゆ
産みし子が遠くの街ではたちになる今日をたのしむビール冷やして
足尾銅山鉱毒事件をおほふ泥 除染といふ語新しからず
用水路でザリガニ獲つてよろこんで弟はまだ姉のものなりき
自分のことばかりしてゐし一日の日記書くときひとをおもひぬ

1首目、死後の自分の骨に日が差しているような寂しさと安らぎだ。
2首目、上句の言い回しが独特。夕暮れに雪が降り出しそうな気配。
3首目、進学を機に離れる子にも、いつか故郷が心の拠り所になる。
4首目、昼食べても夜食べても同じサラダうどんだが、何か違う。
5首目、寝ようと思って灯りを消すと、隣の部屋の音が気になる。
6首目、「足場の底から」がいい。作業現場の空間が感じられる。
7首目、息子に対する祝いであると同時に、自分への祝いでもある。
8首目、「除染」が新語ではなかった驚き。歴史は繰り返される。
9首目、子どもの頃の思い出。「姉のものなりき」の断定がいい。
10首目、自分のことだけでは心は満たされないのかもしれない。

2020年9月26日、青磁社、2500円。

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2021年01月02日

小林真代歌集『Turf』(その1)

2009年から2019年までの作品を収めた第1歌集。

作者は福島県いわき市在住。震災や原発事故の影響や内装工事の現場の歌を中心に、印象に残る歌がとても多い。まずは前半から。

本物のサーカスを見た記憶なくシャガール展へ馬を見にゆく
運転免許証優良講習に集ひけるけふの人みな冬生まれ
震度6に怯えて逃げし石田さんの犬いまどこをにげてゐるのか
トンネルを数へつつゆく海岸線途中から海を数へてしまふ
弟によく似た嬰児抱きつつ弟こんなにかはいかつたか
つばくらめ村人よりも先に来て仮設住宅に巣をつくりをり
どんな検査だつたか問へば舌打ちしフツー。フツーの内部被ばく測定
除染なら三十年は仕事がある。食ひつぱぐれない。やらないか、除染。
ひとつづつテトラポッドを吊り上げて重機は雲ののろさで動く
女性用作業ズボンの臀部にある丸みと裏地が女性用なり

1首目、生まれ育った家庭環境。シャガール展へという流れが良い。
2首目、誕生日の前後一か月が更新期間。「みな冬生まれ」なのだ。
3首目、パニックになって逃げ出し犬。今も逃げ続けているのか。
4首目、トンネルの中の時間が長くて、時々海が見える感じなのだ。
5首目、甥のことだと読んだ。下句がやや失礼な内容ながら率直。
6首目、震災や原発事故などの背景を何も知らない燕の明るさ。
7首目、何にでも「フツー」と答える子。普通のことではないのに。
8首目、放射能汚染の除染作業が安定した仕事の口になる現実。
9首目、「雲ののろさ」が印象的。海岸や空の風景が見えてくる。
10首目、男性が多い現場で自分が女性であることを意識する瞬間。

2020年9月26日、青磁社、2500円。


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2021年01月01日

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。

2021年の目標は

・「啄木ごっこ」をひたすら書く。
・3月で朝日新聞の短歌時評が終わるので、これまで書いてきた
 時評関係の文章を何らかの形でまとめる。
・「パンの耳」第4号を出す。
・母の家にひと月に一度は行く。
・父にも会う。
・作品や評論を発表する場を設ける。

といったところでしょうか。
今年もよろしくお願いします。

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2020年12月31日

2020年の活動記録

作品
 ・「ふたご」8首(「歌壇」1月号)
 ・「アップルパイ」3首(「うた新聞」2月号)
 ・「心臓」7首(「短歌研究」5月号)
 ・「うれしいこぶた」15首(「パンの耳」第3号)

連載
 ・啄木ごっこ(第15回)日露戦争とナショナリズム
                   (「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第16回)二回目の上京と詩集『あこがれ』
                   (「角川短歌」2月号)
 ・啄木ごっこ(第17回)『あこがれ』の評価、評判
                   (「角川短歌」3月号)
 ・啄木ごっこ(第18回)一禎罷免のこと
                   (「角川短歌」4月号)
 ・啄木ごっこ(第19回)節子と「啄木新婚の家」
                   (「角川短歌」5月号)
 ・啄木ごっこ(第20回)中津川のほとりで
                   (「角川短歌」6月号)
 ・啄木ごっこ(第21回)「小天地」の発行
                   (「角川短歌」7月号)
 ・啄木ごっこ(第22回)徴兵検査  (「角川短歌」8月号)
 ・啄木ごっこ(第23回)渋民村への帰郷
                   (「角川短歌」9月号)
 ・啄木ごっこ(第24回)もう一人の啄木―『田舎教師』の林清三
                   (「角川短歌」10月号)
 ・啄木ごっこ(第25回)初めての小説(「角川短歌」11月号)
 ・啄木ごっこ(第26回)若きお父さん(「角川短歌」12月号)

 ・干支のうた「嫌われ者で人気者」(「NHK短歌」4月号)
 ・干支のうた「無口な働き者」(「NHK短歌」5月号)
 ・干支のうた「異国に棲む猛獣」(「NHK短歌」6月号)
 ・干支のうた「見つめる眼と長い耳」(「NHK短歌」7月号)
 ・干支のうた「想像が生んだ霊獣」(「NHK短歌」8月号)
 ・干支のうた「不気味なまでの長さ」(「NHK短歌」9月号)
 ・干支のうた「運ぶ、曳く、働く、乗る」
                 (「NHK短歌」10月号)
 ・干支のうた「眠れぬ夜の十億頭」(「NHK短歌」11月号)
 ・干支のうた「人間の姿を映す鏡」(「NHK短歌」12月号)

評論
 ・民衆から無名者へ、近藤芳美三十首(「歌壇」12月号)

時評
 ・日韓関係を考える(「朝日新聞」2月16日朝刊)
 ・資料を残す大切さ(「朝日新聞」3月22日朝刊)
 ・手探りの世界で(「朝日新聞」4月19日朝刊)
 ・性別や年齢ではなく(「朝日新聞」5月24日朝刊)
 ・未来を先取りする(「朝日新聞」6月21日朝刊)
 ・コロナ禍と言葉(「朝日新聞」7月19日朝刊)
 ・甦る戦争の姿(「朝日新聞」8月23日朝刊)
 ・二つの最先端(「朝日新聞」9月20日朝刊)
 ・東京よりも地元で(「朝日新聞」10月18日朝刊)
 ・初期の歌、後期の歌(「朝日新聞」11月22日朝刊)
 ・違和感を手掛かりに(「朝日新聞」12月20日朝刊)

書評
 ・飯沼鮎子歌集『土のいろ草のいろ』評
                 (「現代短歌新聞」4月号)
 ・三田村正彦歌集『京都紀行』評(「現代短歌新聞」9月号)
 ・山中律雄著『川島喜代詩の添削』評
                (「現代短歌新聞」12月号)

その他
 ・2020年度選者紹介(「NHK短歌」4月号)
 ・「鼠・子」入選歌、入選への道(「NHK短歌」6月号)
 ・「牛・丑」入選歌、入選への道(「NHK短歌」7月号)
 ・「虎・寅」入選歌、入選への道(「NHK短歌」8月号)
 ・「兎・卯」入選歌、入選への道(「NHK短歌」9月号)
 ・「龍・辰」入選歌、入選への道(「NHK短歌」10月号)
 ・「蛇・巳」入選歌、入選への道(「NHK短歌」11月号)
 ・「馬・午」入選歌、入選への道(「NHK短歌」12月号)
 ・私の稀覯本 石本美佐保著『メモワール・近くて遠い八〇年』
                   (「短歌往来」8月号)
 ・指針となった一言「とにかく十年」(「歌壇」8月号)
 ・河野裕子『家』評 空の巣症候群(「角川短歌」8月号)
 ・晶子の歌(「与謝野晶子の世界」第20号)
 ・現代歌人27人が選ぶ土屋文明短歌
               (「若き日の土屋文明」図録)
 ・三月の歌(「六花」vol.5)
 ・作品点描4(「角川短歌年鑑」令和3年版)
 ・河野裕子セレクション「猫」(第9回河野裕子短歌賞)

出演
 ・NHK短歌 題「鼠・子」(Eテレ、4月5日放送)
 ・NHK短歌 題「牛・丑」「虎・寅」(Eテレ、6月7日放送)
 ・NHK短歌 題「兎・卯」(Eテレ、7月5日放送)
 ・NHK短歌 題「龍・辰」(Eテレ、8月2日放送)
 ・NHK短歌 題「蛇・巳」(Eテレ、9月6日放送)
 ・NHK短歌 題「馬・午」(Eテレ、10月4日放送)
 ・NHK短歌 題「羊・未」(Eテレ、11月1日放送)
 ・NHK短歌 題「猿・申」(Eテレ、12月6日放送)

posted by 松村正直 at 23:59| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月30日

全国樺太連盟の解散

本日届いた「樺連情報」1月号によれば、一般社団法人全国樺太連盟は2021年3月末をもって解散することに決まったとのこと。会員数は今も973名と少なくないが、高齢化が進み、今後の活動が難しい状況となっているようだ。歴史的な役割を終えたということだろう。

樺太連盟と北海道との間に委譲契約書が締結され、5773点の資料が北海道博物館に納品されたとのことで、ひとまず良かったと思う。ただ、残った資料等については、4月以降、「清算人会で寄贈・廃棄案を検討する」そうで、貴重な資料が失われてしまわないか心配である。

posted by 松村正直 at 13:13| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする