2017年07月23日

「短歌往来」2017年8月号(その2)


特集「30代歌人の現在」より。

 ねぢれたるコースロープをほどきゆく会はなくなつたひとがゐさうで
                      楠 誓英

上句はプールでよく見かける行為だが、下句へのつながりが不思議でおもしろい。「ねぢれたる」と「会はなくなつた」が微妙に響き合う。

 白鶴は雪の味せり 立ち飲みに夜がゆっくり降りてくるころ
                      大平千賀

上句の「白鶴」「雪」という白いイメージと下句の夜の暗さが、互いを引き立て合う。「降りてくる」という動詞の選びがいい。「更けてくる」ではダメ。

 切る前のすいくわのやうな匂ひだなあ家族になつて九年目の夏
                      澤村斉美

家族にも歴史がある。今は「切る前のすいくわ」のように、瑞々しくて青臭い匂いがしているのだろう。まだ、切った後の西瓜ではないのだ。

 知覧茶のしづくとなりてわがのどに少年兵のからだかぐはし
                      柳澤美晴

知覧はかつて特攻隊の基地があった町。茶の産地としても知られている。「しづく」「のど」「からだ」「かぐはし」の平仮名が効果的。何ともすごい歌だ。

posted by 松村正直 at 00:20| Comment(2) | 短歌誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「どんな脚色も許されるけど」を近頃は何回も読み返してます。
ここは外してホッチキスでとめてフォルダーにいれてますが、読めば読むほど自分の整理にもなります。この号、買いそこねなくってよかったです。
こちらも鬼暑い日々です。ご自愛ください。(猫、かわいい!)
Posted by 豚肉を揚げる音 at 2017年07月23日 13:57
京都も暑い日が続いております。
どうぞ体調にお気をつけて、お互いに良い歌を詠んでいきましょう。
Posted by 松村正直 at 2017年07月23日 22:15
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