2026年01月01日

歌集・歌書一覧

*この記事は常に一番上に表示されます。
 最新の記事は3つ下をご覧ください。

私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の11冊です。

【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『駅へ』新装版(2021年、野兎舎)*在庫あり
   野兎舎オンラインストア
   アマゾンKindle版
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)

【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)*在庫あり
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)
・『踊り場からの眺め』(2021年、六花書林)*在庫あり

「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)

また、ネットショップのBOOTHでも販売しております。
どうぞお気軽にご利用ください。
masanao-m.booth.pm/

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カルチャー講座一覧

大阪、京都、兵庫などでカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。
まったく初めての方も大歓迎です。

◎NHK学園オンライン講座
 「短歌のコツ」 毎月第4木曜日19:30〜20:45

 「現代短歌セミナー 作歌の現場からU」 偶数月第3水曜日
  19:30〜21:00 *永田和宏さん、ゲストの方と3人で

 「N学短歌plus」 *サブスク(定額制)講座

◎住吉カルチャー
 「はじめての短歌」 毎月第1金曜10:30〜12:30

◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日
   A組 10:30〜12:30
   B組 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
 「はじめての短歌」 毎月第3水曜10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
 「はじめての短歌」 毎月第1火曜10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
 「短歌教室」毎月第2月曜日 13:00〜15:00

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2025年12月31日

2025年の活動記録

作品
 ・「濡れ縁」25首(「現代短歌」1月号)
 ・「岩魚とミズナラ」15首(「パンの耳」第9号)
 ・「ひよどりとスズメ」10首(「角川短歌」2月号)

連載
 ・啄木ごっこ(第75回)結核と母の死(「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第76回)啄木死す(「角川短歌」2月号)

 ・ことば以上こころ未満(第22回)(「NHK短歌」1月号)
 ・ことば以上こころ未満(第23回)(「NHK短歌」2月号)

書評
 ・江戸雪歌集『カーディガン』評(「短歌往来」2月号)
 ・滝田恵水歌集『長靴を履く』評(「短歌人」2月号)

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2025年02月06日

良真実『はじめての近現代短歌史』


明治時代から現在にいたる短歌の歴史をまとめた本。

まえがきに「短歌史とは秀歌の歴史のことです」とある通り、まず第一部「作品でさかのぼる短歌史」では秀歌69首を読み解きながら現在から明治時代へと時代をさかのぼっていく。その後、第二部「トピックで読み解く短歌史」では、時代順に歌壇に起きた出来事や登場した歌人たちを紹介している。

かなり専門的な話も出てくるのだが、著者の文章は明晰で論旨もすっきりしていて読みやすい。また、すべての人名にふりがなを付けたり、文語助動詞の解説を付け加えたりという点も親切だ。「です・ます」調の文体も含めて、多くの人に読んでもらいたいという気持ちの表れだろう。

本書の大きな特徴として、男性に偏っていた短歌史の記述をできるだけ男女平等にしようと試みている点が挙げられる。従来の男性歌人中心の語りの問題について繰り返し言及するとともに、女性歌人の作品や動向について丁寧に記している。

また、「キリスト教」「沖縄」への目配りも、これまでの短歌史に薄かった部分だ。わからない歌として話題になった服部真里子の作品について「キリスト教の文脈を導入すれば容易に読むことができます」と解説している部分や、新城貞夫や沖縄戦を詠んだ歌を取り上げているところに持ち味が出ている。

以下、備忘のため印象に残った部分を引いておく。

モノの機能を捉え直す技法は「リフレーミング」と呼ばれ、投稿歌壇の入選作に多く見られますが(…)
子規庵歌会はそれまでの歌会と異なり、句会の形式を採用していました。(…)匿名互選によって歌会からヒエラルキーを取り払った点は革新的であり、この構造は少しだけ形を変えて、現在の歌会でも維持されています。
文語短歌は当時の言葉で「普通文」と呼ばれる書き言葉で書かれます。「普通文」とは明治期に確立した統一的な書き言葉の一種で、(…)平安時代の書き言葉に由来する助動詞を使います。しかし、動詞や名詞はある程度口語文と共通しています。
新興短歌は思いのほか少数派です。当時の大手出版社である改造社刊の『短歌研究』について、創刊年の一九三二年から新興短歌が終息を迎える一九四一年までの寄稿者を集計すると、新興短歌側の人名は全体の一〇%ほどにしかなりませんでした。
既存の短歌史は、多くの場合話題になった評論や論争ベースで書かれています。本書もそれを踏襲しました。こうした手法では男性歌人中心の短歌史記述となることを免れません。

過去百数十年の短歌の流れをたどり、これからの短歌について考えるのに絶好の一冊となっている。おススメです!

2024年11月6日、草思社、2300円。

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2025年02月05日

吉村昭『総員起シ』


5篇の戦史小説を収めた短篇集。

「海の柩」は北海道沿岸で起きた輸送船撃沈、「手首の記憶」は樺太の大平炭鉱病院の看護師たちの集団自決、「烏の浜」は樺太からの疎開船小笠原丸の撃沈、「剃刀」は沖縄戦、「総員起シ」は伊号第33潜水艦の沈没事故と船体の引揚げがテーマになっている。

どの話も生々しくて衝撃的なものばかり。綿密な取材をもとにこれらを書き記した作者の筆力に感服する。

2014年1月10日新装版第1刷、2024年9月25日第3刷。
新潮社、710円。

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2025年02月04日

寒波

冷暖房を使わない生活を始めて3度目の冬。

今日はこの冬一番の寒波がやって来たそうで、京都では最高気温7.9度、最低気温0.9度だった。外を歩いていても家の中にいても、確かに寒い。

でも、この冬一番の寒さかと言えばそうでもない。身体がもうこの冬の寒さに慣れているからだ。

人間の身体も季節によって変化するのだろう。今はもう冬になって2か月くらい経ったので、身体が完全に冬仕様になっている。冬仕様の身体は寒さに強い。

一方で、12月頃はまだ身体が冬仕様になっていないから、気温がそれほど低くなくても身体には堪える。人間の感じる寒さは単に気温だけではないということだ。

立春も過ぎて、あとは本格的な春の訪れを待つばかり。

posted by 松村正直 at 23:38| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月02日

今後の別邸歌会

 「別邸歌会」チラシ 2025.02.jpg


2か月に1回、関西各地で誰でも参加できる歌会を開催しています。

初めての方もベテランの方も、若い方も年配の方も、ふるってご参加ください。誰もが思ったことを何でも気軽に発言できる場を目指しています。
posted by 松村正直 at 22:46| Comment(0) | 歌会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月01日

今後の予定

下記の講座や歌会などを行います。
みなさん、お気軽にご参加ください。

2月19日(水)講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」(オンライン)
https://college.coeteco.jp/live/8dqlckqq

3月15日(土)第18回別邸歌会(新宮)
https://matsutanka.seesaa.net/article/510004066.html

3月22日(土)講座「短歌を通して考えるガザ、パレスチナ」(くずは、オンライン)
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7651547

3月29日(土)「春のプレミアム短歌講座」(東京)
https://college.coeteco.jp/live/mwlocw3y

4月16日(水)講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」(オンライン)

4月29日(火・祝)令和7年度神戸短歌祭

5月17日(土)第19回「与謝野寛・晶子を偲ぶ会」(東京)

5月25日(日)講座「短歌―語順のマジック」(大阪)

5月31日(土)第19回別邸歌会(神戸)
https://matsutanka.seesaa.net/article/510004066.html

6月18日(水)講座「現代短歌セミナー 作歌の現場から」(オンライン)

posted by 松村正直 at 13:58| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月31日

雑詠(046)

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アメリカの四角い背を撫でているどこにお灸を据えればよいか
山火事にロサンゼルスが燃えている風船を飛ばしたわけではないが
いつもその先にあるのがゆうやみで薄くまつ毛の先が濡れゆく
かばんにも靴にも胃にも穴があく五十四年を生きてきて今
どのみちという道があり門を抜けあかるい冬の墓地へとつづく
順調に父の身体は衰えてしばしば部屋のなかでも転ぶ
終ったら呼んでと言って扉を閉める便座のうえに父を残して

*******************************

posted by 松村正直 at 10:29| Comment(0) | 雑詠 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月30日

現代短歌セミナー 作歌の現場から

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次回の「現代短歌セミナー 作歌の現場から」は2月19日(水)の19:30〜21:00に開催します。ゲストは川野里子さん(「かりん」編集委員)、テーマは「具体と抽象」です。

川野さんは現在「NHK短歌」の選者を務めているほか、先日、対話集『短歌って何?と訊いてみた』(本阿弥書店)を刊行されたところです。

みなさん、どうぞご視聴ください!

https://college.coeteco.jp/live/8dqlckqq
(2月19日の回のみ)
https://college.coeteco.jp/live/mnrxcqj0
(2月、4月、6月の3回分)

posted by 松村正直 at 23:08| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月29日

逢坂みずき歌集『昇華』


「塔」所属の作者の第2歌集。前作『まぶしい海』は短歌だけでなく日記やエッセイも収めた作品集なので、「歌集」にはカウントしていないようだ。

・『虹を見つける達人』(2020年)
https://matsutanka.seesaa.net/article/476161815.html
・『まぶしい海 ― 故郷と、わたしと、東日本大震災』(2022年)
https://matsutanka.seesaa.net/article/486137241.html
https://matsutanka.seesaa.net/article/486186998.html

都会での一人暮らし、そして故郷の宮城県女川町に戻ってからの生活。ひりひりするような心情を詠んだ歌も入っている。

うっすらと雪平鍋に染みついた線は一人分の味噌汁の嵩
自販機で買った緑茶がへこんでるゴールデンウィーク最終日
たちあおい 比べるなって言いながら一番比べているのはわたし
建設中のマンションの前に停まってるトラックにたくさんの浴槽
セーターの毛玉ちみちみつまみつつ広告動画が終わるのを待つ
友はもう母をおばあちゃんと呼んでいてわたしの裡を野分がめぐる
わたしの中に女があるのはいいけれど女の中にわたしは居たくない
結婚をするのも仕事の一つにて家族経営のどん詰まりにいる
幸せの定義は深く考えない かっぱえびせんを覚えたかもめ
親戚がほとんど枝のたらの芽やほとんど竹のたけのこくれる

1首目、具体がよく効いている歌。一人暮らしの様子が見えてくる。
2首目、中身には別に問題ないのだけれど、ツイてないなあと思う。
3首目、直立するタチアオイの姿と二句以下の取り合わせが絶妙だ。
4首目、100戸のマンションなら100個の浴槽が必要になるわけだ。
5首目、動画広告を所在なくやり過ごす様子。「ちみちみ」がいい。
6首目、結婚して子を産んだ友人と自分の差を感じて心がざわつく。
7首目、性別は属性の一つに過ぎないのに、窮屈さを感じてしまう。
8首目、水産業を営む実家で男手や跡継ぎを期待される現実がある。
9首目、上句と下句の取り合わせがいい。かもめは無心に食うだけ。
10首目、たくさん採ってきたのだろう。親戚同士の気安さが滲む。

2024年9月18日、短歌研究社、2000円。

posted by 松村正直 at 11:14| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月28日

「角川短歌」2025年2月号

「角川短歌」2月号の連載「啄木ごっこ」(第76回)の題は「啄木死す」。ついに啄木が亡くなった。連載は80回で終了予定なので残り4回。いよいよゴールが見えてきた。

他にも「啄木と帽子」「啄木とルナパーク」「啄木と何となく歌」など、連載に書けなかったネタが残っているので、またどこかで気楽に書いてみたいと思う。

posted by 松村正直 at 23:35| Comment(0) | 石川啄木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月27日

大阪自由大学公開講座

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2月25日(火)に小竹哲さんの「短歌に詠まれた宝塚少女歌劇 ― 三十一文字に彩られた草創期の宝塚 ―」という講座が行われます。
https://kansai.main.jp/

小竹さんは2023年に『宝塚少女歌劇、はじまりの夢』という本を出されています。
https://matsutanka.seesaa.net/article/499458717.html
https://matsutanka.seesaa.net/article/499484425.html

時間は14:00〜15:30、場所は中楽坊情報館(大阪淀屋橋)。
参加費1000円、定員20名です。

posted by 松村正直 at 23:27| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月26日

東京より

東京(神奈川)の父の家に2泊して帰ってきた。

父は血液がんの一種である骨髄異形成症候群にかかっていて、2週間に1度、赤血球と血小板の輸血が欠かせない。日常生活においても、頻繁に立ち眩みを起こして身体が硬直したり転倒したりしてしまう。

一緒にご飯を食べたり、相撲を見たり、雑談したりして過ごす。父は几帳面な性格なので部屋は片付いている。それでも、風呂場やトイレの掃除はできなくなったようなので掃除した。

マグロが食べたいと言うのでマグロ尽くしの寿司のパックを買ったところ、握りや鉄火巻は食べるのに、ネギトロには手を付けない。好きではないのかと聞くと、一度も食べたことがないと言う。84歳になって新しいものを食べようという気にはならないようだ。美味しいのにな。

もう自力で外出することはできない。治る病気ではないので、少しでも楽しいことのある日々を長く送れるようにしてあげたいと思う。

posted by 松村正直 at 21:39| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月25日

講座「短歌を通して考えるガザ、パレスチナ」

3月22日(土)に朝日カルチャーセンターくずは教室&オンラインで、「短歌を通して考えるガザ、パレスチナ」という講座を行います。時間は13:00〜14:30の90分です。

ご興味・ご関心のある方、ぜひご受講ください。

2023年10月から始まったガザ地区での戦闘により、既に4万人以上の人々が亡くなりました。ガザ、パレスチナに関してはこれまで何十年にもわたって数多くの短歌が詠まれています。それらを通してパレスチナ問題を学ぶとともに、時事詠・社会詠のあり方についても考えます。

満身に怒りの花を噴き咲かせガザ回廊に死んでいる我
       岡井隆『土地よ、痛みを負え』(1961年)
西側の二枚の舌がしんしんと嬲(なぶ)りしパレスチナにあらぬか     黒木三千代『クウェート』(1994年)
液晶にガザの血は映りこちらまで溢れ出さねば卓上に置く
       吉川宏志『叡電のほとり』(2024年)

【教室受講】
 https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7651546

【オンライン受講】
 https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7651547

posted by 松村正直 at 14:51| Comment(0) | カルチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月24日

東京へ

ひとり暮らしをしている父の様子を見に、東京(神奈川)へ行ってきます。

posted by 松村正直 at 05:57| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月23日

映画「本を綴る」

監督:篠原哲雄
出演:矢柴俊博、遠藤久美子、宮本真希、長谷川朝晴、加藤久雅ほか

小説を書けなくなった作家は、手紙や写真に導かれるように、那須・京都・観音寺・高松と旅をする物語。

那須塩原市図書館みるる、恵文社一乗寺店、待賢ブックセンター、半空、本屋ルヌガンガなどが登場する。本の好きな人にはたまらない内容だった。

映画の後は近くにできたパレスチナ料理店「Bisan京都店」で昼食。

出町座、107分。

posted by 松村正直 at 15:04| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月22日

澤地久枝『石川節子』

副題は「愛の永遠を信じたく候」。

堀合節子が石川啄木と出会って結婚し、さまざまな苦労を重ねながら亡くなるまでを描いた評伝。節子の未発表書簡の引用もあり、啄木全集からは見えてこない節子の心情が浮き彫りになっている。

数多くのノンフィクション作品を手掛けた著者の筆力ならではの一冊と言っていいだろう。読みやすく、ぐいぐい引き込まれる。そして、中身も濃い。

「吾望みのすべては君なり」という節子の手紙は、孤独な窮地にいる啄木の心を甘く揺らし涙を誘った。しかし活路はどこにも見出せず、敗残者として心萎えたと伝えるには重すぎる、枷のような信頼と讃美の恋文でもある。
この歌が詠まれる現実的な情景は小樽のこの朝のほかにない。そして常に啄木の歌よりは現実の世界の方がはるかに苛酷である。
「古今を通じて名高い人の後には必ず偉い女があつた事をおぼへて居ます。私は何も自分を偉いなどおこがましい事は申しませんが、でも啄木の非凡な才を持てる事は知つてますから今後充分発展してくるやうに神かけていのつて居のです」

啄木の没後に日記を焼却せず、多くの遺稿とともに整理・保存した節子は、後に啄木が世に知られるようになる立役者と言っていいだろう。27歳で亡くなった節子に対する著者の心寄せも胸に沁みる。

1981年5月12日、講談社、980円。

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2025年01月21日

「パンの耳」第9号刊行!

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同人誌「パンの耳」第9号を刊行しました。
20名の作品15首とエッセイを掲載しています。

澄田広枝   「アクアリウムと兵器」
和田かな子  「この春を聞く」
佐々木佳容子 「ブランコ」
岡野はるみ  「帽子が飛んで」
多治川紀子  「薬瓶のダイアモンド」
仲内ひより  「言い訳を踊る」
鍬農清枝   「夏炎えて」
畑中秀一   「青きシリウス」
星乃三千子  「回転レシーブ」
木村敦子   「雲のヴェール」
乾 醇子   「海ぶだう」
伊東 文   「ウメエダシャクガ」
弓立 悦   「トライアングル」
長谷部和子  「胸に抱くパンの香り」
添田尚子   「塞の神」
紀水章生   「ifふいに」
甲斐直子   「夏が来ている」
松村正直   「岩魚とミズナラ」
河村孝子   「往生さまざま」
米延直子   「西陽に向かう」

エッセイ「土のうた、砂のうた」
会員紹介

A5判、64ページで定価は300円。

現在、BOOTHにて販売しております。(送料無料)
https://masanao-m.booth.pm/

どうぞよろしくお願いします!

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出したい本あれこれ

これから出したいと思っている本。

・第6歌集
・『啄木ごっこ』(角川短歌に連載しているもの)
・『こころ以上ことば未満』(NHK短歌に連載しているもの)
・「戦争の歌」シリーズのオンラインセミナーのまとめ
・『やさしい鮫』復刊
・『午前3時を過ぎて』復刊
・『短歌は記憶する』の続篇
・第7歌集

夢はどんどん膨らむけれど、お金がなければどうしようもない。

posted by 松村正直 at 21:47| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする