2021年01月01日

歌集・歌書一覧

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 最新の記事は3つ下をご覧ください。

私がこれまでに出した歌集・歌書は以下の9冊です。

【歌集】
・『駅へ』(2001年、ながらみ書房)
・『やさしい鮫』(2006年、ながらみ書房)*在庫あり
・『午前3時を過ぎて』(2014年、六花書林)
・『風のおとうと』(2017年、六花書林)*在庫あり
・『紫のひと』(2019年、短歌研究社)*在庫あり

【歌書】
・『短歌は記憶する』(2010年、六花書林)*在庫あり
・『高安国世の手紙』(2013年、六花書林)
・『樺太を訪れた歌人たち』(2016年、ながらみ書房)*在庫あり
・『戦争の歌』(2018年、笠間書院)

「在庫あり」のものは、送料無料・振込用紙同封でお送りします。
masanao-m☆m7.dion.ne.jp(☆を@に変えて下さい)


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カルチャーセンター一覧

大阪、芦屋、京都でカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。
まったく初めての方も大歓迎です。

◎毎日文化センター梅田教室 06‐6346‐8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日*奇数月を松村が担当しています。
   A組 10:30〜12:30
   B組 13:00〜15:00

◎朝日カルチャーセンター芦屋教室 0797‐38‐2666
 「はじめてよむ短歌」 毎月第1金曜日 10:30〜12:30

◎朝日カルチャーセンター芦屋教室 0797‐38‐2666
 「短歌実作(A)」 毎月第3金曜日 10:30〜12:30
 「短歌実作(B)」 毎月第3金曜日 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーイオンタウン豊中緑丘 06‐4865‐3530
 「はじめての短歌」 毎月第3月曜日 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075‐254‐2835
 「はじめての短歌」 毎月第3水曜日 10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075‐623‐5371
 「はじめての短歌」 毎月第1火曜日 10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075‐573‐5911
 「短歌教室」 毎月第2月曜日 13:00〜15:00


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2020年12月31日

2020年の活動記録

作品
 ・「ふたご」8首(「歌壇」1月号)
 ・「アップルパイ」3首(「うた新聞」2月号)

連載
 ・啄木ごっこ(第15回)日露戦争とナショナリズム
                   (「角川短歌」1月号)
 ・啄木ごっこ(第16回)二回目の上京と詩集『あこがれ』
                   (「角川短歌」2月号)
 ・啄木ごっこ(第17回)『あこがれ』の評価、評判
                   (「角川短歌」3月号)
 ・啄木ごっこ(第18回)一禎罷免のこと
                   (「角川短歌」4月号)
 ・干支のうた「嫌われ者で人気者」(「NHK短歌」4月号)

時評
 ・日韓関係を考える(「朝日新聞」2月16日朝刊)
 ・資料を残す大切さ(「朝日新聞」3月22日朝刊)

その他
 ・2020年度選者紹介(「NHK短歌」4月号)


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2020年03月29日

「塔」2020年3月号(その2)

手袋をはめた朝から冬だから落ち葉の道を立ちこぎでゆく
                 森 雪子

冬だから手袋をはめるのではなく、手袋をはめたから冬なのだという把握が面白い。寒さに縮こまらずに、自分を奮い立たそうとする。

全身に父の血母の血鳴り響くわたしはとてもいびつな楽器
                 田村穂隆

両親の血が自分の身体に流れていると思うと、好悪の入り混ざった感情が湧くのだ。そんな自分を「いびつな楽器」と表現したのがいい。

つぎつぎと二百の画面は暗みゆき二台の「社員さん」が灯りぬ
                 栗山れら

200台のパソコンの並ぶ職場に、正社員はたったの二人しかいない。定時にパートや派遣の人が仕事を終えた後も、その二人だけは残る。

スコープに見ゆる胃の荒れはわたくしのストレスにあらず
ハイターの跡         故 柴田匡志

病院で胃カメラの検査を受けている場面だろう。胃の内部に漂白剤の跡が残っている。自殺を企図して漂白剤を飲んだことがあったのか。

茗荷には茗荷にしかない色がある細く刻みて豆腐に載せる
                 丸山順司

ピンクと緑と黄色の混ざり合った独特な色合いをしていて、確かに茗荷色とでも呼ぶしかない。白い豆腐の上に色が映えて美味しそうだ。

どれよりも高く担がれヨコスカを米兵神輿がねりあるきゆく
                 北島邦夫

「よこすかみこしパレード」に米軍基地の兵士たちも参加している。アメリカ兵は背が高いので、数多くある神輿の中でも一番高くなる。

五十年前に出会いし三つ編みの少女が今はわれに指図す
                 坂下俊郎

「少女」=現在の妻ということだろう。ユーモアのある歌。あれこれ妻に指図されながら、三つ編みの少女だった頃を思い出している。

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2020年03月28日

「塔」2020年3月号(その1)

ありがたうすみませんなどもう言はず一日黙つてゐたい病室
                 岩野伸子

入院中は看護師や見舞いの人に手伝ってもらうことが多く、そのたびにお礼を言っていると疲れてしまう。そっとしておいて欲しい気分。

いつまでも空き缶つぶす音がする妻を亡くしし人の庭より
                 竹下文子

独り暮らしになった男性が黙々と空き缶を潰している。その行為に没頭することで、心の空虚感をかろうじて埋めているのかもしれない。

男殺油地獄がもしあればあぶらはもっともっとひつよう
                 大森静佳

「女殺油地獄」では与兵衛がお吉を殺す場面で油壺が倒れて油まみれになる。この歌では逆に女が男を殺す場面をイメージしているのだ。

四つに組む力士のように舞茸の天麩羅ふたつ皿の上にあり
                 天野和子

初二句の比喩が面白い。てのひらのような形をした舞茸の天麩羅が二つ、立てたように皿に盛り付けられている。色も人間の肌っぽい。

干し首のごとき玉葱が吊られをりコーラあかるきヴェンダー
の陰               篠野 京

初句からぎょっとするような比喩が使われている。コカコーラの赤い自動販売機とその陰に吊られた玉葱の薄暗さの対比も印象に残る。

手の内の小さき画面に雨雲の無きを確かめスーパーへ行く
                 畑久美子

スマートフォンで天気予報の雨雲レーダーを見て、今のうちにと近所へ買い物に出たのだろう。何とも便利な時代になったものである。

子供なら跳んで渡つて遊ぶだらう礎石が並ぶ国分尼寺跡
                 岡田ゆり

点々と並ぶ礎石を見ながら、石から石へぴょんぴょん跳んでみたくなったのだ。でも、大人になるとなかなかそういうことはできない。

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2020年03月27日

NHKスペシャル取材班『樺太地上戦』


副題は「終戦後7日間の悲劇」。
2017年8月14日のNHKスペシャルで放送された内容を書籍化したもの。

1945年8月9日のソ連の参戦に始まり、8月22日の停戦に至るまでに多くの死者を出した樺太の地上戦。生存者の証言や旧ソ連側の資料をもとに、その実態を描き出している。

日本国内での地上戦は沖縄戦(1945年3月26日〜6月23日)が唯一のものだったと信じている人は今も少なくない。樺太地上戦は日本人の記憶から失われたというよりは、認識すらされてこなかった歴史だった。
沖縄戦を当時、国はどう見ていたのか。内閣情報局が毎週発行していた「週報」から窺い知ることができる。1945(昭和20)年7月11日号で、沖縄戦について大本営報道部は、「3か月の貴重な時を稼いだ」とし、「作戦的勝利」と称賛している。
樺太(サハリン)の戦場で犠牲になった5000人とも6000人ともいわれる人々。その多くは民間人であったが、民間人と特定できる遺骨はいまだに1柱も日本に戻っていない。

8月15日の終戦後も「自衛戦闘」を継続するようにとの命令のもとに樺太では交戦が続いた。それはソ連軍の北海道占領を防ぐためだったとの見方もある。捨て石とされた人々の無念はいかばかりか。

2019年10月25日、KADOKAWA、1600円。

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2020年03月26日

【延期】シリーズNORAサロン

4月8日(水)に予定していたシリーズNORAサロン「家族・社会・場所・歴史・表現」(松村正治×松村正直)は延期になりました。新しい日程が決まりましたら、またお知らせします。

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藤原龍一郎歌集『202X』

photo-fujiwara.jpg

10年ぶりに刊行された第11歌集。
現在の日本の政治状況・社会状況を憂える内容の歌が多い。

東京愛国五輪「日本ガマタ勝ッタ!」この永遠の戒厳令下
過労死の心霊もいるスポットと呪縛うれしき新国立競技場
駅前にアイドルならび声そろえ「千人針にご協力くださーい!!!」
新国立競技場のトラック喘ぎつつ夜ごと円谷幸吉走る
タブロイド版の見出しの大文字の「国民精神総動員(ONE TEAM)」 珈琲苦し
向日葵の数限りなく立ち枯れて向日葵畑そのジェノサイド
新国立競技場には屋根ありて雨に濡れざる学徒出陣

2首目、競技場建設に関わって亡くなった作業員たち。
3首目、もし戦争が始まればアイドルも戦争協力に駆り出される。
5首目、最近流行りの「ワンチーム」に戦前の「国民精神総動員」運動を重ねている。
7首目、昭和18年の出陣学徒壮行会は雨の神宮外苑で行われた。

東京オリンピックの延期が決まった今読むと、何か時代を予言したような印象も受ける一冊だ。

2020年3月11日、六花書林、2500円。

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2020年03月25日

増補版というもの

西村佳哲『増補新版 いま、地方で生きるということ』は2011年刊行の本に2019年のインタビューが増補されている。8年の間に状況が変ったり、当初の思い通りに行かなくなったりした話も載っている。

彼はその後、キャベツ中心の大規模農家になりました。今はそのビジネスの成就に心血を注いでいるようです。当時は一緒に新しい試みを模索していましたが、今ではまったく交わることが無くなってしまいました。(柴田道文)
西村さんのインタビューの後にこの土地から離れていった人も沢山いましたし、私が『のんびり』に必死すぎたせいで、秋田に居ながらにして距離が生じてしまった人も多く、半ば強制的に自分の足で立たなければならなくなった。(矢吹史子)
氷見には2013年以来通えていないけど、子どもが生まれた子もいて、元気にしているという便りをもらっている。自費出版の写真集をみんなに届けに行ったのが最後です。(酒井咲帆)

こういう後日譚にこそ、生々しい現実が滲んでいるように感じる。それを読めるのが、この増補版の一番の良さかもしれない。

posted by 松村正直 at 21:13| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月23日

第22回「あなたを想う恋の歌」入賞作品

第22回「あなたを想う恋の歌」の入賞作品が発表されています。
https://www.manyounosato.com/sakuhin/sakuhin22

新型コロナウイルスの影響で授賞式が中止になってしまったのは残念ですが、今回も素敵な作品が多く集まり、熱のこもった選考が行われました。

最優秀賞
君が好きなロングヘアを切る日にはうるさいくらいセミが
鳴いてた         大塚 響花 (福井県)

優秀賞
閉ぢていく景色の中で君だけがいつもしづかな月光だつた
             島田 佳可 (熊本県)
ワイシャツの袖をまくりて草を刈るあなたを塩のように愛した
             長谷川 美智子 (愛知県)
君はもうこの角部屋には来ないから首を振らない扇風機一つ
             宮本 大乃心 (京都府)

入賞された皆さん、おめでとうございます。

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2020年03月22日

渡部陽一『戦場カメラマンの仕事術』


テレビでも人気の著者が、戦場カメラマンになった経緯や取材の方法を記した本。第二部には4名のジャーナリストとの対談が載っている。

印象に残るのは下積み時代の話。アルバイトでお金を貯めては戦場に行くという日々だったようだ。

僕はひとりぼっちのフリーランスで、バナナの積み込み作業をして戦場に行き、編集部に写真を届け、1枚も使ってもらえずに、また積み込みをしてお金が貯まると戦場に行くという繰り返しでした。

他にも著者の考え方や大事にしていることが、いろいろと明らかにされている。

悩んだときにはゴー。悩んだそこには答えがある、と思うんですね。
21世紀はインターネットが発達して、取材の仕方、発表媒体、掲載のスピードなど様々な条件が変わってきています。しかし、基本のアプローチはアナログだと思います。
移動の段取りを自分で組み、手探りで進むことで、町の名前や思い出、移動手段のバス会社の名前などのひとつひとつがインプットされる。これもまた大切な取材の一環ですね。


2016年3月20日、光文社新書、880円。

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2020年03月21日

読売新聞「四季」

今朝の読売新聞の長谷川櫂さんの詩歌コラム「四季」に歌を引いていただきました。

P1070656.JPG

こんなにも花咲くことのくるしくて苦しきゆえに咲くのか花は

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2020年03月19日

【中止】広島県歌人協会短歌大会

4月5日(日)に行われる予定だった「広島県歌人協会短歌大会」は中止となりました。残念ですが、またの機会に。

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2020年03月18日

西村佳哲『増補新版 いま、地方で生きるということ』


2011年8月にミシマ社より刊行された本に増補加筆して文庫化したもの。東日本大震災後の2011年5月に東北と九州を訪れ、11人にインタビューしながら考えた内容に、8年後のインタビューが追加されている。

ふだん自然学校などを運営している方々が震災後の被災地に入って経験を生かしたボランティア活動をされていたことを、この本で初めて知った。「自然学校」と「震災」は全く関係ないように見えるのだが、ライフラインのない場所でどう生きるかという意味でとても近いものがあったのだ。

商売にせよ遊びにせよ、何事においても基本やっぱり“一人でできる”ということですよね。「自立」というか個々のパワーアップがないと、最終的に単なる村社会のようになってしまう。(柴田道文)
山菜やきのこの採り方だったり、いろんなことを知っていて。「なにもなくても生きていけるぜ」っていう、生きる力っていうのかな。それをすごく持っている人がたくさんいて。(柏ア未来)
欧米では公(public)・共(Common)・私(Private)の三つは別々の概念として捉えられている。(・・・)ところが日本では「公共」という言葉で、このうちの二つが一緒くたになっている。(徳吉英一郎)
中央/地方と分けてとらえること自体に違和感がある。僕の中でそれらの領域の境目が薄れてきている感じがあるんです。(田北雅裕)
フィジカルをケアしておけばいいと言ったのは、物事に反応する自分自身が変わっていくから。たとえば健康になると気分がいいから、またジョギングやろうかなって気になったり。(豊嶋秀樹)

生きる上でのいろいろなヒントが詰まった本。
でも、最後は誰だって自分で考えて決めなくてはならない。

2019年12月10日、ちくま文庫、860円。

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2020年03月17日

坂田美奈子『先住民アイヌはどんな歴史を歩んできたか』


歴史総合パートナーズ5。
このシリーズはコンパクトで奥が深くおススメ!

アイヌの歴史や先住民の問題については基本的な部分で知らないことが多かったので、非常にためになる内容であった。

先住民問題とは石器時代に遡る話ではなく、多くの場合、近代史の産物なのです。
現在に伝わるアイヌの伝統文化が花開いたのは、実は和人との経済関係でいえば場所請負制の全盛期にあたる18世紀後半から19世紀にかけての時期であるともいわれています。
アイヌの近代においては、政府が強要する「同化政策」とアイヌ自身による自発的な「文化変容」を分けて考える必要があるのです。
実際には和人のアイヌへの同化という現象も見られたにもかかわらず、アイヌと和人の通婚によって、アイヌのほうが一方的に和人へ同化し、アイヌという固有の民族は消滅する、と考えられていた(…)

本書の優れている点は、アイヌを差別され虐げられてきただけの民族といった捉え方はしていないところだろう。差別や抑圧の問題点を指摘するとともに、アイヌの主体的な動きもきちんと描き出している。

これは非常に微妙な部分なのだが、著者はアイヌを差別や庇護の対象として見るのではなく、和人と対等な存在として、できるだけ客観的に記述しようとしている。その姿勢に共感を覚えた。

2018年8月21日、清水書院、1000円。

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2020年03月16日

パソコン修理

昨日パソコンが起動しなくなり、急いで業者に修理してもらった。
幸いなことにデータ類はすべて残っていたが、いろいろな設定等を
やり直さなくてはならない。バタバタしております。

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2020年03月14日

千島列島

いつか千島列島に行ってみたいという夢があって、時々「クリルツアー」というロシアの旅行会社のHPを眺めている。

日本語版もちゃんとあって、「シュムシュ島とパラムシル島での12日間のコース」とか「オンネコタン島での10日間のコース」など、いくつかのコースが紹介されている。

謎めいたクリール諸島はどんなロマンずきな人にも旅行者にも天国です。 近づきにくいこと、人が住んでいないこと、地理的に孤立していること、活火山、少ない情報などが、この霧や噴煙につつまれ、たくさんの秘密をもつ元日本軍の基地のある島々へ人々をひきつけずにはおかないのです。

ちょっと微妙な日本語の味わいも素敵で、何だか現実の世界とは思えない。参加した日本人はいるんだろうか??

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2020年03月13日

武漢作戦

日中戦争は1937(昭和12)年7月に始まり、12月には中国の首都南京が陥落する。蒋介石率いる国民政府は、長江を遡るように南京から中流の武漢を経て上流の重慶へと移り臨時首都とした。

これを追うように日本軍は1938年(昭和13年)6月から「武漢作戦」と呼ばれる攻略戦を行い、10月に武漢を占領する。斎藤茂吉『寒雲』には戦勝の喜びを詠んだ歌が多数収められている。

あやまれる蒋介石の面前に武漢おちて平和建立第一歩
武漢三鎮なだるるなして落ちしかば我が心今日も呆(ほ)けたるごとし

「武漢三鎮」とは漢口、武昌、漢陽の三つの町のことで、現在はいずれも武漢市となっている。

漢口は燃えつつありといふ声のそのかたはらに人声(ひとごゑ)きこゆ
漢口にすでに雪ふるありさまが映画となりてわれに見しむる

いずれもニュース映画を見ての作品だろう。茂吉が「平和建立第一歩」と詠んだ武漢占領であったが、その後も中国が降伏することはなく、戦争は泥沼化していくのであった。

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2020年03月12日

スペイン風邪

1918(大正7)年から翌年にかけて「スペイン風邪」と呼ばれるインフルエンザが大流行した。死者は全世界で5000万人とも1億人とも言われ、日本でも約39万人が亡くなっている。

当時、長崎医学専門学校の教授であった斎藤茂吉も罹患した一人である。大正7年には「はやり風」が長崎でも広まり、茂吉もかなり用心していたようだ。

  長崎歌会 大正七年十一月十一日 於斎藤茂吉宅 題「夜」
はやり風(かぜ)をおそれいましめてしぐれ来し浅夜(あさよ)の床に一人寝にけり

それから一年経っても流行は収まらない。大正8年末には次のような歌を詠んでいる。

  十二月三十日。十一月なかば妻、茂太を伴ひて東京より
  来る。今夕二人と共に大浦長崎ホテルを訪ふ
四歳(よんさい)の茂太(しげた)をつれて大浦(おほうら)の洋食くひに今宵(こよひ)は来たり
はやり風はげしくなりし長崎の夜寒(よさむ)をわが子外(と)に行かしめず
寒き雨まれまれに降りはやりかぜ衰(おとろ)へぬ長崎の年暮れむとす

まだ小さな息子が感染しないように、外へ出ることを禁じている。
けれども、そんな茂吉自身が感染してしまったのだった。翌大正9年の歌。

  一月六日。東京より弟西洋来る。妻・茂太等と共に
  大浦なる長崎ホテルにて晩餐を共にせりしが、予
  夜半より発熱、臥床をつづく
はやりかぜ一年(ひととせ)おそれ過ぎ来しが吾は臥(こや)りて現(うつつ)ともなし

回復までにはかなり時間がかかったようで、「わが病やうやく癒えて・・・」という歌が詠まれるのは「二月某日」のことである。

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2020年03月11日

東直子歌集『春原さんのリコーダー』


1996年刊行の単行本も持っているのだが、読書会のために文庫版を買って再読。懐かしい。

てのひらにてのひらをおくほつほつと小さなほのおともれば眠る
かの家の玄関先を掃いている少女でいられるときの短さ
井戸の底に溺死しているおおかみの、いえ木の枝に届く雨つぶ
テーブルの下に手を置くあなただけ離島でくらす海鳥(かもめ)のひとみ
柿の木にちっちゃな柿がすずなりで父さんわたしは不機嫌でした
七人の用心棒にひとつずつ栗きんとんをさしあげました
信じない 靴をそろえて待つことも靴を乱して踏み込むことも
お別れの儀式は長いふぁふぁふぁふぁとうすみずいろのせんぷうきのはね
気持ち悪いから持って帰ってくれと父 色とりどりの折り鶴を見て
羽音かと思えば君が素裸で歯を磨きおり 夏の夜明けに

1首目、相聞歌としても、子を寝かし付ける歌としても読める。
2首目、上句と下句が「少女」を蝶番にしてつながっている。
3首目、「狼と七匹の仔山羊」などの童話のイメージが下敷きか。
4首目、おとなしくかしこまった表情をしているのだろう。
5首目、回想のシーンを見ながら現在の私が喋っている味わい。
6首目、「用心棒」と「栗きんとん」の取り合わせがおもしろい。
7首目、初句切れ一字空けの威勢の良さ。受身でも能動でもなく。
8首目、ひらがな表記が効果的。催眠術に掛けられていくみたい。
9首目、確かに本物の鶴は白いのに、千羽鶴はなぜか極彩色だ。
10首目、「はおとか」「はだかで」「はをみがき」と音が響く。

2019年10月10日、ちくま文庫、700円。

posted by 松村正直 at 08:08| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする