2019年09月14日

「岡大短歌」7号

八首連作×10名、一首評×5篇、二十首連作×3名、三十首連作×1名、往復書簡(15首×2名)×2篇という内容。全62ページ。ゲストは魚谷真梨子、魚村晋太郎。

 山笑う、とさいしょに喩えた人がいてその生涯で出遭うほほえみ
                        加瀬はる

「山笑う」は芽吹き始めた山の様子を表す春の季語。「笑う」という言葉で大胆に捉えることで、同じ山の姿がそれまでとは違ったものに見えてくる。

 あなたは海を例えない 言葉ではなくきらめきで理解する人
                        大壺こみち

海の魅力を言葉で説明したり何かに喩えたりするのではなく、そのまま感受するということだろう。言葉にすることで失われてしまうものがある。

 助手席にゆきのねむたさ こんなにもとおくの町で白菜を買う
                        長谷川麟

助手席に乗っていると雪が融けるように眠くなるという感じか。「ゆき」と「白菜」の白さの重なり。ひらがなの多用が間延びしたような気分を伝える。

 地図に載らない小さな並木のようだった愛した時間はひどくみじ
 かい                    加瀬はる

恋人と付き合っていた時期を振り返っての感慨だろう。「小さな並木」という比喩がよく、季節の移り変わりや二人の気持ちの変化が感じられる。

 隣人の水音がしてなんとなく今はシャワーはやめにしておく
                        水瀬惠子

アパートの隣りの部屋から水を使う音が聞こえる。何の問題もないのだが、人の気配が感じられる気がして、シャワーを使うのをためらってしまう。

2019年7月15日、400円。

posted by 松村正直 at 21:25| Comment(0) | 短歌誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。