2018年01月15日

長浜功著 『石川啄木という生き方』



副題は「二十六歳と二ヶ月の生涯」。

1886(明治19)年2月に生まれ、1912(明治45)年4月に亡くなった啄木の一生はわずか26年2か月であったことに、あらためて驚かされる。

教育学者である著者は、近年、石川啄木に関する著書を相次いで刊行している。本書はその最初の一冊で、啄木の誕生から死までを数多くの資料に基づいてたどっている。

しばしば、啄木の人生を薄倖とか窮乏の連続として憐憫の情で覆ってしまう傾向が後を絶たないが、二十六歳の生涯のうち二十年は経済的には何一つ不自由せず豊かな生活を送っていたという事実を忘れてはなるまい。

こうした指摘は大事なことだろう。
また、朝日新聞社の校正係が月給三十円であったことについても、

例えば当時の小学校教員と巡査の初任給が十二円、大卒の銀行員が二十円、都内の3LDK長屋家賃が三円だから三十円あれば家賃を払って家族五人はなんとか養ってゆける時代であった。

と、具体的な数字を挙げて記している。

全体としては、資料に基づく事実と著者の想像・推量とが混じる部分のあるところが気になった。もちろん、資料のない部分は想像で補うしかないわけだが、その区別はもっと厳密にしてほしいと思う。

2009年10月15日、社会評論社、2700円。
posted by 松村正直 at 07:38| Comment(0) | 石川啄木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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