2023年01月01日

歌集・歌書一覧

*この記事は常に一番上に表示されます。
 最新の記事は3つ下をご覧ください。

私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の11冊です。

【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『駅へ』新装版(2021年、野兎舎)*在庫あり
   野兎舎オンラインストア
   アマゾンKindle版
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)*在庫あり
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)*在庫あり
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)*在庫あり

【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)*在庫あり
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)*在庫あり
・『踊り場からの眺め』(2021年、六花書林)*在庫あり

「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)

また、ネットショップのBOOTHでも販売しております。
どうぞお気軽にご利用ください。
masanao-m.booth.pm/

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カルチャーセンター一覧

大阪、京都、兵庫などでカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。
まったく初めての方も大歓迎です。

◎NHK学園オンライン講座
 「短歌のコツ」 第4木曜日 19:30〜20:45

◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日
   A組 10:30〜12:30
   B組 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
 「はじめての短歌」 毎月第3水曜 10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
 「はじめての短歌」 毎月第1火曜 10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
 「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00

◎住吉カルチャー
 「はじめての短歌」 毎月第1金曜 10:30〜12:30
 *神戸市東灘区文化センターで行っている自主カルチャーです。
  受講を希望される方は松村までご連絡ください。

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2022年12月31日

2022年の活動記録

作品
 ・「ひがんばな」15首(「パンの耳」第5号)
 ・「子福桜まで」20首(「短歌研究」3月号)
 ・「ルーム」7首(「短歌研究」5月号)
 ・「海は見えない」10首(「ふらッと短歌」フリーペーパー)
 ・「「リアル(写実)のゆくえ」展」13首
                   (「短歌往来」9月号)
 ・「烏鷺の争い」15首(「パンの耳」第6号)
 ・「醤油差し」10首(「俳句四季」12月号)

連載
 ・啄木ごっこ(第39回)三回目の上京と「明星」の衰退
                   (「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第40回)観潮楼歌会(「角川短歌」2月号)
 ・啄木ごっこ(第41回)赤心館と金田一京助
                   (「角川短歌」3月号)
 ・啄木ごっこ(第42回)小説を書く日々(「角川短歌」4月号)
 ・啄木ごっこ(第43回)「散文詩」についてのノート
                   (「角川短歌」5月号)
 ・啄木ごっこ(第44回)「石破集」の世界
                   (「角川短歌」6月号)
 ・啄木ごっこ(第45回)問答短歌の系譜(「角川短歌」7月号)
 ・啄木ごっこ(第46回)自殺願望と「煩悶青年」
                   (「角川短歌」8月号)
 ・啄木ごっこ(第47回)菅原芳子への恋(「角川短歌」9月号)
 ・啄木ごっこ(第48回)蓋平館別荘から見える煙
                   (「角川短歌」10月号)
 ・啄木ごっこ(第49回)明治四十一年秋と「明星」終刊
                   (「角川短歌」11月号)
 ・啄木ごっこ(第50回)「鳥影」の新聞連載
                   (「角川短歌」12月号)
 ・近代人気歌人再発見「中村憲吉」@(「NHK短歌」7月号)
 ・近代人気歌人再発見「中村憲吉」A(「NHK短歌」8月号)
 ・近代人気歌人再発見「中村憲吉」B(「NHK短歌」9月号)

評論
 ・口語自由律と大正デモクラシー(「プチ★モンド」No.116)
 ・異民族への「興味・関心」と「蔑視・差別」―近代短歌に
   とってアイヌとは何だったか(「現代短歌」5月号)
 ・短歌でたどる鉄道の一五〇年(「短歌往来」8月号)
 ・手品のような言葉―岡部桂一郎没後十年
                   (「うた新聞」10月号)
書評
 ・高島裕歌集『盂蘭盆世界』評(「歌壇」3月号)
 ・西巻真歌集『ダスビダーニャ』評(「短歌往来」3月号)
 ・加藤孝男歌集『青き時雨のなかを』評(「短歌往来」7月号)
 ・上田清美歌集『喜望峰に立ちたし』評(「白珠」8月号)
 ・福島泰樹著『自伝風 私の短歌のつくり方』評
                 (「現代短歌新聞」8月号)
 ・岡井隆歌集『阿婆世』評(「短歌往来」11月号)
 ・畑中秀一歌集『靴紐の蝶』評(「現代短歌新聞」11月号)

その他
 ・第9回現代短歌社賞選考座談会(「現代短歌」1月号)
 ・アンケート「二〇二一年の収穫」(「ねむらない樹」vol.8)
 ・アンケート「文庫で読みたい歌集」(「短歌研究」3月号)
 ・秀歌を読もう「永井陽子」(「短歌春秋」162号)
 ・秀歌を読もう「石川啄木」(「短歌春秋」163号)
 ・秀歌を読もう「山崎聡子」(「短歌春秋」164号)
 ・25年前の出会い(「国際啄木学会会報」第40号)
 ・令和四年度「夏の誌上短歌大会」選評(入選作品集 6月15日)
 ・林宏匡『ニムオロのうた』解説(現代短歌社 第一歌集文庫)
 ・将来の読者のために(「六花」vol.7)
 ・五月の歌(「六花」vol.7)
 ・歌集歌書展望 2022年度4期(「短歌研究」12月号)

出演
 ・NHK学園「令和4年度 夏の誌上短歌大会」選者
 ・NHK学園「くにたち短歌大会」選者
 ・第10回現代短歌社賞選考委員
 ・第24回「あなたを想う恋のうた」審査員
 ・講座「『石川啄木』こんな歌もあったの?」(1月23日)
 ・講座「文学者の短歌」(2月6日)
 ・講座「現代に生きる与謝野晶子」(2月19日)
 ・「伝わる批評とは何か 10年分の時評をまとめた歌人・
  松村正直さん」
(「朝日新聞」デジタル版 5月9日)
 ・「若い歌に息づく玉のようなもの」(「朝日新聞」5月11日)
 ・講座「アイヌと短歌」(5月22日)
 ・「ふらッと短歌」(5月28日)
 ・「“うまい・下手”だけじゃない 小説家たちの短歌」
           (「毎日新聞」地域版[大阪]6月15日)
 ・講演「読みつつ迷い、迷いつつ読む」(7月23日)
 ・オンラインイベント「軍医の見た戦争―米川稔の生涯」
                        (8月12日)
 ・講座「啄木日記から見た短歌」(8月27日)
 ・シンポジウム「大正デモクラシー期の文学と思想
             ―啄木・晶子・作造―」(10月16日)
 ・「くにたち短歌大会」オンライン選評座談会(10月20日)
 ・講座「永井陽子の奏でる言葉」(11月3日)
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2022年11月28日

BOOTH 無料公開の追加

下記の文章をBOOTHで無料公開しました。
https://masanao-m.booth.pm/

・エッセイ「光秀や義経のこと」「オセロと腕相撲」「風邪の匂い」
  *「母の友」2007年5〜7月号に連載した子育てエッセイ。

・平成歌壇10大ニュース「このゆるやかな曲がり角の先に」
  *「角川短歌年鑑」平成30年版に書いた文章。
   対象は平成16年から29年まで。

皆さん、どうぞダウンロードしてお読みください。
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2022年11月27日

瀬戸夏子『白手紙紀行』


「現代短歌」2018年5月号から2019年7月号まで連載された文章に加筆・修正をして文庫化したもの。

読書日記の体裁を取りつつ、幅広いジャンルの本を取り上げて、鋭い文芸批評を展開している。

印象に残った部分をいくつか。

最近、いい歌といい歌集というのはかなり別のものだ、ということをよく考える(もちろん、いい、の基準もまたそれぞれだ、ということは踏まえた上で、いったん、さておき)。
一首のなかに時間の経過を詠みこむと短歌は秀歌になりやすいが(短歌の場合、連作や歌集単位でも基本的にはおなじことが言えると思う)、花火、噴水、エレベーターなどは、単語単位でその効果が狙えるからではないだろうか。
短歌というのは案外長いものである。あってもなくても良いようにみえる言葉こそが歌の出来を決めることは多い。短歌の冗長さを利用している歌の場合は、それこそが心臓になる。意味内容などは肝にならない。
岡井隆の発明はたくさんあるが、そのひとつは加齢を許す文体の発明であったと思う。塚本か岡井か、この評価の時代による変遷、そして現状における岡井の優位はまずひとつここにある。

文章に勢いがあり、最後までぐいぐいと読ませる。内容的には同意する部分も疑問に感じる部分もあるのだが、著者の主張や短歌観をはっきりと打ち出しているところがいい。

2021年2月16日、泥書房、1200円。

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2022年11月26日

和歌山へ

中林祥江歌集『草に追はれて』を読む会に参加するため、和歌山へ。

会が始まる前に、会場近くの和歌山城を訪ねる。


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天守閣と御橋廊下。


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名勝 西之丸庭園(紅葉渓庭園)。


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あいにくの曇り空だったけれど、紅葉はきれいに色づいていた。


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一の橋のクスノキ。
樹高25メートル。1945年の和歌山空襲にも耐えて生き延びた木だ。

13:00から「塔」和歌山歌会、その後14:30から『草に追はれて』を読む会を行う。参加者の3首選に多く引かれていた歌は次の通り。

今日も陽は絶好調に昇りきて向日葵の頭(づ)をまづは照らしぬ
雨の前に花はよく咲く蜜蜂とキウイの受粉に励みて居りつ
本を読む少女の靴のつま先が折々あがる朝の電車に
色のよき実に仕上げむと一枚づつ葉を後ろ手のかたちに組ます
十月の畑に生れたる歌ひとつとどめし紙は土の匂ひす
わが憂さが指の先より抜けるゆゑ今日も一日庭の草ひく
この道を歩いてゆけば辿り着く月とおもへり海の一条

久しぶりにお会いする方も多く、楽しく懐かしい一日だった。
ありがとうございました!

posted by 松村正直 at 22:27| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月25日

古波蔵保好『料理沖縄物語』


1983年に作品社より刊行され1990年に朝日文庫に入った本を、与那原恵の協力により再刊したもの。

ジャーナリスト・エッセイストの古波蔵保好(こはぐら・ほこう、1910‐2001)が、主に戦前の沖縄の食に関して記したエッセイ集。

「冬至雑炊(とぅうじ・じゅうしい)」「鬼餅(むうちい)」「ぽうぽう」「ゆし豆腐」「スミイカ汁」「らふてえ」「古酒(くうす)」「豚飯(とぅんふぁん)」「山羊(ふぃじゃあ)」など、美味しそうな食べ物がたくさん出てくる。

わたしは、料理本を書くつもりはなかった。料理に託して、沖縄の女たちが描く風俗絵図をお見せしたかったのである。

著者があとがきに書いている通り、戦争で失われてしまったかつての沖縄の暮らしや習慣が、この本の一番のテーマなのかもしれない。

もちろん家庭の惣菜料理では、魚そのものがよく使われたけれど、昔ながらの手料理でわたしを育ててくれた母は、焼き魚とか煮魚など、日本的料理を知らなかったらしく、ぶつ切りにしてお汁に仕立てたり、炒め煮したり、「飛び魚」だと輪切りにしてカラ揚げにするといった調子だった。
沖縄の人たちにとって、家庭菜園の作物は共有みたいなもので、菜園のない近所の人たちが、あたりまえのように、「ごうやあもらいますよ」と入ってきて、欲しいだけ取っていく。取られるほうも、あたりまえのように、ニコニコと、幾つもさしあげる。
あのころの沖縄で飼育されているのは、黒い毛の豚ばかりだった。体毛の白い豚を見たことのないわたしは、豚は黒いものだと思っていたのである。沖縄からよその土地へいって、白豚を見たコドモが、あれも豚だと教えられ、豚のお婆さんですね、と珍しがったそうだ。

読んでいるうちに、沖縄にまた行きたくなってきた。沖縄料理が食べたいな。

2022年5月13日、講談社文庫、660円。

posted by 松村正直 at 21:57| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月24日

岡本太郎『芸術と青春』


1956年に河出書房から刊行された単行本を再編集して文庫化したもの。「青春回想」「父母を憶う」「女のモラル・性のモラル」の三章構成になっている。

いつもながら、パリに帰ったときの感激は素晴らしい。世界にこんな明快で、優美で、心の奥までしみ入る情緒のあるところはない、この町以外で、どうして人間が人間らしく生活できるのか、とふしぎに思えるくらい、この町のユニークなよさに感動してしまうのである。
華やか好きだった母かの子を中心とした芸術家三人の親子は、確かに世の羨望の的だった。だから私達一家を、人々が非常に恵まれた、睦まじい家庭であったように想像しているのも無理ではないと思うが、しかし実際は、必ずしもそのような表現は当てはまらないのである。
私はお母さん達とか先生とか、若い世代を指導する人達に言いたい。あなた方がこれはやってはいけないことだ、と思われるようなことこそ、大ていの場合、むしろやらなきゃいけないことである。そう思ってみてほしいということです。

岡本太郎の文章は歯切れがよく、読んでいて気分がいい。特に父の一平や母のかの子に関する話は、どれもしみじみとした味わいがあって良かった。

2002年10月15日第1刷、2020年10月10日第11刷。
光文社知恵の森文庫、514円。

posted by 松村正直 at 08:18| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月23日

講座「続・文学者の短歌」

12月3日(土)に毎日文化センターで、講座「続・文学者の短歌」を行います。

https://www.maibun.co.jp/wp/archives/course/36106

今回は、柳田国男(民俗学者)、高村光太郎(詩人、彫刻家)、加藤楸邨(俳人)、中原中也(詩人)、三浦綾子(小説家)の5名を取り上げます。面白い歌や意外な歌がたくさん出てきますので、皆さんぜひご参加ください!

大阪(梅田)の教室でも、オンラインでも、どちらでも受講できます。時間は13:00〜14:30です。

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2022年11月22日

朴順梨『離島の本屋ふたたび』


副題は「大きな島と小さな島で本屋の灯りをともす人たち」。
2013年刊行の『離島の本屋』の続篇。
https://matsutanka.seesaa.net/article/482420991.html

連載の場が増えたことで今回は古書店も取り上げられている。また、沖縄本島の話が多く離島色はやや薄めになっている。

登場する島は、沖縄本島、喜界島、宇久島、種子島、佐渡島、伊豆大島、石垣島、屋久島。

私はずっと、なくならないことだけが正解だと思っていた。しかし時代が変われば人の生活も変わり、利用するデバイスも変わってくる。そんな中で私ができるのは、本と本屋に関わったことを「楽しかったし幸せだった」と思えるように、そこにいる人たちを応援し続けていくことなのだろう。
いつでも会える、いつでも行ける。そう思っているうちに人や場所はなくなってしまい、気づいた時に悔やんでももう取り返しはつかない。店は閉店したけれど、会いに行こう。
この取材で沖縄では、新刊本と古書を同じ棚に並べている書店がいくつもあることを知った。他の地域では古書と新刊はしっかり分けて売られていることが一般的なので、興味深く映った。

本屋をめぐる状況は厳しさを増している。そんな中で、この作者のように本屋を応援し、記録する試みは、ますます大事になっていくに違いない。

2020年10月30日、ころから、1600円。

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2022年11月21日

西勝洋一歌集『晩秋賦』

 nishikatsu.jpg

今年80歳で亡くなった作者の遺歌集。
2002年以降の作品514首が収められている。

灯籠が浮き沈みして流れゆきふいに見えなくなりし夜の闇
滝桜は見るべくもなく霙降る三春(みはる)の町にうどんをすする
「宦官」というを初めて知りし日の光あふれる春の教室
うたた寝をしている間に滅びたる平家 日曜の夜も時代は移る
〈伝説の塩ラーメン〉を食べたいと友遠方より来たり楽しも
出勤して必ずくしゃみを一度する同僚の側にはコーヒーを置かず
「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」と分けてゆき終に残れり「分からないゴミ」
同級生十人揃い温泉に行く計画はにわかに進む
内科より歯科へと歩む半日の沈むならねど弾まぬこころ
映画館、本屋、床屋と別れゆく三人家族のそれぞれの午後

1首目、上句が面白い。歩きながら塀越しに灯籠を見ている場面か。
2首目、有名な桜を見るのは諦めるしかない。寒さが伝わってくる。
3首目、中学生の頃か。性の目覚めのイメージが鮮やかに描かれる。
4首目、うたた寝しながら見るテレビ。上句に栄華の儚さを感じる。
5首目、作者の住むのは北海道の旭川。論語を踏まえたユーモアだ。
6首目、同僚に対する皮肉の歌が何首かある。遠慮のないくしゃみ。
7首目、「分かる」の語源が「分ける」であるという話を思い出す。
8首目、「にわかに」がいい。誰かが言い出して見る見る話が進む。
9首目、下句の半ば打ち消すような言い方に、老いの悲しみが滲む。
10首目、町に出て各人の用事をしに行く。素敵な家族のあり方だ。

2022年9月28日、六花書林、2500円。

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2022年11月20日

森英介『風天 渥美清のうた』


映画「男はつらいよ」シリーズで知られる渥美清は、「風天」の俳号で俳句を詠んでいた。その作品を探し出し、全容を明らかにしようとした一冊。

芸名渥美清、役名車寅次郎、本名田所康雄、そして俳号風天。語っても語っても語りつくせない渥美清伝説の中で第四の顔、風天の部分だけがすっぽり抜け落ちている。

前半は関係者へのインタビューや取材を通じて全220句を見つけ出すまでの話で、後半は石寒太による全句解説という構成になっている。

印象に残った句を引く。

なんとなくこわい顔して夜食かな
立小便する気も失せる冬木立
ひぐらしは坊さんの生れかわりか
納豆を食パンでくう二DK
たけのこの向う墓あり藪しずか
あと少しなのに本閉じる花冷え
そば食らう歯のない婆(ひと)や夜の駅
乱歩読む窓のガラスに蝸牛
新聞紙通して秋刀魚のうねりかな
雨蛙木々の涙を仰ぎ見る

2008年7月10日第1刷、2018年5月15日第5刷。
大空出版、1714円。

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2022年11月19日

講座「多様化する短歌の「今」」

まだ先の話ですが、来年2023年3月18日(土)に朝日カルチャーくずは教室で、「多様化する短歌の「今」」という講座を行います。時間は13:00〜14:30の90分間。

この10年くらいの作品を読みながら、まずは短歌の現状について知り、そして今後について考えたいと思います。

教室(京阪「樟葉」駅すぐ)とオンライン、どちらでも受講できます。ご興味のある方はどうぞご参加ください。お待ちしております!

教室受講
https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/67c99f87-f86e-4b10-d0c1-634df2cedadb

オンライン受講
https://www.asahiculture.jp/course/kuzuha/67c99f87-f86e-4b10-d0c1-634df2cedadb

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今井町へ(その2)


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称念寺のイチョウ。

今井町はもともと、この寺の寺内町として発展してきた歴史がある。本堂は重要文化財。門の前には「明治天皇今井行在所」の石碑が立っている。


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今井まちなみ交流センター「華甍」(はないらか)

明治36年建築の旧高市郡教育博物館。昭和4年からは今井町役場として使われた。現在は今井町の歴史を紹介する資料館となっている。


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「紙半」豊田家住宅。

「紙半」という屋号で、肥料・綿・油・木綿などを扱っていた旧家。道の向かいにある「豊田家記念館」とあわせて入館料300円。


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天井を見ると、昔のままの太い梁が残っている。


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豊田家記念館の敷地にあるカイヅカイブキ。
樹高11.5メートル。樹齢約250年。

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2022年11月18日

今井町へ(その1)

来月の別邸歌会の下見も兼ねて、奈良県橿原市の今井町へ行く。


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蘇武橋のエノキ。

飛鳥川にかかる蘇武橋(そぶはし)の西岸に立っている。今井町の入口に当たる場所だ。樹高14メートル。推定樹齢420年。


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「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている今井町。
東西約600メートル、南北約310メートル。
周囲に堀や土塁をめぐらした環濠集落であった。


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重要文化財9件を含む約500件の伝統的建造物があり、江戸時代の雰囲気を色濃く残している。映画のセットのようにも見えるけれど、普通に人が暮らす生活の場だ。


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重要文化財の旧米谷(こめたに)家住宅。
18世紀中頃の建物で、無料で公開されている。


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かつては「米忠」という屋号で金物商を営んでいたとのこと。
伊右衛門のCMに使われたこともある。
https://www.youtube.com/watch?v=mS1vn1tE5EM

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2022年11月17日

大崎善生『将棋の子』


2001年に講談社より刊行された単行本の文庫化。
第23回講談社ノンフィクション賞受賞作。

日本将棋連盟で働き「将棋世界」の編集長を務めた著者が、プロ棋士養成機関である「奨励会」(新進棋士奨励会)について記した作品。過酷な競争の果てにプロになれず去っていった退会者たちの、その後を描いている。

同じ札幌出身で親しかった成田英二を訪ねて北海道へ行く話を軸に、戦いに敗れた退会者たちの物語が群像劇のように展開する。世代的には羽生善治の前後に当たる者たちの話が多い。

羽生は55勝22敗で6級から初段をかけ抜けた。ということは、奨励会対羽生は22勝55敗、誰かがその55敗を引きうけていることになる。しかも、それは羽生だけに限らず、羽生とそれほど遜色のない勝率でここまで勝ちあがってきた57年組全員に対していえることなのである。つまり、57年組の嵐が吹き荒れる間、奨励会は沈没船や難破船の山となっていたはずなのだ。

1勝の影には必ず1敗があり、勝者の向こうには必ず敗者がいる。プロになれずに去っていく者の方が、人数で言えば圧倒的に多いのだ。そして、その後も人生は続いていく。

2003年5月15日第1刷、2020年10月28日第27刷。
講談社文庫、700円。

posted by 松村正直 at 07:43| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月16日

短歌と人間

小池光の歌集『サーベルと燕』に、こんな歌がある。

勝ちが見えれば指が震へる人間羽生四十九歳になりてをりたり

25歳で将棋界の7つのタイトルを独占し、今では永世七冠の資格を有する羽生善治九段。そんな天才もまたAIとは違う「人間」であって、勝ちを意識すると駒を持つ指が震えるというのだ。

勝ちを読み切った際の羽生の指の震えは、将棋ファンにはおなじみの話。この歌が印象的だったのは、小池が同じく羽生について以前こんな歌を詠んでいるからである。

「将棋に人生を持ち込むと甘くなる」羽生善治言へりわれら頷く/『静物』(2000年)

約20年経て詠まれた二つの歌を比較すると、小池の短歌に対する考えの変化を窺うことができる。小池の歌集にはこんなふうに、かつての歌とつながる歌が数多く潜んでいる。

posted by 松村正直 at 08:53| Comment(0) | 短歌入門 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月14日

三越のライオン像

『絵はがきの大日本帝国』に三越のライオン像の話が出ていた。

ちなみに今も三越本店の正面玄関前に座す二頭の獅子像のルーツを辿ると、百年以上も前の日露戦争に遡る。それはロンドンのトラファルガー広場に建つネルソン提督記念碑の獅子像(四頭)を模した特注品だ。日英同盟の影響も大きい。トラファルガー、ネルソン、東郷平八郎、日本海海戦の順に連想したと思われる。

ライオン像 | 日本橋三越本店 | 三越 店舗情報

三越のライオンに手を触れるひとりふたりさんにん、何の力だ
/荻原裕幸『永遠青天症』
三越のライオン見つけられなくて悲しいだった 悲しいだった
/平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』
三越のライオン像に銭(ぜに)あげて祈るひとあり東京暮色
/小池光『サーベルと燕』

ライオン像に触れたり、待ち合わせしたり、賽銭を上げたり。
さすが100年以上の歴史を誇るライオンだけのことはある。

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2022年11月13日

二松啓紀『絵はがきの大日本帝国』


1900年の北清事変から1945年の敗戦に至る「大日本帝国」の姿を、390点のカラーの絵葉書とともに解説した本。とても興味深く、資料的な価値も高い。

絵はがきはメディアである。見知らぬ土地の風景を我々に見せてくれる。小さな紙片にはさまざまな情報が凝縮されている。それが古いとなれば、未知なる過去への扉にもなる。

私も『高安国世の手紙』や『樺太を訪れた歌人たち』に、資料として絵葉書を載せている。戦前の出来事や社会風俗を知るためには、絵葉書は必須のアイテムと言っていいだろう。

絵はがきの世界は、購入者が見たい、発行者が見せたい、検閲者が見せてはならないという三要素によって成立してきた。発行者が不特定多数の購入者(読者)を意識し、大量に発行するとマスメディアとしても機能した。

以下、備忘的に印象に残った部分を引く。

当時の京城でブランド力を持つ百貨店は三越だけではない。「三中井」ブランドも強かった。「三中井」は、近江商人の中江家が江戸時代から神崎郡金堂村で営む呉服小物店「中井屋」を起源とし、旅順陥落から間もない一九〇五年一月、朝鮮の大邱に創立した三中井商店が大陸進出の第一歩となる。
第一次世界大戦では日本とロシアは連合国として参戦した。ウラジオストクを中継点にシベリア鉄道を経由して、日本からヨーロッパへ大量の軍需物資が輸送された。かつて日本にとって軍事的脅威だった鉄道が逆に莫大な富をもたらす輸送ルートになった。
和風の住宅街の後方に二七本の煙突が確認できる。上空に噴き上がる黒煙は凄まじい。現代人の感覚からすれば、産業化どころか環境汚染の象徴のように感じるが、当時の感覚は今と異なっていた。(…)戦前日本において黒煙は豊かさを生み出す源泉と見なされた。
「平野丸」は一九〇八(明治四一)年一二月に竣工した貨客船だ。欧州航路に就航し、歌人与謝野晶子が乗船した船としても知られるが、一九一八(大正七)年一〇月四日にドイツ海軍のUボートの攻撃を受けて英国西部ウェールズ沖で撃沈され、二一〇人の犠牲者を出す。
調査団は英国のリットン伯爵(卿)を委員長とし、フランスのクローデル中将、イタリアのアルドロバンディ伯爵、米国のマッコイ陸軍少将、ドイツの植民政策研究家シュネー博士が委員だった。公平を期すため委員五人の人選は日中両国の同意を得ていた。
北日本汽船の「日本海時代来る」は日本海湖水論の視覚化に成功したといえる。大陸を取り囲むように、樺太から北海道、本州、九州へと連なり、稚内、留萌、小樽、函館、酒田、新潟、舞鶴などの都市名を列記する。大陸側にあるソ連の浦鹽斯徳(ウラジオストク)、朝鮮北部の清津、雄基、城津から一直線に敦賀と舞鶴へと航路が延びる。

それにしても、知らない話がたくさん載っている。歴史の奥深さと面白さを体感できる一冊だ。

2018年8月10日、平凡社新書、1400円。

posted by 松村正直 at 11:47| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月12日

映画「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」

監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:渥美清、いしだあゆみ、柄本明、片岡仁左衛門、倍賞千恵子、吉岡秀隆ほか

1982年公開のシリーズ第29作。

陶芸家を演じる片岡仁左衛門と、女中役のいしだあゆみがいい。陶芸家の自宅シーンは、京都の河井寛次郎記念館で撮影されたとのこと。

シリーズの中でも名作の一つで、印象に残る台詞が多い。丹後の伊根や、鎌倉・江ノ島の風景も美しい。

アップリンク京都、110分。

posted by 松村正直 at 06:30| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする