2017年05月07日

復本一郎著 『正岡子規 人生のことば』


今年は子規の生誕150年。様々な特集やイベントが行われている。

本書は子規の残した手紙や随筆から80の文章を引いて、子規の人生や魅力を論じたもの。全体が「泣」「希」「友」「笑」「識」「独」「親」「進」の8章に分れていて、章の冒頭にはそれぞれのテーマに即した俳句6句が挙げられている。

どの文章からも、子規の率直で力強い息遣いが伝わってくる。やはり魅力のある人だとあらためて思う。特に弟子たちに向けての厳しく真摯な言葉には驚かされる。

四、五冊の俳諧文庫さへ備へ置かず、七部集の捜索までも人の文庫をあてにするやうな人が、書物の評釈を書くなど余り大胆な事と存候。(「消息」にある碧梧桐への批判)
依頼心をやめて独立心を御起し被可成(なさるべく)候。金が足らぬといひては人に金を借るやうにては、迚(とて)もいつ迄も金ハ足るまじく候。(香取秀真宛書簡)
貴兄はたやすく決心する人で、なかなか実行せぬ人ぢや。これは第一、書生的の不規則な習慣が抜けぬためであらう。(高浜虚子宛書簡)

いずれも厳しい言い方であるが、それだけ期待もかけていたということなのだろう。子規の歯に衣着せぬ物言いには嫌味がない。

2017年4月20日、岩波新書、820円。

posted by 松村正直 at 10:56| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする