2015年11月18日

別冊正論25号「「樺太―カラフト」を知る」


樺太に関する特集号。全306ページ。

・竹野学「移民政策めぐる官と民とのすれ違い」
・三木理史「「棄景」の語る樺太産業と鉄道の関係誌」
・杉本侃「サハリンプロジェクトのルーツは戦前」
・渡辺裕「北太平洋沿岸諸民族の歴史」

など、興味深い内容の文章が多数収められている。

ムック全体としては「ニッポン領土問題の原点!!」という政治的な姿勢が濃厚で、そこは私と立場が異なる。けれども、これだけ本格的な樺太の特集が組まれるということ自体は、実に喜ばしいことだと思う。

竹野学「移民政策めぐる官と民とのすれ違い」は、樺太を支える新産業として期待された甜菜製糖が挫折した経緯について触れている。

一九三六年から操業を開始した樺太製糖は、年々の産糖高が当初の計画から乖離し続けた結果、連年赤字を計上していた。それは原料である甜菜の作付および収穫量の少なさが原因であった。

このあたり、皆藤きみ子歌集『仏桑華』の中で

農作に恵まれぬ嶋の農民が希望をかけしビート耕作
国はての凍土曠野にかにかくに大き創業は成しとげられつ
  (官民合同の樺太製糖)
  ビートは隔年作なれば農家は耕作を心よしとせず、
  ビート不足のため製糖は三カ月にて完了せんとす
事業家と農民のこころ相容れぬけはしき事も利にかかはりぬ
一年に三月の操業やうやくにビート完収をつげてきにけり

と詠まれていることに見事に対応している。

2015年11月13日、産経新聞社、1000円。

posted by 松村正直 at 20:43| Comment(0) | 樺太 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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