2017年12月31日

2017年の活動記録

*この記事は常に一番上に表示されています。
 最新の記事は一つ下を見て下さい。

作品
 ・「記憶について」20首(「現代短歌」1月号)
 ・「おとうと」30首(「短歌研究」1月号)
 ・題詠「惑う」5首(角川「短歌」2月号)
 ・「地中にふかく」8首(「弦」第38号)
 ・「動物について」20首(「現代短歌」4月号)
 ・「海と飛行機」30首(「短歌研究」4月号)
 ・「紫のひと」33首(「短歌往来」5月号)
 ・「眠りについて」20首(「現代短歌」7月号)
 ・「桜のからだ」30首(「短歌研究」7月号)
 ・「正解」7首(「現代短歌」8月号)

時評
 ・歌壇時評「方言、共同体、死者の声」(角川「短歌」1月号)
 ・歌壇時評「日本語文法と短歌」(角川「短歌」2月号)
 ・歌壇時評「歴史から今を見る視点」(角川「短歌」3月号)
 ・歌壇時評「短歌の読みを考える」(角川「短歌」4月号)
 ・歌壇時評「「ね」とレチサンス」(角川「短歌」5月号)
 ・歌壇時評「歳月を抱える歌」(角川「短歌」6月号)
 ・短歌月評「様々な顔の沖縄」(「毎日新聞」1月30日朝刊)
 ・短歌月評「新たな一歩」(「毎日新聞」2月27日朝刊)
 ・短歌月評「自他合一の精神」(「毎日新聞」3月27日朝刊)
 ・短歌月評「老いの中の若さ」(「毎日新聞」4月24日朝刊)
 ・短歌月評「真っ直ぐな子規」(「毎日新聞」5月22日朝刊)
 ・短歌月評「同人誌・個人誌」(「毎日新聞」6月26日朝刊)
 ・短歌月評「『サラダ記念日』30年」(「毎日新聞」7月24日朝刊)
 ・短歌月評「ミサイル問題」(「毎日新聞」8月28日朝刊)

評論
 ・常識・過去・重層性・多義性(「歌壇」9月号)
 ・十首でわかる短歌史 見果てぬ夢(「現代短歌」9月号)

書評
 ・櫟原聰著『一語一会』評(「短歌往来」1月号)
 ・染野太朗歌集『人魚』評(「現代短歌新聞」3月号)
 ・細溝洋子歌集『花片』評(「うた新聞」3月号)
 ・斎藤諒一歌集『春暁』評(「現代短歌」6月号)
 ・畑谷隆子歌集『シュレーディンガーの猫』評(「好日」7月号)
 ・井上孝太郎歌集『サバンナを恋ふ』評(「短歌人」9月号)

その他
 ・講演ファイル「佐藤佐太郎の火山の歌」(「現代短歌新聞」1月号)
 ・全国結社歌誌動向「塔」(角川「短歌」2月号)
 ・特集「わたしの気になる《沖ななも》」(「北冬」17号)
 ・「読者歌壇」選者(「現代短歌新聞」4月号〜9月号)
 ・座談会「バブルが短歌に与えたもの」(角川「短歌」5月号)
 ・講演「樺太を訪れた歌人たち」要旨(「樺連情報」第807号)
 ・「戦争に賛成し熱狂するだろう私たち」(角川「短歌」8月号別冊付録)
 ・「短歌の骨法―石田比呂志の歌の魅力」(第六回琅玕忌だより)

出演
 ・「樺太の暮らしを“解凍”」(「京都新聞」1月25日朝刊)
 ・講演「短歌の骨法―石田比呂志の歌の魅力」(2月18日)
 ・講演「樺太を訪れた歌人たち」(5月16日)

posted by 松村正直 at 23:59| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月20日

「日本近代文学館」館報第279号


「日本近代文学館」の館報第279号が届いた。
http://www.bungakukan.or.jp/cat-whatsnew/9556/

「館蔵資料から=未発表資料紹介 佐佐木信綱宛書簡」を毎号楽しみにしているのだが、今号には北原白秋の信綱宛書簡が2点紹介されていた。

そのうち1点は昭和14年12月31日消印のもので、「啓上 御懇書ならびに筆墨忝く拝受かへつて恐縮に奉存候今は御祝のおしるしまでいささかのもの差出申候につき御笑納たまはり度存候 夢殿につき御厚情難有く御礼申上候」とある。

信綱からもらった手紙のお礼と、祝いの品を送ったこと、そして前月に白秋が刊行した歌集『夢殿』に対する信綱の好意へのお礼という内容だ。

白秋と信綱の関係については、昭和12年の「愛国行進曲」の歌詞の審査の場で喧嘩をして終生和解しなかったという伝説がある。

これについては、既に渡英子が「信綱と白秋―喧嘩顛末記」(「佐佐木信綱研究」第3號)で誤りを正している。また、マンガ「月に吠えらんねえ」の作者清家雪子のブログにも「白秋VS信綱〜解決編」(2016年11月24日)という詳しい記事が載っている。

今回の館報に載った昭和14年の白秋の書簡もまた、先の伝説の誤りを裏付ける証拠の一つと言って良いだろう。

posted by 松村正直 at 18:25| Comment(0) | 短歌誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月19日

第20回「あなたを想う恋の歌」作品募集中!


現在、第20回「あなたを想う恋の歌」の作品を募集中です。
締切は10月31日(当日消印有効)
http://www.manyounosato.com/

最優秀賞(1首)は10万円、優秀賞(3首)は3万円、秀逸(10首)は1万円。
しかも、投稿料は無料!
ネットからも投稿できます。

皆さん、ぜひご応募ください。

posted by 松村正直 at 23:45| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月18日

旅の写真


旅先で撮った写真を見ていると、自分がどんなモノや風景が
好きなのかよくわかる。


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  小さな隧道


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  壊れた石灯籠


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  二宮金次郎像


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  ローカル線の駅


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  空地に放置された軽トラック


posted by 松村正直 at 23:23| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月17日

今後の予定


下記の歌会やイベントに参加します。
お近くの方は、どうぞお越しください。

・10月1日(日)  「塔」岡山歌会
・10月8日(日)  「塔」東海歌会(名古屋)
・10月21日(土) 堺短歌大会 講演「啄木の現代的な魅力」
・12月3日(日)  現代歌人集会秋季大会(京都)
・12月10日(日) 「塔」滋賀歌会

よろしくお願いします。
posted by 松村正直 at 08:38| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

山本夏子歌集 『空を鳴らして』


著者 : 山本夏子
現代短歌社
発売日 : 2017-08-31

昨年第4回現代短歌社賞を受賞した作者(「白珠」所属)の第1歌集。
2007年から2016年までの作品347首を収めている。

母と子は竿にもつれて父だけがのんびり風に乗るこいのぼり
こんなにもつばめはゆっくり飛べるのか子に飛び方を教えるときは
駅前に宮田書店は今もあり日に焼けている浦島太郎
群れをなす南の島の蝶に似て駐輪禁止の紙札なびく
上履きが片方道に落ちている木星みたいな裏側見せて
黒ずんだサトちゃん人形笑ってる足に鎖を巻きつけたまま
二時間を水に浸して棄てられる中止となった花火の玉は
苦しみを隠したままで死ぬことのできるうさぎが一度だけ鳴く
広場からうさぎを一羽選るように子が保育士に抱き上げられる
前髪を短く切ればおさなごにもっと幼い顔のあること

1首目、何のことかと思って読んでいくと結句で「こいのぼり」の話だとわかる。語順に工夫がある。
2首目、速く飛んでいるイメージしかない燕ならではの歌。
3首目、昔ながらの個人経営の書店。こうした店はどんどん減っている。
4首目、たくさんの自転車に札が貼られて、羽ばたいているみたいに見えるのだ。
5首目、「木星みたい」が大胆な比喩。ゴムの色合いや縞の感じが似ている。
6首目、薬局の前に置かれているゾウのキャラクター人形。盗難防止に鎖が付けられているのが痛々しい。
7首目、初二句の具体がいい。発火することがないように慎重に扱うのだ。
8首目、人間と違って言葉で苦しみを訴えることができない哀れさ。
9首目、上句の比喩が印象的。保育士から見れば、わが子もワンノブゼムでしかない。
10首目、どんなに幼い子でも、生まれた時に比べれば確かに歳を取っているのである。

後半は妊娠、出産、子育ての歌が多い。文体や表現に健やかな明るさが感じられるのが大きな特徴と言っていいだろう。

2017年8月31日、現代短歌社、2500円。

posted by 松村正直 at 06:58| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月15日

いわて故郷文芸部ひっつみ「ひっつみ本」


岩手県出身者、在住者が参加する同人誌。
8名が参加して、それぞれ短歌7首(or詩1編)+随筆を発表している。

巻頭には「どなたもどうぞお入りください/決してご遠慮がありません」と、宮沢賢治の『注文の多い料理店』風な前書きがあり、岩手への愛を感じさせる。

ストーブの効いた部屋から雪を見る 出会う前他人だったのか僕らは
                         逢坂みずき

出会う前は当然他人だったはずなのだが、ずっと前からお互いに知っているような感じがするのだ。冬の部屋に相手と二人きりという場面だろう。

甘すぎるカルーアミルクが二つあり元は一つの愛だったよう
                         木下知子

下句の発想がおもしろい。一つの愛が二つに分かれてしまったのか。コーヒーリキュールに牛乳を混ぜるカクテルの色合いや甘さが、うまく合っている。

噛めるひかり啜れるひかり飲めるひかり祈りのように盛岡冷麺
                         工藤玲音

四句目までは何のことかわからずに読んでいって、結句でなるほどと思う。盛岡冷麺の強いコシやつやつやした光沢の感じが印象的に描かれた歌だ。

ポケットにビールの缶をねじこんで花のいかだで旅ができるね
                         佐々木萌

手ぶらでビールの缶だけを持って花見をしているのだろう。水面に浮かぶ花筏に乗ってどこまでも行けそうな楽しい気分になっている。

どれくらいのテレビか聞かれ箸を置き空中に書くわたしのテレビ
                         武田穂佳

一緒に食事をしている相手からテレビの大きさを聞かれたのだ。何インチといった数字ではなく、指で四角を書いているところに臨場感がある。

エッセイはどれも若々しさの感じられる内容で、読んでいて楽しかった。特に木下知子「標識」が印象に残った。

「ひっつみ」という会の名前は、岩手の郷土料理で、すいとんの一種のことらしい。

岩手に何か関係のある食べ物がいい、と思い、わんこそば、とか、じゃじゃ麺、とか考えたものの、ひっつみ、という言葉の耳たぶほふどのやわらかさ、あたたかさから、この名前に落ち着きました。

という説明がある。肝腎の「ひっつみ」がどんな料理かという説明がないところがいい。地元の人にとっては当り前のものだから、説明の必要を感じないのだろう。そんなところにも岩手への愛を感じる。

2017年6月11日、300円。

posted by 松村正直 at 09:18| Comment(0) | 短歌誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月14日

日々のクオリア


砂子屋書房のホームページの一首鑑賞「日々のクオリア」で、
『風のおとうと』の歌を引いていただきました。
ありがとうございます。

https://sunagoya.com/tanka/?p=17441

posted by 松村正直 at 17:42| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

勺禰子歌集 『月に射されたままのからだで』



「短歌人」所属の作者の第1歌集。420首。

嘆き死んだ遊女の墓のあるあたりから湧き出づる温泉ぬるし
落ちたての花びらを轢く感触のなまなまと車輪伝ひ登り来
はふり・ふはり・はふり・ふはり と転がせば屠(はふ)るとふ言の葉のやさしさ
両岸に茶屋ありしといふ二軒茶屋跡から暗峠(くらがりたうげ)を目指す
きちんと育てられたんやねと君は言ふ私の闇に触れてゐるのに
はじめてのそして最後の夕日浴び解体家屋はからだを開く
はげしさを身に溜めぬやう送り出すしぐさか 熱を帯びゆく扇
迷ひとは無縁の速度を保ちつつ燕抜けゆくちさき山門
片足の鳥居の脇のアパートの下着揺らめく205号
入浴剤の香りで少しつながれてあはきあはき家族といふもの

1首目、遊女の死にきれない思いが温泉になって溢れている感じ。「ぬるし」が何とも寂しい。
2首目、まだ柔らかい花びらを轢く感触が自転車を通じて身体に伝わるのだ。
3首目、単なる言葉遊びではなく「屠る」という語に対する肯定的な思いが表れている歌。
4首目、今は何もない「二軒茶屋跡」に立って昔の様子を思い描いている。
5首目、私の闇を受け入れてくれる相手なのだろう。
6首目、「からだを開く」がいい。壁が壊されて剥き出しになった家の中が夕日に照らされている。
7首目、盆踊りの様子。「はげしさを身に溜めぬやう」という捉え方に独自なものがある。
8首目、確かに燕の飛び方には迷いがない。
9首目、長崎の山王神社の被爆した鳥居。三句以下の生活感との取り合わせがいい。
10首目、ほのかに同じ匂いがする。そのくらいのつながりなのである。

歌集全体を通じて大阪や奈良の地名や固有名詞が数多く登場する。土地や歴史とのつながりを深く感じている作者なのだろう。近年は社会詠にも意欲的に取り組んでいる。

「ひつじ」7首は、12年前の出来事を絵画作品と重ね合わせて詠んだ一連で、とても強く印象に残った。作者の人生において忘れることのできない体験である。

2017年7月24日、六花書林、1900円。

posted by 松村正直 at 09:19| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

神山典士著 『成功する里山ビジネス』



副題は「ダウンシフトという選択」。

人口が減り経済成長もしなくなる「下り坂」の日本社会をどのように捉え、生きていけば良いのか。新しい考え方や生き方を模索し始めた地域や人々を取り上げて論じた一冊。

現在の日本は、環境の変化に対抗する下山用の「文化」を用意しようとしていない。人口増加の社会システムや思考のままに、人口減少時代を生きようとしている。そこが最大の問題だ。
下山の時代には、むしろその真逆の行動が求めれている。仕事は中央よりも課題山積みの地方にある。過疎化や経済的疲弊、文化や教育的課題が蔓延する地方=下り列車の行き先にこそ、働く舞台があり主人公がいる。

こうした文章に、作者の問題意識はよく表れている。

本書で取り上げられているのは、小布施町、一人出版社「文屋」、平田オリザ、豊岡市城崎町、新潟県岩室温泉、「津屋崎ブランチ」、山崎亮とstudio-L、瀬戸内国際芸術祭、小豆島町、バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」、坂勝、隠岐郡海士町、岩本悠など。

これらは既に成功例として知られている(有名な)地域や人が多く、その点では物足りなさが残る。けれども全体にコンパクトにまとまっていて、今後の社会のあり方を考えるきっかけとなる内容だと思う。

2017年7月10日、角川新書、800円。

posted by 松村正直 at 08:07| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

「男」と「男性」


今日の朝日新聞(大阪本社版)夕刊に「住宅街で発砲 男性死亡」「殺人容疑 男が逃走」という見出しがあった。記事を読むと

車から降りた男性と男が口論した後、路上で撃たれたとみられるという。現場で目撃した人によると、男性が「撃ってみんかい」と言い、男が発砲して逃げたという。

亡くなった被害者も逃走した容疑者も、まだ氏名はわからない。そのため「男性」「男」という表記になるのだが、そこに規則性があることに気が付いた。

被害者は「男性」で、容疑者は「男」。どちらも意味は一緒だが、「男性」の方が丁寧な印象を与えるので、こういう使い分けがされているのだろう。


posted by 松村正直 at 23:32| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月11日

堺短歌大会


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10月21日(土)の堺短歌大会で講演をします。
題は「啄木短歌の現代的な魅力」。

どなたでも参加できますので、皆さんどうぞお越しください。
posted by 松村正直 at 09:47| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月08日

カルチャーセンター


大阪、芦屋、京都でカルチャー講座を担当しています。
短歌に興味のある方は、どうぞご参加下さい。

◎毎日文化センター梅田教室 06−6346−8700
 「短歌実作」 毎月第2土曜日
  A組 10:30〜12:30
  B組 13:00〜15:00
   *奇数月を松村が担当しています。

◎朝日カルチャーセンター芦屋教室 0797−38−2666
 「はじめてよむ短歌」
  毎月第1金曜日 10:30〜12:30

◎朝日カルチャーセンター芦屋教室 0797−38−2666
 「短歌実作(A)」 毎月第3金曜日 11:00〜13:00
 「短歌実作(B)」 毎月第3金曜日 13:30〜15:30
   *偶数月を松村が担当しています。

◎JEUGIAカルチャーセンターイオンタウン豊中緑丘 06−4865−3530
 「はじめての短歌」
  毎月第3月曜日 13:00〜15:00

◎JEUGIAカルチャーセンター京都 de Basic. 075−254−2835
 「はじめての短歌」
  毎月第3水曜日 10:00〜12:00

◎JEUGIAカルチャーセンターMOMOテラス 075−623−5371
 「はじめての短歌」
  毎月第1火曜日 10:30〜12:30

◎醍醐カルチャーセンター 075−573−5911
 「初めてでも大丈夫 短歌教室」
  毎月第2月曜日 13:00〜15:00

posted by 松村正直 at 14:18| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月07日

確率を考える(その2)


「そんなの偶然だよ」と言われるかもしれないので、遊び半分ではあるが確率を計算してみよう。五十音の出現率をそれぞれ50分の1(0.02%)と仮定すると、二句以下の頭の字がその前の句の中にすべて含まれる確率は

(0.02×5)×(0.02×7)×(0.02×5)×(0.02×7)=0.000196

となる。約5000首に1首という確率である。

もっとも、実際には五十音の出現率はすべて同じではなく、字によってバラツキがある。そこで、ネットで見つけた表を参照して、「し」0.046%、「あ」0.017%、「き」0.024%という値で計算し直してみる。
http://www7.plala.or.jp/dvorakjp/hinshutu.htm

(0.046×5)×(0.017×7)×(0.024×5)×(0.046×7)=0.001057

約1000首に1首という確率だ。

別に佐太郎がそうしようと意識して作ったわけではないだろうが、結果的には良い調べを生み出すもとになっている。言葉をならべる際に、そのような音を選ぶ感覚が身についていたということであろう。

posted by 松村正直 at 06:43| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月06日

『風のおとうと』 販売中


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松村正直の第4歌集『風のおとうと』(六花書林、2500円)、
現在 Amazon でも販売中です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4907891490?tag=vc-1-513774-22&linkCode=ure

お買い求め下さった方々、ありがとうございます。

posted by 松村正直 at 00:27| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月05日

確率を考える(その1)


佐藤佐太郎に関する本を読んでいて、自分なりの発見があった。

つるし置く塩鱒ありて暑き日を黄のしづくまれに滴るあはれ
                 佐藤佐太郎『立房』
     (三句目はのちに「暑きひる」と改作)

「塩鱒」は保存用に塩漬けした鱒のことで、新巻鮭のように縄などで括って吊るしてあるのだろう。そこから、黄色っぽい脂が滴り落ちるのである。粘り気のある脂の感じや、それがたまに滴となって落ちる様子が、実によく見えてきて、以前から好きな歌である。

この歌は内容だけでなく、調べも良い。どこが良いのかと考えていて、あることに気が付いた。

つるおく/おますりて/ひを/づくまれに/たたるあはれ

こうして平仮名にしてみるとよくわかるのだが、二句以下の頭の音「し」「あ」「き」「し」が、その前の句にそれぞれ含まれているのである。これが、一首を読んだ時の心地良さにつながっているのだと思う。

posted by 松村正直 at 07:08| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月04日

谷とも子歌集 『やはらかい水』


2008年から2017年までの作品268首を収めた第1歌集。

傘ささず歩くからだは響きあふ青葉を揺らしやまない雨と
カップ麵のふたに小石をのせて待つ今日のもつとも高いところで
ひつたりと二枚のサルノコシカケが待ちをり母と子の座るのを
水面に見え隠れする足首のロッカーキーの輪つかの性別
壮年の弟の首うなだれて「ごめん」と言ふうちおとうとになる
なんだらうこのしづけさはと思ふときほたるぶくろの花のうちがは
〈出合〉からすべて始まる沢水の力踏みつつ遡りゆく
どのやうに終(しま)へばいいのポケットの無い喪服では指があらはで
ポインセチア値下げされたり地下街の店をあかるく照らしたのちに
ふくろ買ひふくろ断り自転車の籠にふくろのあらは放り込む

1首目、山歩きをする作者。身体に雨が当たるのが心地良い。
2首目、「小石をのせて」に山で食べている臨場感がよく出ている。
3首目、大きいのと小さいのが段違いに並んでいるのだろう。
4首目、プールでの歌。男性用は水色で女性用はピンクとか。
5首目、普段は大人の男の顔を見せているが、何かの拍子に子どもの頃の弟の表情になったのだ。
6首目、いつの間にか、ほたるぶくろの花の中にいる感じ。
7首目、流れの合流地点から沢を遡行していく。「力踏みつつ」がいい。
8首目、剥き出しの指に感情が溢れてしまいそうになるのだろう。
9首目、おそらくクリスマスが過ぎたのだ。華やぎの後の寂しさ。
10首目、コンビニやスーパーでごみ袋を買った場面。「ふくろ」の繰り返しがおもしろい。

添付の杉の木の栞やソフトカバーの装幀なども含めて、作者の人柄や世界観がよく表れた一冊だと思う。「ささげている」「会う」「鳴き交う」と、旧かなのミスがあるの惜しい。

2017年8月26日、現代短歌社、2500円。

posted by 松村正直 at 08:13| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月03日

9月3日と言えば


今日はドラえもんの誕生日。
2112年9月3日なので、あと95年。

歌集『風のおとうと』はAmazonでの販売も始まりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4907891490?tag=vc-1-513774-22&linkCode=ure

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2017年09月02日

短歌総合誌


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短歌における「総合誌」とは「結社誌」や「同人誌」に対する言葉で、一般に言う「商業誌」のことである。現在、短歌総合誌と呼ばれるものには「短歌研究」「角川短歌」「歌壇」「短歌往来」「現代短歌」の5誌がある。

わが家ではこれらをすべて定期購読しているので、毎月5冊の雑誌が届くことになる。それに加えて「現代短歌新聞」「うた新聞」の2紙も定期購読している。(金持ちだという自慢ではありません、念のため)

もう15年も前になると思うが、永田和宏さんから「短歌の世界で本格的にやって行こうと思うなら、痩せ我慢してでも雑誌を定期購読することだ」と言われて、それ以来ずっとそうしている。

短歌総合誌については、「毎月毎月、読み切れない」「どの雑誌も似たり寄ったりで特色がない」「値段が高過ぎる」「掲載されている作品がマンネリ」「保存しておく場所がない」「近くの書店で売っていない」「新人賞の発表号だけ買えばいい」といった話を聞く。

どれも、その通りだと思う。別に反論するところはない。

では、なぜ定期購読を続けているのかと言えば、ただ一点だけ。短歌というジャンルを応援しているからである。資本主義社会においては、自分の価値観はお金の使い方によって示すしかない。僕は短歌が好きだから、短歌にお金を使う。単純なことだ。

定期購読者の数は、その雑誌の力になる。読みたいだけでなく応援する気持ちがあるから、定期購読しているのである。

posted by 松村正直 at 11:08| Comment(2) | 短歌入門 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月31日

遠藤由季歌集『鳥語の文法』


2010年から16年までの作品375首を収めた第2歌集。
冒頭に引っ越しの一連があり、何だか暗いトーンだなと思って読み進めていくと〈空の壜捨てるこころは痛みおり婚解きにゆく霜月の朝〉という歌があって事情がわかる。

コンビニに似た明るさの古書店で買いたり『和泉式部日記』を
艶やかなグランドピアノに負けぬよう肩剥き出しに女は弾けり
あばら骨状に並んだ団地見ゆ塗り替えられた白さ鋭く
ひつまぶし三種の食べ方楽しみて吐息のような白湯を飲みたり
駅頭に夜の花屋は開かれて影ごと花を売りさばきおり
分度器の薄れた目盛りを思い出す秋のひかりが睫毛に触れて
妙に軋む雨の日の椅子 売り上げと関わりあらぬデータ打ち込む
描かれた陽は透きとおる厚らかに塗り重ねたる油彩のなかに
鋭角に葱切りゆける包丁は大雪の夜に父が砥ぎたる
名刺として鱗いちまいずつ配り人に戻りて乗る銀座線

1首目、昔からある古書店は薄暗いが、ブックオフはとても明るい。そこで買うのが古典であるというのも、妙にちぐはぐな感じ。
2首目、「剥き出し」という語の選びに、女性であることの痛みを感じる。
3首目、「あばら骨状」がいい。地図などで見ると確かにそんなふうに見える。
4首目、そのまま、葱とわさび、お茶漬け。「吐息のような」に満足感が滲む。
5首目、明るい花に寄り添うように「影」があるという発見。
6首目、分度器の目盛と目の縁にある睫毛。言われてみればよく似ている。
7首目、三・四句目から自分の仕事に対する徒労感のようなものが伝わる。
8首目、厚く塗りかねているのに透明感があるのが不思議なのだ。
9首目、葱を切る場面に父が包丁を砥ぐ場面がオーバーラップする。
10首目、仕事を終えて素顔の自分に戻るところ。人魚のイメージでもあるし、羽を抜いて機を織る鶴のようでもある。

2017年7月1日、短歌研究社、2500円。

posted by 松村正直 at 09:37| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする