2019年08月04日

近藤寿美子歌集 『桜蘂』

短歌研究社
発売日 : 2019-07-26

昨年の現代短歌社賞佳作となった300首が元になった歌集。
選考委員を務めた関係で栞を書かせていただいた。

 傷多きイルカの背中見し日より近づくといふことをためらふ
 人の手がかたちをなせば人の手の恋ほしくあらむ夜の陶器撫づ
 蝶がゆきたまゆらののち影がゆく夏の時間に誤差は生まれて
 秋のみづに替へむと硝子器はこびをり水と金魚がずれて揺れゐる
 とんぼ追ふ少年に曳く影はなく網をもつ手に見覚えがある

日常の中の違和感を掬い取ることに巧みな作者で、独自の発想や感覚が冴えている。長年抱え続けてきた重いテーマも詠まれており、読み応えのある一冊だ。

2019年7月26日、短歌研究社、2000円。

posted by 松村正直 at 14:37| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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