2017年08月27日

「短歌人」2017年9月号


編集室雁信(編集後記)に小池光さんが、こんなことを書いている。

●歌集が次々に出て慶賀に耐えないが歌集というものは売るものでも売れるものでもなく差し上げるものである。少し分厚い名刺である。名刺だから差し上げて、それでなんの余得も欲してはならない。差し上げた未知の人から返事がきたりして嬉しいものだ。それで十分と思わねばならぬ。

随分と思い切った書き方をしているが、読んでいて気持ちがいい。最近の小池さんらしいとも思う。十年くらい前まではみんなこういう感じで歌集を出していたわけで、「歌集は名刺代わり」という言葉もよく聞いた。

近年、歌集を売ろうとする試みや努力が出版社や歌人の間にも広がりつつある。それはそれで大事なことだと思う。お金の問題はやはり馬鹿にできないのであって、歌集が売れて作者の経済的な負担が少なくなれば随分と歌集出版の風景も違ってくるだろう。

その一方で、歌集が売れないことを別に悲観する必要もない。売れる・売れないというのは、短歌にとって本質ではないからだ。最終的には、自分の納得のいく歌ができるかどうかという問題であろう。

もちろん、売れるに越したことはなくて、僕自身、本を出すたびにベストセラーになることを思い描く。でも、小池さんの書いている「それで十分」という心構えも忘れずにいたいと思う。

posted by 松村正直 at 16:15| Comment(3) | 短歌誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近、歌集を出される人が多いですね。もうすこしのものは考えものです。出したらいいというものではありません。失礼しました。
Posted by 安愚 at 2017年08月28日 20:34
歌集がたくさん出版されるのは、短歌に興味のある人間にはありがたいものです。どんなジャンルでも分母が増えるのは有り難いこと。その中で自分が読みたいものを見つける楽しさ、見つけたら嬉しさ。資金を調達し刊行される方、どなたにもありがとうです。
Posted by 豚肉を揚げる音 at 2017年08月29日 04:17
歌集がたくさん出版されること自体は良いことだと思います。(でも、実際の出版点数は年々減ってきているそうです)小池さんの書いているのは歌集を出す際の心構えのようなことですね。

Posted by 松村正直 at 2017年08月29日 07:26
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