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私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の12冊です。
【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『駅へ』新装版(2021年、野兎舎)*在庫あり
野兎舎オンラインストア
アマゾンKindle版
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)
・『について』(2025年、現代短歌社)*在庫あり
現代短歌社オンラインストア
【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)*在庫あり
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)
・『踊り場からの眺め』(2021年、六花書林)*在庫あり
「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)
また、ネットショップのBOOTHでも販売しております。
どうぞお気軽にご利用ください。
masanao-m.booth.pm/
2027年01月01日
カルチャー講座一覧
大阪、京都、兵庫、オンラインなどで短歌のカルチャー講座を担当しています。短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。まったく初めての方も大歓迎です。
◎NHK学園オンライン講座
「N学短歌plus」 *サブスク(定額制)講座
◎住吉カルチャー(神戸)
「はじめてよむ短歌」 毎月第1金曜10:30〜12:30
◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
「短歌実作」 毎月第2土曜日
A組 10:30〜12:30
B組 13:00〜15:00
「短歌を楽しむ」 毎月第2・第4水曜日13:00〜15:00
◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
「はじめての短歌」 毎月第3水曜10:00〜12:00
◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
「はじめての短歌」 毎月第1火曜10:30〜12:30
◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00
◎NHK学園オンライン講座
「N学短歌plus」 *サブスク(定額制)講座
◎住吉カルチャー(神戸)
「はじめてよむ短歌」 毎月第1金曜10:30〜12:30
◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
「短歌実作」 毎月第2土曜日
A組 10:30〜12:30
B組 13:00〜15:00
「短歌を楽しむ」 毎月第2・第4水曜日13:00〜15:00
◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
「はじめての短歌」 毎月第3水曜10:00〜12:00
◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
「はじめての短歌」 毎月第1火曜10:30〜12:30
◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00
2026年12月31日
2026年の活動記録
作品
・「治療痕」7首(「角川短歌」1月号)
・「レッドロブスター」15首(「ねむらない樹」13号)
連載
・評論月評 第二回(「短歌往来」1月号)
・評論月評 第三回(「短歌往来」2月号)
・評論月評 第四回(「短歌往来」3月号)
評論
・「評論・詩・短歌から読み解く啄木晩年の思想」(「歌壇」2月号)
書評
・今井聡歌集『にんげんのかたち』評(「現代短歌新聞」2月号)
その他
・「新しいステージ〈第一歌集の頃〉」(「現代短歌」113号)
・澁谷義人歌集『但馬へ』跋
・「治療痕」7首(「角川短歌」1月号)
・「レッドロブスター」15首(「ねむらない樹」13号)
連載
・評論月評 第二回(「短歌往来」1月号)
・評論月評 第三回(「短歌往来」2月号)
・評論月評 第四回(「短歌往来」3月号)
評論
・「評論・詩・短歌から読み解く啄木晩年の思想」(「歌壇」2月号)
書評
・今井聡歌集『にんげんのかたち』評(「現代短歌新聞」2月号)
その他
・「新しいステージ〈第一歌集の頃〉」(「現代短歌」113号)
・澁谷義人歌集『但馬へ』跋
2026年03月09日
忙しい日々
このところ仕事が立て込んで、忙しい日々が続いています。
何か用事のある方は4月以降にしていただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
何か用事のある方は4月以降にしていただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
2026年03月08日
「THE 新版画」と啄木
何でも石川啄木と関連付けて考えてしまうのが私の癖なのだろう。
渡邊庄三郎や川瀬巴水の生没年を見ると、啄木と同じ明治十年代の生まれだとわかる。
渡邊や川瀬は昭和三十年代まで生きているので、明治で生涯を終えた啄木とは世代が違うように感じるが、実は同世代なのである。
そして、今回一番驚いたのは、「THE 新版画」展に名取春仙の作品が6点展示されていたことだ。
「初代中村鴈治郎の紙屋治兵衛」「六代目尾上梅幸のお富」「十五代目市村羽左衛門の入谷直侍」「初代中村吉右衛門の馬盥光秀」「二代目市川左團次の鳴神」「五代目中村歌右衛門の淀君」と、すべて役者絵である。役者絵の版画家として人気があったらしい。
実は、この名取春仙は啄木の『一握の砂』の装幀を担当したことでも知られている。

これが『一握の砂』(復刻版)の表紙である。
名取は当時、東京朝日新聞社に勤めていたので啄木の同僚ということになる。その縁で、装幀を任されたようだ。
偶然であるが、二人は同じ年の生まれであった。
啄木が亡くなってから48年後、名取は74歳で亡くなる。娘を肺炎で亡くしたあと、墓の前で夫婦揃って服毒自殺を遂げたとのこと。何とも凄絶な最期であった。
渡邊庄三郎や川瀬巴水の生没年を見ると、啄木と同じ明治十年代の生まれだとわかる。
石川啄木 (1886−1912)
渡邊庄三郎(1885−1962)
川瀬巴水 (1883−1957)
渡邊や川瀬は昭和三十年代まで生きているので、明治で生涯を終えた啄木とは世代が違うように感じるが、実は同世代なのである。
そして、今回一番驚いたのは、「THE 新版画」展に名取春仙の作品が6点展示されていたことだ。
「初代中村鴈治郎の紙屋治兵衛」「六代目尾上梅幸のお富」「十五代目市村羽左衛門の入谷直侍」「初代中村吉右衛門の馬盥光秀」「二代目市川左團次の鳴神」「五代目中村歌右衛門の淀君」と、すべて役者絵である。役者絵の版画家として人気があったらしい。
実は、この名取春仙は啄木の『一握の砂』の装幀を担当したことでも知られている。
これが『一握の砂』(復刻版)の表紙である。
名取は当時、東京朝日新聞社に勤めていたので啄木の同僚ということになる。その縁で、装幀を任されたようだ。
名取春仙(1886−1960)
偶然であるが、二人は同じ年の生まれであった。
啄木が亡くなってから48年後、名取は74歳で亡くなる。娘を肺炎で亡くしたあと、墓の前で夫婦揃って服毒自殺を遂げたとのこと。何とも凄絶な最期であった。
2026年03月07日
「THE 新版画」
昨夜は歌会の後そのまま神戸市に泊まり、今日は朝から六甲ライナーに乗って六甲アイランドに渡った。目指すは神戸市ファッション美術館で開催中の「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」である。
https://www.fashionmuseum.jp/special/shin-hanga/
こんな近くで新版画の展覧会をやっていたなんて。新聞の記事で見つけられてよかった。
10:00開館と同時に入り13:00までたっぷりと観て回る。土曜日だったけれどお客さんは多くなく、ゆっくり見られたので大満足。
全183点。チャールズ・W・バートレット10点、伊東深水25点、川瀬巴水54点、笠松紫浪13点、小原祥邨15点などが5つのブロックに分けて展示されている。
T「新版画」の誕生
U 多彩な美人画の世界
V 新たな風景画の出現
W モダン役者絵
X 花鳥新版画の魅力
新版画というと風景画のイメージが強いのだが、美人画や役者絵、花鳥画などにもそれぞれ力作があることがわかった。
それにしても、絵師・彫師・摺師を束ね「新版画」ブームを生み出した渡邊庄三郎はすごい。天才プロデューサーと言っていだろう。
2026年03月06日
住吉カルチャー&フレンテ歌会
10:30から神戸市東灘区文化センターで住吉カルチャー、参加者16名。真野少『山葵の花』を取り上げて社会詠に関する話などをした。
12:30終了。昼食を挟み13:00からフレンテ歌会、参加者14名。「3月がテーマの二首連作」計28首をめぐって議論した。17:00終了。
その後、近くのロイヤルホストで食事&お喋り。19:30解散。
住吉カルチャー、フレンテ歌会ともに新規参加者を募集しています。
ご興味のある方は松村までご連絡ください。
あるだろうと怖れつつ来し売店に「ひめゆりちんすこう」は並びぬ
B29に同梱されて二センチのファットマンあり箱には書かず
12:30終了。昼食を挟み13:00からフレンテ歌会、参加者14名。「3月がテーマの二首連作」計28首をめぐって議論した。17:00終了。
その後、近くのロイヤルホストで食事&お喋り。19:30解散。
住吉カルチャー、フレンテ歌会ともに新規参加者を募集しています。
ご興味のある方は松村までご連絡ください。
2026年03月04日
齋藤美衣『やっと言えた』
心身の不調を日々感じる著者が、カウンセリングを受けるなかで自らの心の傷と向き合い、緩やかに回復していく姿を描いたドキュメンタリー。
前著『庭に埋めたものは掘り起こさなければならない』も自らの心を深く掘り下げる姿勢が印象的であったが、本書も生々しい心のありようを一つ一つ丁寧に言葉で描き出している。
https://matsutanka.seesaa.net/article/510743013.html
カウンセリングは順調に進んだわけではなく、何の進展も感じられない日々が続いたり、カウンセラーと衝突したり、カウンセリングを中止しようと決断したり、紆余曲折が続く。それでも心の傷を見つめ正面から向き合うことで、やがて自分の身体と心を取り戻すまでにいたるのだ。
生きている人は誰もが、種類や深さは異なれど傷をかかえている。わたしの描いた物語は一つのケースだが、ここには「人が人と共に生きていく」という普遍的なテーマが含まれていると思っている。その意味で、この物語はわたしのものでありながら、多くの人のものでもあるとも考えている。(「少し長いあとがき」)
同じような悩みや苦しみを抱えている人に勇気と希望を与える一冊と言っていいだろう。
先日の歌集『世界を信じる』批評会の前に本書を読んだのだが、批評会ではあえてこの本の内容には触れなかった。歌は歌だけで鑑賞した方が良いと思ったからである。
でも、もちろん両者は深いところでつながっているのであって、歌集のあとがきにもカウンセラーへの感謝の言葉が記されている。
2025年11月15日、医学書院、2200円。
2026年03月02日
『啄木ごっこ』ご購入のお願い
3月25日に私の新しい著書『啄木ごっこ』がKADOKAWA(角川書店)から刊行されます。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322512001250/
雑誌「角川短歌」の2018年11月号から2025年6月号まで、7年近くにわたって連載した文章をまとめたものです。
石川啄木ファンの方はもちろんのこと、そうでない方にも楽しく読める内容になっています。文学に関心がある人、歴史に興味がある人、本の好きな人など、多くの方にお読みいただければ幸いです。
既に書店やamazonでも予約の受付が始まっております。
短歌の歌集や歌書の多くは自費出版と言って、著者がお金を払って本を出すのが一般的です。もちろん私もそうで、これまで12冊の本を出すのに1000万円以上を使っています。
そんな中で、今回の『啄木ごっこ』は著者の負担のない好条件で出版できることになりました。非常にありがたい話なのですが、その分、何冊売れたかという販売数が重要になってきます。どれだけ売れるかによって、私の今後も変ってくるのです。
今回大きなチャンスをいただきました。もし売上が好調であれば次の仕事や本の出版へとつながります。反対に売上がよくなければ、二度ととこうした好条件で本を出すことはできなくなるでしょう。
このブログをお読みくださる方は、直接お会いしたことのない方も含めて私の信頼する方々です。どうか『啄木ごっこ』を書店でもオンラインショップでもどこでも構いませんので、お買い求めください。
定価3600円(税込3960円)とけっして安くはありません。
けれども、本文520ページと通常の本の2冊分くらいの分量があります。また、私が渋民や盛岡、函館、札幌、小樽、釧路、東京などに出向いて取材を重ね、古い資料と睨めっこして、精魂を傾けて書いた一冊です。
『啄木ごっこ』に関しては既に校了まで進んでおりますので、刊行中止になることはありません。けれども、その売上次第で今後の私の歌人人生は大きく変わってきます。
近年、本を出版するのは年々厳しくなっています。私が残りの人生で、自分の好きな歌を詠み、思い通りの文章を書いて暮らしていけるかは、ひとえに『啄木ごっこ』の販売にかかっていると言っていいでしょう。
「推しは推せる時に推せ」という言葉がありますが、まさに今がその時という感じなのです。私への応援や激励の気持ちを、ぜひ『啄木ごっこ』の購入にお使いいただけないでしょうか。
本をお読みいただくのがもちろん一番嬉しいですが、分厚い本なのですぐには読めない方も多いと思います。それでも手元に置いておくだけで助かりますし、知人・友人の方にお薦めいただいたりプレゼントしていただくのもありがたいです。
私が7年間かけてようやく書き上げた一冊です。本の中身には十分な自信を持っておりますので、なにとぞご協力のほどよろしくお願いします!
https://www.kadokawa.co.jp/product/322512001250/
雑誌「角川短歌」の2018年11月号から2025年6月号まで、7年近くにわたって連載した文章をまとめたものです。
石川啄木ファンの方はもちろんのこと、そうでない方にも楽しく読める内容になっています。文学に関心がある人、歴史に興味がある人、本の好きな人など、多くの方にお読みいただければ幸いです。
既に書店やamazonでも予約の受付が始まっております。
短歌の歌集や歌書の多くは自費出版と言って、著者がお金を払って本を出すのが一般的です。もちろん私もそうで、これまで12冊の本を出すのに1000万円以上を使っています。
そんな中で、今回の『啄木ごっこ』は著者の負担のない好条件で出版できることになりました。非常にありがたい話なのですが、その分、何冊売れたかという販売数が重要になってきます。どれだけ売れるかによって、私の今後も変ってくるのです。
今回大きなチャンスをいただきました。もし売上が好調であれば次の仕事や本の出版へとつながります。反対に売上がよくなければ、二度ととこうした好条件で本を出すことはできなくなるでしょう。
このブログをお読みくださる方は、直接お会いしたことのない方も含めて私の信頼する方々です。どうか『啄木ごっこ』を書店でもオンラインショップでもどこでも構いませんので、お買い求めください。
定価3600円(税込3960円)とけっして安くはありません。
けれども、本文520ページと通常の本の2冊分くらいの分量があります。また、私が渋民や盛岡、函館、札幌、小樽、釧路、東京などに出向いて取材を重ね、古い資料と睨めっこして、精魂を傾けて書いた一冊です。
『啄木ごっこ』に関しては既に校了まで進んでおりますので、刊行中止になることはありません。けれども、その売上次第で今後の私の歌人人生は大きく変わってきます。
近年、本を出版するのは年々厳しくなっています。私が残りの人生で、自分の好きな歌を詠み、思い通りの文章を書いて暮らしていけるかは、ひとえに『啄木ごっこ』の販売にかかっていると言っていいでしょう。
「推しは推せる時に推せ」という言葉がありますが、まさに今がその時という感じなのです。私への応援や激励の気持ちを、ぜひ『啄木ごっこ』の購入にお使いいただけないでしょうか。
本をお読みいただくのがもちろん一番嬉しいですが、分厚い本なのですぐには読めない方も多いと思います。それでも手元に置いておくだけで助かりますし、知人・友人の方にお薦めいただいたりプレゼントしていただくのもありがたいです。
私が7年間かけてようやく書き上げた一冊です。本の中身には十分な自信を持っておりますので、なにとぞご協力のほどよろしくお願いします!
2026年03月01日
澤村斉美歌集『竜の眠つてゐた跡』
2012年から2017年までの作品450首を収めた第3歌集。
1首目、豪雨の被害を報道するテレビ映像に映るヘリコプターの影。
2首目、夫婦喧嘩の後の様子。夫の歌は距離の取り方がおもしろい。
3首目、上句は西行の歌を踏まえつつ目の霞む感じを伝えて面白い。
4首目、戦争が起きても他者に同調せず自分の生き方を貫く心構え。
5首目、流産したときの歌。せめて花を買って命を送りたいと願う。
6首目、職場で仕事しながらも呆然とした気持ちで過ごす日が続く。
7首目、新聞社の校閲の仕事。判決が出る前に三通りの原稿がある。
8首目、異動する人にとっては大ごとだが淡々と日々は続いていく。
9首目「ほたろう」は蛍。夜の美しい姿と昼の姿はあまりにも違う。
10首目、何とも健康的で伸びやかな歌だ。お腹も山のようだろう。
11首目、命の誕生を表す「へその緒」から「遺品」へと続く驚き。
12首目、ただの音声だったものが言葉っぽい響きに変わったのだ。
13首目、紫陽花に近づいてじっと見つめる子の瞳。青一色の世界。
14首目、自分だけ世の中の動きから遅れていくように感じるのか。
15首目、微笑ましいだけではなくどことなく寂しさも含んでいる。
2025年11月21日、砂子屋書房、3000円。
濁流といへども影が映りをりヘリコプターの翼が回る
争ひののちのふて寝がほんたうの眠りに入りし夫を見にいく
やまさとはかすみわたれるけしきにて 視力表のかな一字づつ読む
死んだ人を偉いとだれもが言ふ日々を草抜きながらわれは過ごさむ
ひとたびも子と呼ばれずに去りゆける細胞組織に花を買ひなむ
かなしみはいつくるのかと掌を開いて閉ぢて鉛筆握る
誤字一字直したるのみ A勝訴、B敗訴、C和解の予定稿
一人出て一人迎へる部署の春ロッカーの名札入れ替へるのみ
ほたろうのからだは黒く貧弱で昼は草葉に縋(すが)りて休む
山見れば君は山にもなるだらう六か月のおなか山へと向ける
へその緒にひとすぢのこる血の色もやがて遺品とならむしづけさ
みどりごは日本語ふうに泣きはじむ甘夏の花白く咲くころ
子の目より紫陽花の蕚大きくて子の目にどつと青があふれる
子とわれは季節の後をとぼとぼと歩くときどき犬にしやがんで
amazonの空き箱に入りて幼子は船出の人のごとく手を振る
1首目、豪雨の被害を報道するテレビ映像に映るヘリコプターの影。
2首目、夫婦喧嘩の後の様子。夫の歌は距離の取り方がおもしろい。
3首目、上句は西行の歌を踏まえつつ目の霞む感じを伝えて面白い。
4首目、戦争が起きても他者に同調せず自分の生き方を貫く心構え。
5首目、流産したときの歌。せめて花を買って命を送りたいと願う。
6首目、職場で仕事しながらも呆然とした気持ちで過ごす日が続く。
7首目、新聞社の校閲の仕事。判決が出る前に三通りの原稿がある。
8首目、異動する人にとっては大ごとだが淡々と日々は続いていく。
9首目「ほたろう」は蛍。夜の美しい姿と昼の姿はあまりにも違う。
10首目、何とも健康的で伸びやかな歌だ。お腹も山のようだろう。
11首目、命の誕生を表す「へその緒」から「遺品」へと続く驚き。
12首目、ただの音声だったものが言葉っぽい響きに変わったのだ。
13首目、紫陽花に近づいてじっと見つめる子の瞳。青一色の世界。
14首目、自分だけ世の中の動きから遅れていくように感じるのか。
15首目、微笑ましいだけではなくどことなく寂しさも含んでいる。
2025年11月21日、砂子屋書房、3000円。
2026年02月28日
雑詠(059)
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水量の減りし川より漂える汚泥のにおい嗅ぎつつ渡る
訪れたことなきゆえに眼裏に根室の雪の夜はかがやく
八階の本屋へ向かうおおかたは関わり持たぬ売場を抜けて
3と4の間に太い線があるオリンピックはお祭りだから
空腹という快楽を日暮れまで味わい尽くしてうなぎ屋へ行く
卓上にひかるアボカド一歩踏みこめば宴も砂漠であって
抑えても声はひかりを放つから羨ましがらなくていい誰も
*******************************
水量の減りし川より漂える汚泥のにおい嗅ぎつつ渡る
訪れたことなきゆえに眼裏に根室の雪の夜はかがやく
八階の本屋へ向かうおおかたは関わり持たぬ売場を抜けて
3と4の間に太い線があるオリンピックはお祭りだから
空腹という快楽を日暮れまで味わい尽くしてうなぎ屋へ行く
卓上にひかるアボカド一歩踏みこめば宴も砂漠であって
抑えても声はひかりを放つから羨ましがらなくていい誰も
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2026年02月27日
体調不良
東京へ出掛けたり締切に追われたり、毎日バタバタしているうちに体調が悪くなった。
週末は家でゆっくり静養しよう。
週末は家でゆっくり静養しよう。
2026年02月26日
関西人になった日
先週末、東京で用事があり、安いホテルを探して足立区の端に泊まった。最寄駅は東武スカイツリーラインの谷塚駅(埼玉県草加市)。
歌会&お喋りが終って駅まで歩きながら、「今日はどこに泊まるの?」と聞かれて「たにづか」と答えたのだけれど、誰も知らなかった。話はそれきりになったので特に気に留めなかったのだが、東武スカイツリーラインに乗って気がついた。
「谷塚」の駅名表示に「YATSUKA」とあるのだ。「たにづか」ではなく「やつか」だったのである。
そう言えば、「谷」という地名は東日本では「や」「がや」、西日本では「たに」と読むことが多いと聞いたことがある。東京の路線図を見ると、「神谷町」「日比谷」「入谷」と確かに「や」が多い。一方で大阪では「谷町四丁目」「桃谷」「滝谷」など、「たに」「だに」になる。
京都に住んで25年。自分のことを関西人だと思ったことはなかったのだけれど、気づかないうちに関西人になっていたみたいだ。
歌会&お喋りが終って駅まで歩きながら、「今日はどこに泊まるの?」と聞かれて「たにづか」と答えたのだけれど、誰も知らなかった。話はそれきりになったので特に気に留めなかったのだが、東武スカイツリーラインに乗って気がついた。
「谷塚」の駅名表示に「YATSUKA」とあるのだ。「たにづか」ではなく「やつか」だったのである。
そう言えば、「谷」という地名は東日本では「や」「がや」、西日本では「たに」と読むことが多いと聞いたことがある。東京の路線図を見ると、「神谷町」「日比谷」「入谷」と確かに「や」が多い。一方で大阪では「谷町四丁目」「桃谷」「滝谷」など、「たに」「だに」になる。
京都に住んで25年。自分のことを関西人だと思ったことはなかったのだけれど、気づかないうちに関西人になっていたみたいだ。
2026年02月25日
啄木祭
5月6日(水・祝)に開催される「啄木祭」で講演をします。
演題は「言論統制と啄木」。
啄木は1910(明治43)年に起きた大逆事件に深い関心を持ち、「所謂今度の事」などの鋭い評論を書いているが、生前に発表されることはなかった。
また、〈時代閉塞の現状を奈何(いか)にせむ秋に入りてことに斯く思ふかな〉〈地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつゝ秋風を聴く〉など政治に深く関わる歌は、歌集『一握の砂』に収められなかった。
その理由は次の日記の記述に明らかだろう。
思想上に於ては重大なる年なりき。予はこの年に於て予の性格、趣味、傾向を統一すべき一鎖鑰(松村注:錠と鍵のこと)を発見したり。社会主義問題これなり。予は特にこの問題について思考し、読書し、談話すること多かりき。たゞ為政者の抑圧非理を極め、予をしてこれを発表する能はざらしめたり。
大逆事件以降、政府による検閲や発禁処分などの言論統制が強化され、自由にものを言うことのできない時代が訪れていたのであった。
そうした問題について、今あらためて考えてみたいと思います。
2026年02月24日
第24回別邸歌会
21日(土)に早稲田奉仕園スコットホール(東京都新宿区)で第24回別邸歌会を開催した。

W・M・ヴォーリズ建築事務所の設計原案に基づいて1922(大正11)年に竣工した赤レンガの建物。東京都選定歴史的建造物。講堂では新郎新婦の衣装を着た人が写真撮影を行っていた。
参加者15名。初めての東京開催ということで初対面の方も多く、新鮮な顔ぶれのメンバーが集まった。11:00から計30首の歌について議論していく。
やはり歌会は世代やバックグラウンドの違う人が集まるところに大きな意味があると、あらためて感じた。
15:00終了。その後、時間のある人は近くのサイゼリヤでお喋り。またいつか首都圏で開催できるといいな。

W・M・ヴォーリズ建築事務所の設計原案に基づいて1922(大正11)年に竣工した赤レンガの建物。東京都選定歴史的建造物。講堂では新郎新婦の衣装を着た人が写真撮影を行っていた。
参加者15名。初めての東京開催ということで初対面の方も多く、新鮮な顔ぶれのメンバーが集まった。11:00から計30首の歌について議論していく。
やはり歌会は世代やバックグラウンドの違う人が集まるところに大きな意味があると、あらためて感じた。
15:00終了。その後、時間のある人は近くのサイゼリヤでお喋り。またいつか首都圏で開催できるといいな。
2026年02月23日
「トワイライト、新版画」
三菱一号館美術館で開催中の「トワイライト、新版画 − 小林清親から川瀬巴水まで」を見る。
「開化絵」「小林清親」「井上安治と小倉柳村」「チャールズ=ウィリアム・バートレット」「高橋松亭(弘明)」「伊東深水」「吉田博」「川瀬巴水」の8パートに分けて、スミソニアン国立アジア美術館のコレクションの約130点が展示されている。
印象に残ったものをいくつか。
・小林清親「武蔵百景 両国花火」
https://dl.ndl.go.jp/pid/2542756/1/7/
花火そのものではなく川面に映る花火を描いているのがおもしろい。
・小林清親「武蔵百景 深かわ木場」
https://dl.ndl.go.jp/pid/2542756/1/24/
絵の中央下の雪の中から見える草(?)に「小林清親」の名前が隠されている。
・チャールズ・ウィリアム・バートレット「根岸」
https://inventory.yokohama.art.museum/4583
「CWB」のサインがかわいい。バートレットの作品はどれも良い。
・吉田博「帆船」(朝・午前・午後・霧・夕・夜)
https://www.sam-museumshop.shop/shopdetail/000000000070/
同じ版木を使った6作のシリーズ。「朝」「午後」「夕」の3点が展示されていたが、「午後」では左後方の舟が見えなくなるなど、色彩だけではない変化がある。
「開化絵」「小林清親」「井上安治と小倉柳村」「チャールズ=ウィリアム・バートレット」「高橋松亭(弘明)」「伊東深水」「吉田博」「川瀬巴水」の8パートに分けて、スミソニアン国立アジア美術館のコレクションの約130点が展示されている。
印象に残ったものをいくつか。
・小林清親「武蔵百景 両国花火」
https://dl.ndl.go.jp/pid/2542756/1/7/
花火そのものではなく川面に映る花火を描いているのがおもしろい。
・小林清親「武蔵百景 深かわ木場」
https://dl.ndl.go.jp/pid/2542756/1/24/
絵の中央下の雪の中から見える草(?)に「小林清親」の名前が隠されている。
・チャールズ・ウィリアム・バートレット「根岸」
https://inventory.yokohama.art.museum/4583
「CWB」のサインがかわいい。バートレットの作品はどれも良い。
・吉田博「帆船」(朝・午前・午後・霧・夕・夜)
https://www.sam-museumshop.shop/shopdetail/000000000070/
同じ版木を使った6作のシリーズ。「朝」「午後」「夕」の3点が展示されていたが、「午後」では左後方の舟が見えなくなるなど、色彩だけではない変化がある。
2026年02月22日
2026年02月21日
2026年02月20日
穂崎円歌集『オメラスへ行く』
2017年から2024年の作品を収めた第1歌集。
三章構成の一章と三章は新かな、二章は旧かなになっている。
どの舌も長い根を持つ地上にはついに届かぬままでいる根を
数分で降りやんだ雨 忘れてた、ではなくこれは悲しかっただ
光へと指紋をひたしながら待ついつか遺跡に変わる空港
それぞれに悲鳴を上げる方法は異なっていて静かな水面
言わないと決めた言葉を思うとき膨らんでいく冬の鳩たち
うつくしい心のひとがうつくしいものをつくるといううつくしい嘘
たれもみな生きながら死ぬ背表紙の(保存開始日)〜(資料廃棄日)
追憶の・鎮魂の・死者の・人生の・定型はみな生者の仕草
議事堂はどちらですかと吾に問ふ性善説に胸を衝かれつ
轡(くつばみ)を食みつつ駅へゆく日々の真昼の月のような明るさ
1首目、舌根という語を思い出した。「舌」は言葉でもあるだろう。
2首目、少しあとになって自分の感情に気づいたのだ。意識の空白。
3首目、指紋認証をしているところ。空港は確かに遺跡っぽい感じ。
4首目、水面が静かでも心の中はどうなっているかは人それぞれだ。
5首目、自分の「腹ふくる」ではなく鳩が膨らんでいるのが面白い。
6首目、実際にはそうとは限らないところが人間の複雑なところだ。
7首目、保存期間の決められた資料を見ながら人間も同じだと思う。
8首目、死者を悼む言葉を発するのも生者の奢りなのかもしれない。
9首目、国会議事堂前のデモへと向かう人のあまりにも純粋な様子。
10首目、馬のように使役されている感覚を持ちつつ職場へ向かう。
2025年9月25日、典々堂、2000円。
2026年02月18日
三枝ミ之『百年の短歌』
明治から令和までの短歌105首を取り上げて一首につき見開き2ページで鑑賞・解説した本。
単なる一首評ではなく、作者の紹介や歌風の分析、時代背景の解説など、重層的な話題が展開する。歌人として評論家として短歌史家として長く活動してきた著者ならではの自在な筆致だ。
芥川の短歌の魅力はこうした嘱目や挨拶の歌にあると私は見ている。そこでは短歌はメインの表現ではなく、コーヒーブレイクの器だろう。だからダメなのではない。茂吉の「自然自己一元の生」とか上田三四二の「短歌一生」といった命がけの領域が持つことのできない普段着の味わいがそこにはあり、それも短歌という奥深い詩型の大切な領域である。
修辞的な工夫を凝らさないことが心に適う歌もあり、そうした正述心緒の領域も歌には大切ではないか。歌垣や盆踊りの即興歌など歌には人界の実用があり、文学という尺度だけでは間に合わない、と説いた柳田国男を思い出したい。
短歌は塚本邦雄や与謝野晶子のよなスーパーエリートだけの詩型ではない。私の父のように日記代わりの暮らしの文芸でもあり、文人が余技のように楽しむ遊びの詩型でもあり、〈私〉を超えた晴の歌の詩型でもある。その奥行きと幅広さこそ、この詩型のかけがえのなさである。
本書のなかで三枝は、短歌という詩型の多様性や豊かさを繰り返し指摘する。それは、前衛短歌の影響下に短歌を始め、やがてそれだけではない歌の魅力を知るようになっていった三枝自身の経歴が導き出したものだろう。
歌の鑑賞法から近現代短歌史まで、多くのことを知ることのできる一冊。おススメです。
2025年10月20日、新潮選書、1650円。





