2016年09月17日

見世物大博覧会

国立民族博物館で開催されている特別展「見世物大博覧会」へ。

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展示室の入口には呼び込みの声が流れ、中に入ると一画に見世物小屋が再現されている。おどろおどろしくて猥雑で好奇心をかき立てる空間。小屋の中では人間ポンプ・安田里美の公演(録画)が放映されているほか、古い新聞やチラシなどの資料が多数展示されている。

小屋の外に出ると、1階中央には見上げるほどに巨大な関羽の籠細工が立つ。

他にも、軽業、曲芸、獅子舞、一式飾り、生人形、菊人形、動物の剥製、人魚のミイラなど、ありとあらゆる見世物が紹介されている。最後は、なんと寺山修司!

どれも面白くて、長い時間かけて見入ってしまった。

こうした企画が実現するというのは画期的なことだと思う。一方でそれは、どこか怪しげでいかがわしく、それゆえに魅力的だった見世物という世界の終わりをも示している。今では見世物は廃れ、博物館の展示や郷土芸能としてのみかろうじて生き残っているということだ。

もちろん今だってアートアクアリウムもシルク・ドゥ・ソレイユもあるけれど、怪しさやいかがわしさはもうどこにもない。

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2016年08月30日

大阪へ(その3)

会場の堂島リバーフォーラムの裏手には堂島川が流れている。川と高層ビルがある景色はいかにも「水の都」という感じで、京都とは雰囲気が大きく違う。

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川沿いを歩いていると、土砂運搬船が通ったりする。

その後、3番目の目的地である葉ね文庫へ。
中崎町駅から歩いてすぐのところにある。

店の前でカルチャーの生徒さん2人とばったり出会う。
全員が葉ね文庫は初めてということで、ものすごい偶然だ。

店内には、詩、短歌、俳句、川柳の本や雑誌、同人誌などが所狭しと置かれている。座って本を読んでいる人や詩歌の話をしている人たちもいて、学生時代の部室を思い出す。

展示にも工夫があり、手作りの温かさがある書店だ。店主の池上さんに勧められるままに短冊に歌を書かせていただいた。


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2016年08月29日

大阪へ(その2)

続いて、堂島リバーフォーラムで開催されている「アートアクアリウム展」へ。「アクアリウム」(水族館)と「アート」を融合させたイベントで、今年で10周年を迎えるそうだ。

ピンポンパール、水泡眼、頂天眼、朱文金など、珍しい種類の金魚が展示されているほか、幾何学的な水槽に泳ぐ金魚がライトアップされて幻想的な光景を繰り広げている。

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照明は次々と変化して、そのたびに水槽の金魚も表情を変えていく。

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テーマは「大阪・金魚の艶」。休日の昼間ということで家族連れやカップルで大賑わいであった。会場全体が夏の祭や夜店の雰囲気である。

夕方からは会場の一隅に設けられたバーでお酒も飲めるとのことで、大人のデートにもぴったりという感じだ。人気が出るのもよくわかる。

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2016年08月28日

大阪へ(その1)

京都と大阪はJRの新快速に乗れば30分と非常に近いのだが、普段はあまり大阪に出かけることがない。映画も買物も食事も、たいていは京都で済ませてしまう。

とは言っても、大阪に行かないと見られないものもたくさんあるので、今回3つまとめて行くことにした。

まずは、大阪市立美術館で開催されている「デトロイト美術館展」へ。天王寺公園の中にある美術館で、昭和11年に建てられている。

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「大西洋を渡った名画たち」という副題で、全52点が4部屋に分かれて展示されている。「第1章 印象派」「第2章 ポスト印象派」「第3章 20世紀のドイツ絵画」「第4章 20世紀のフランス絵画」という流れになっていて、ドガ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、カンディンスキー、マティス、ピカソ、モディリアーニらの作品がならぶ。

特に印象に残ったのは、ゴッホの「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」。絵の具の塗り跡そのままに舟や川や木々を描いている。

キルヒナー「月下の冬景色」は、冬山の幻想的な光景を色彩豊かに表現していて、ちょっと恐いくらい。

ピカソの「アルルカンの頭部」は、モノクロ写真のような道化の顔に点々と青色が添えられていて、内面の翳りを滲ませている。

そして、忘れてはいけないのが、展示室の最後にあるルオーの「道化」。なんと池本一郎さんにそっくり!!

これが、今回の最大の発見でした。

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2016年08月05日

藤田嗣治展

芦屋のカルチャーセンターでの講座を終えて、午後から兵庫県立美術館へ、「藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画」を観に行く。

100点を超える展示があって、かなり充実した内容であった。

特に良かったのが「砂の上で」。
砂浜の上に寝ころぶ二人の裸婦と赤子を描いた作品。シャベルやバケツ、貝殻などもある。

大作「アッツ島玉砕」はよく見ると、ところどころ兵士の身体が透けている感じがする。幽鬼とでも言ったら良いだろうか。

同じく大作「五人の裸婦」は、黒田清輝「智・感・情」を思い浮かべた。あっちは三人だが。

「アントワープ港の眺め」は、こんな絵も描いていたのかという感じで新鮮だった。

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2016年07月26日

並河靖之七宝記念館

泉屋博古館に続いて、並河靖之(なみかわやすゆき)七宝記念館へ。
地下鉄の東山駅から岡崎の図書館や美術館へ行く途中にいつも見かける場所だが、中に入ったのは今回が初めて。

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「七宝」(しっぽう)とは、銅や陶磁器などの素地にガラス質の釉薬を塗って焼いたもの。鮮やかな色と艶、細かなデザイン、非常に手間のかかった工芸品である。

今回は夏季特別公開ということで、記念館だけでなく、明治27年にできた邸宅や、七代目小川治兵衛が手掛けた庭園も見ることができた。

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建物の下まで池が入り込んでいる。
水面に反射した光が軒下に揺らめいて、ずっと見ていても飽きない。

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2016年07月24日

泉屋博古館

京都東山の鹿ヶ谷にある泉屋博古館(せんおくはくこかん)へ。
中国の古美術を中心とした住友家のコレクションが収蔵・展示されている美術館である。

現在、「上島鳳山と近代大阪の画家たち」という特別展を開催中。

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上島鳳山の代表作「十二月美人図」は、会期の後半ということで、六月から十二月の6枚が展示されていた。「十二月 雪路」が今回見た絵の中で一番の美人。

常設展は中国の青銅器。4部屋にわたって、相当な数の青銅器が展示されている。第1室の「青銅器名品選」に展示されている「虎卣」(こゆう)は紀元前11世紀、商(殷)後期のもの。

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虎が人を食べている!のではなく、人を抱えて守っているらしい。2本の脚と尻尾で立つデザインが可愛らしく、虎というより招き猫かトトロのようでもある。

係員の方の説明によると、もともと一対のもので、もう一つはフランスにあるとのこと。調べてみると、パリのチェルヌスキ美術館に収蔵されている。
http://www.cernuschi.paris.fr/fr/collections/vase-you-en-forme-de-felin

いつか2頭の虎が出会う日が来るといいなと思う。


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なぜか顔ハメ。
顔の角度が難しかった。


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2016年07月11日

若冲展

今年は伊藤若冲(1716―1800)の生誕300年ということで、あちこちで若冲展が開かれている。

まずは、細見美術館の「伊藤若冲―京に生きた画家―」。

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「鶏図押絵貼屏風」
(6曲1双)に描かれたヒヨコがいい。
ササッと書きましたという感じ。

「糸瓜群虫図」には11匹の虫がいるというので、しばらくじっくり見る。
はっきりと確認できるのは8匹。

続いて、承天閣美術館の「伊藤若冲展」へ。

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「動植綵絵」30幅(コロタイプ印刷による複製)のほか、重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画」などの展示がある。

今回気に入ったのは、「動植綵絵」の「群魚図」に描かれた子タコ。親タコ(?)の脚にしっかりしがみついていて、何とも可愛らしい。

2つの美術館をめぐって発見したのは、「厖児戯帚図」(承天閣美術館、絹本着色)と「仔犬に箒図」(細見美術館、紙本墨画)が似ていること。前者は箒が手前で犬が奥、後者は箒が奥で犬が手前になっている。

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2016年03月31日

夷酋列像

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大阪の国立民族学博物館の特別展「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」を見に行ってきた。

「夷酋列像」は松前藩士の蠣崎波響(かきざきはきょう)が描いた12名のアイヌの肖像画。1789年に起きた「クナシリ・メナシの戦い」の鎮圧に際して松前藩に協力したアイヌの有力者を讃えるために描かれたものである。

今回はフランスのブザンソン美術考古博物館に収蔵されている原画をはじめ、日本各地に残されている数多くの模写や粉本(下書き)も展示されている。写本を系統立てて整理するように、模写がどのような流れで作成されていったかが見えてくるのが面白い。

また、絵に描かれた衣装や道具に類似した品々の展示もあり、アイヌ文化に対する理解を多角的に深めることができる。

特別展のサブタイトルは「蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界」となっており、日本人(内地人)が蝦夷地やアイヌをどのように見ていたかが、大きなテーマとなっている。それは実際の蝦夷地やアイヌとは少し違って、誤解や政治的な意図を多分に含んだものであった。

クナシリ・メナシの戦いはコシャマインの戦い、シャクシャインの戦いに続く大規模なアイヌの武装蜂起であったが、最終的に鎮圧され、参加者のうち37名が処刑される結果に終わった。

松前藩に協力したとされる「夷酋列像」の12名にも、それぞれに苦しい立場や複雑な胸の内があったに違いない。マウタラケ、チョウサマ、ツキノエ、ションコ、イコトイ、シモチ、イニンカリ、ノチクサ、ポロヤ、イコリカヤニ、ニシコマケ、チキリアシカイ。美しく力強い12枚の絵を見ながら、そんなことを思った。

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2016年03月07日

対談 「日本美術放談会」

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昨日は14時から京都教育文化センターで開催された山下裕二さん(明治学院大学教授)と山口晃さん(画家)の対談「日本美術放談会」を聞きに行った。

360席のホールがほぼ満員。事前に申込み葉書の抽選をして、当選した人だけが参加できる会であった。

二人の本はよく読んでいるのだが、実際に目にするのは初めて。

・赤瀬川原平・山下裕二著 『日本美術観光団』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/431542168.html
・山下裕二・橋本麻里著 『驚くべき日本美術』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/431102160.html
・赤瀬川原平×山下裕二著 『日本美術応援団 オトナの社会科見学』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387138776.html
・藤森照信×山口晃著 『日本建築集中講義』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387139207.html
・山口晃著 『ヘンな日本美術史』
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387138969.html
・山口晃展
 http://matsutanka.seesaa.net/article/387138965.html

今回は『日本美術全集』(小学館)全20巻の完結記念ということで、全集に収められた写真をスクリーンに映し出しながら、二人が喋るという内容であった。縄文土器から現代の村上隆や山口晃の作品まで、ユーモアをまじえて楽しい話をたっぷりと聞くことができた。

美術史家である山下さんが学問的・体系的な話をするのに対して、画家の山口さんは実作者として線の引き方や構図の取り方の話をする。そのバランスが絶妙だ。

短歌の世界でも、歌に詳しい「学者」「評論家」と実作者である「歌人」とが、こんなふうにざっくばらんに話ができる機会があれば良いのだけれど。

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2015年12月31日

箱根へ

2泊3日で母や兄たちと箱根へ。

小涌谷にある岡田美術館で「箱根で琳派 大公開」展を開催中。
常設展示もかなり充実している。

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入口にある福井江太郎の「風・刻」。
風神雷神図屏風を元にした縦12メートル×横30メートルの大壁画である。

館内は写真撮影禁止。
入場する際に空港の保安検査のようにセキュリティゲートを通り、手荷物検査を受ける。

速水御舟の「紅葉」「木蓮(春園麗華)」が特に良かった。
「紅葉」は幹のうねり具合と葉の鮮やかな赤色、さらに啄木鳥の姿に生命力とエロスがあり、「木蓮」には死相を思わせるような不気味なまでの妖艶さがある。

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近くにある「千条(ちすじ)の滝」。
大正時代からの観光スポットらしい。

古い写真と見比べてみると、昔はもっと高さがあったようだ。
上部が崩落したらしく、岩肌がえぐれていた。

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2015年11月03日

京都府立堂本印象美術館

秋晴れの気持ち良い一日。

今年は「琳派400年記念」ということで、京都各地の美術館で関連する展覧会が行われている。その一つ、堂本印象美術館で開催されている特別企画展「京都画壇にみる琳派のエッセンス―ユーモアとウィット」を見に行く。

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まずは、堂本自らデザインした建物の外観や内装に注目する。斬新で美しい。

展示作品の中では、西芳寺(苔寺)の襖絵である「遍界芳彩」が、とにかくすごかった。こんな斬新な襖絵があるなんて!

企画展は今月29日まで。

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2014年11月26日

石橋美術館

もう15年も前のことになるが、久留米に旅行したことがある。特に目的があったわけではなく、何となく観光で訪れたのだ。その時に市の名所でもある石橋美術館にも行った。

館内に入って驚いたのは、青木繁の「海の幸」や「わだつみのいろこの宮」など、教科書に載っている名画が展示されていたことである。青木が久留米の出身であることはその時に初めて知った。

今朝の朝日新聞の文化欄に「福岡・久留米の石橋美術館 作品を東京に移管」という記事が載っている。石橋美術館の千点近い収蔵品の全てを2016年に東京のブリジストン美術館へ移すとのこと。

これまで久留米市から運営を受託してきた石橋財団が、年間約1億7000万円の赤字負担もあって、運営から手を引くことになったらしい。美術館が久留米市で「空気のような存在になっている」とのコメントもあり、宣伝や集客がうまく行っていないのだろう。

やむを得ないこととは言え、残念である。こうしてますます東京一極集中が進んで行ってしまうのだ。

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2014年08月29日

海洋堂フィギュアワールド

美術館「えき」KYOTOで開催されている「海洋堂50周年記念 海洋堂フィギュアワールド」を見に行く。

1964年にわずか一坪半の模型店としてスタートした海洋堂の歴史と今をたどる展覧会。会場は「海洋堂50周年の軌跡」「ガレージキットの創世記」「おまけフィギュアミュージアム」「精緻なるヴィネット・フィギュアの世界」「ミュージアムフィギュアの世界」「全身可動・リボルテックフィギュアの世界」「海洋堂造形作家列伝」という構成になっている。

ワールドタンクミュージアム、栞子さんのヴィネット、東京国立博物館公式フィギュア「風神」「雷神」、リボルテックスネークなど、思わず見惚れてしまうものばかりであった。

8月31日まで。


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2013年05月05日

演劇「銀河鉄道の夜 ロボット版」

先月オープンしたばかりの、グランフロント大阪。
駅から続く通路には拡声器を持った警備員の人が何人も立っていて、大勢の人でごった返している。

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今日は北館にあるナレッジシアターのこけら落とし公演「銀河鉄道の夜 ロボット版」を観る。
原作:宮沢賢治、作・演出:平田オリザ、ロボット・アンドロイド開発者:石黒浩。

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チケットの購入が早かったためか、最前列の席である。
昨年見た普通版の「銀河鉄道の夜」と内容やシナリオはほぼ同じだが、ロボビーという可愛らしいロボットがカムパネルラ役を演じている。

普通版とロボット版と、見た印象はどう違うか。

結論から言えば、ほとんど違いはない。人間が演じていてもロボットが演じていても、受ける印象に大きな差はない。笑える場面では同じように笑えるし、感動する場面では同じように感動する。

もともと私たちは、相手の行為や仕種などから、その人の感情や気持ちを推測して生活している。だから、その相手がロボットであっても、同じように感情を読み取ることが可能なのだ。

普通版とロボット版から同じ印象を受けるというのは、ある意味でスゴイことなのかもしれない。今回はロボットが1体で他は人間だったのだが、もし他の役もみなロボットだったらどうなるのだろう、などと想像が膨らんでいく。

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2012年11月30日

山口晃展

美術館「えき」KYOTOで開かれている「山口晃展〜山口晃と申します 老若男女ご覧あれ〜」を見に行く。山口晃の作品を見るのは、以前、上野の森美術館で会田誠と二人の展覧会を見て以来。

会場に入ってすぐ、「門前みち/軍艦」という2枚のスケッチがある。これは、全く別の対象を同じ構図で描いたもの。この2枚を見ただけで、山口晃の世界に引き付けられてしまう。

ちらしにも使われていた「邸内見立 洛中洛外圖」では、京都の町を一軒の邸に見立てて描いている。「御所」は「碁所」になってみんなが碁を打ってるし、「京大」は「鏡台」に、「金閣寺」は「きんかくし」(=トイレ)になっているという具合。

一枚の絵に時代を超えた様々なものが入り乱れ、それでいてなぜか落ち着いている。そんな不思議な世界をたっぷりと味わうことができる。

今回は新聞小説の挿絵の展示もあり、それが毎回違った手法で描かれていることにも驚かされた。一回一回、全く別の描き方なのである。そうした確かな技術の裏打ちがあって初めて、新鮮な発想も生きてくるのだろう。

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2012年11月24日

青年団第68回公演「銀河鉄道の夜」

原作:宮沢賢治、作・演出:平田オリザ。
出演:鄭亜美、木引優子、小林亮子、たむらみずほ、渡辺香奈。

茨木市市民会館ユーアイホールでの上演。ホールは約1000席という大きさであるが、その客席はまったく使わず、舞台上に仮設された客席で観劇する。20席×5段=100名という規模。最前列に座ったので役者さんとの距離は1メートルもない。

この「銀河鉄道の夜」は、もとは2010年にフランスの児童向けに上演した作品を、今回日本語版に書き換えたもの。2011年3月の東日本大震災を経て、この物語の持つ意味はさらに大きなものとなったように感じた。

カムパネルラの着ている服(水色のシャツに黒のベスト)が、最後にスクリーンの映像に溶け込むように消えていくシーンが、美しくまた悲しく、印象的だった。

上演後は平田オリザさんのアフタートークもあり、観客との間で活発な質疑応答が行われた。

上演時間:約60分。

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2012年04月11日

青年団公演「隣にいても一人 関西編」

作・演出:平田オリザ。こまばアゴラ劇場にて。

目が覚めたら夫婦になっていた2人と離婚寸前の2人、しかも男同士女同士はきょうだいという二組の夫婦をめぐる物語。たった4人の登場人物であるにも関わらず、舞台に4人が揃っている時、3人の時、2人の時、1人の時、0人の時と、人間の関係性が様々に変化していく。

今回見たのは登場人物が関西弁を喋る「関西編」だが、他にも「帯広編」「盛岡編」「三重編」「広島編」「青森編」「熊本編」「英語版」の計8バージョンがあるとのこと。同じ作品を別の方言で聞くとどう違うのか、そんな楽しみ方もできるわけだ。

題名は尾崎放哉の「咳をしても一人」のパロディだろう。内容的には喜劇なのだが、夫婦のあり方についてしみじみと考えさせられる作品であった。
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2012年02月17日

アンドロイド演劇「さようならVer.2」

平田オリザ+石黒浩研究室による作品。

「ロボティクス演劇祭」の演目として、大阪大学豊中キャンパスにて上演された。無料。今回の上演は、従来のもの(約15分)に、東日本大震災を受けて約10分の後半部分を追加したバージョンで、約25分。

人間にできること、アンドロイドにできること。
人間にできないこと、アンドロイドにできないこと。
人間とは何か、アンドロイドとは何か。

いろいろと考えさせられた。

劇中でアンドロイドが詩や短歌をたくさん朗読するのだが、それらがすべて「行く」や「旅」をキーワードにしたものだったことに、後から気が付いた。

上演終了後に、平田オリザ・石黒浩・浅田稔によるアフタートークもあり、これがまた笑いを交えつつの実に刺激的な内容だった。今後のロボット演劇の展開がますます楽しみである。

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2011年06月20日

青年団第62回公演「革命日記」

作・演出、平田オリザ。JR伊丹駅前のAI・HALL(伊丹市立演劇ホール)にて。

場面は住宅地のマンションにある組織のアジト。空港と大使館の同時占拠を目論むメンバーたちが打合せをしているところへ、お隣さんをはじめ次々とお客さんがやって来て、打合せは一向に進まない。そのうち、雲行も怪しくなってきて・・・というお話。

なぜ今ごろになって「革命」の話を書いたのかと思ったのだが、これを「組織と個人」の話として見れば、さまざまな場面に当て嵌まることがよくわかる。短歌結社だって同じことだろう。

登場人物が入れ替わり立ち替わりして、舞台上の人数も2人になったり5人になったり8人になったりするのだが、その都度、敬語などを含めた話し方が変っていくのが面白い。話し言葉というのが相手や場との関係性の中で決まるものだということがよくわかる。また反対に、どういう話し言葉を使うかによって、登場人物同士の関係や組織における立場なども見えてくる仕掛けになっている。

一番印象に残ったのは、後ろ向きに座った女優さんが正面の相手と議論をしているシーン。議論が激しくなるにつれて、この女優さんのうなじから肩にかけての肌が、見る見る赤く染まっていくのである。客席から顔の表情は見えないのだが、そのためにより一層、感情の高ぶりが伝わってくるのであった。

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